Hothouse Flowers @ Shinsaibashi Quattro (21st Oct '98)
アコースティックでもソウルフルなフラワーズに感動です。
- part2 -
舞台中央にはキーボードが2台。そこにリアムが陣取り、向かって右にフィアクナ、左にピーターとアコースティック・ギターをかまえるといった構成だ。ときにピーターが楽器を持ち替えたり、リアムが前面に出てきたりするのだが、実にシンプル。が、それでも音楽の魅力は全く色あせることはない。おそらく、その理由はフラワーズの素晴らしい曲の数々にあるんだろう。また、逆に言えば、アコースティックだからこそ、言葉がひしひしと伝わってくるといってもいい。1曲目の『The Older We Get』から『An Emotional Time』や『Your Soul』、そして、『Used To Call It Love』や『Movies』といったオリジナルは、どれをとっても完成された歌であり、その味がアコースティックであっても、全然損なわれることなく打ち出されているのだ。
加えて、一度好きになると離れられなくなるのが彼らの魅力。それが理由なんだろう。会場に集まってきているのは昔からのフラワーズ・ファン。彼らがミュージシャンと一緒になってホットな雰囲気を作り上げているのも確かだ。
もちろん、新しいファンだっているに違いない。特に、アイリッシュ系のイヴェントをたくさん続けてきているのが今回のプロモーター。確か、前回、フラワーズのリアムが来日したのはドナル・ラニーのプロジェクトへのゲストだ。そんなアイリッシュ・トラッド・ファンに嬉しかったのは、おそらく、あの後ジェイムス・ブラウンの『Man's World』を挟んで演奏された曲だろう。この時はリアムがフロントのマイクの前にたち、バウローンという大型のタンバリンのような楽器を演奏。フィアクナはティン・ウィッスルを吹き、ピーターはギターというシンプルなものなのだが、トラッド・ファンは大喜びで踊りだしていた。

また、「この曲は、ちょっと静かに聴いてくれないかな?」というコメントと一緒に演奏されたのが、BBC制作のアイリッシュ・ミュージックに関するドキュメンタリー用サウンド・トラックに彼らが録音した『The Lake Of Ponchartrain』。なんでも、アイリッシュのシンガー&ソングライター、ポール・ブレイディがこの曲を彼らに教えたということだが、この曲の心にしみること! いまもあのアルバムが入手可能かどうかわからないが、もし、見つけたら、この1曲のためだけに買っても間違いない。
そういえば、フィアクナによると、今回日本を訪ねる前にダブリンでやってきたのがバンド編成によるライヴの録音。加えて、今回のアコースティック・ライヴも全てを16チャンネルのマルチ・トラックで録音するとのこと。基本的にはこれまでの活動をまとめたライヴ盤によるベスト・アルバムにするというのだが、どんな曲が収録されるのか、そして、どんなアルバムに仕上がるのか楽しみで仕方がない。
さて、この日のライヴでメンバー共にいろんな人が口にしていたのが、アクースティックだからこそ伝わる言葉の力強さ。特にセット半ばで演奏された『It'll Be Easier In The Moring』に関しては、フィアクナやピーターも同じようなことを口にしていたものだ。「どんなに苦しいことがあっても、朝になれば、きっと楽になるはず。1日が終わるときにはきっと楽になるはず」と歌われるものなのだが、おそらく、その言葉の力強さのせいだろう、オーディエンスがバンドと一緒になってこの曲を歌っていたものだ。普通日本でライヴをすると、バンドの方からそれを演出しないといけないのだが、この時ばかりは観客の方が「歌いたい」と主張したようなもの。実にアットホームでハートウォーミングなこんな雰囲気はフラワーズだからこそできるものだろう。
新しいアルバムから演奏された曲で強く印象に残っているのは『Forever More』。実は、この曲はギターのフィアクナが結婚して、その時に書いた歌らしく、リアムがその裏話をしながら曲に入っていった。フィアクナの嬉しそうに演奏している様子を見ると、彼らがすごく幸せな絆で結ばれているのがよくわかる。また、初めて彼らとインタヴューした86年から12年。まだ、10代だった少年たちがすっかり大人になったことも伝わってくる。流行やハイプとは無関係に「いい音楽」を演奏し、創造することにこだわり続ける彼らの味はこんなところでこそ出てくるのだろう。
この日のライヴでは『Hallelujah Jordan』や『You Can Love Me Now』と続いて彼らがステージをおり、アンコールではまず最初に予定外のトラッド・ナンバー『Todd's Fancy』を演奏。『Forgiven』と『Leaving and Walk』を挟んで『I Believe You』で幕を下ろしたのだが、ひさびさのフラワーズに大満足したのがオーディエンス。なんでも東京の2日目はめちゃくちゃな盛り上がりを見せたということだが、その様子が収録されたアルバムがいつ発表されるのか、興味津々といったところ。
が、なによりも、バンドのスタイルでロックするステージを見てみたいというファンも多いことだろう。そんな期待を持って、このレポートを締めくくりたい。
ちなみに、この日のセット・リストは以下の通り。
The Older We Get
An Emotional Time
Your Soul
Used To Call It Love
Movies
Man's World
Siobhan ni dhuibhir
Banished Misfortune
The Lake Of Ponchartrain
Trying To Get Through
It'll Be Easier In The Moring
Red Dead
Find The Time
Trouble Down Yonder
At Last
Give It UP
Forever More
Hallelujah Jordan
You Can Love Me Now
------アンコール-------
Todd's Fancy
Forgiven
Leaving and Walk
I Believe You
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