NaLas(ナラズ) @ 渋谷ラッシュ (7th May '10)
もっと図太さを
渋谷ラッシュでおこなわれたライヴイベントのトリとして、21時半過ぎに登場したナラズはいつものように約30分をノンストップで駆け抜けた。バスドラ4つ打ちのテクノをイントロダクションとして流れて、それに生演奏を被せてスタートさせた。その被せかたがビシッと決まっていれば、もっとよかったんだけど、新しいことに対する意欲は買える。
まだオープニングに流れたテクノが残っているところで、今のところ彼らの代表曲である"Teenage Later(ティーンエイジ・レイター)"のリフを弾き、耳を引き付けておいてから、本編に入っていった。この日は、新曲も演奏されたが、もちろんノンストップの演奏に組み込まれていた。正直、新曲はまだこなれてないので、ぎくしゃくしたところがあったけど、後半になるにつれて本来のグルーヴになってきた。
この日、改めて感じたのが、演奏が絵になるバンドだなということだ。ソリッドで疾走感のあるロックンロールを懸命に演奏している姿は、多くの人に観てもらいたい価値がある。ギターを鋭くカッティングする長身の久保、浅井健一に通じるような声質でリードヴォーカルを務めながらベースを弾く山口、包容力のある存在感で持続するビートを生み出すドラマーの大津、と3人のキャラ配分も絶妙だ。まず、何よりバンドは演奏していることが一番なのだ。後はライヴを重ねていくうちについてくる。
ただ、この日、思ったのは「楽しんでる〜?」と何度か声をかけたことだ。それでもいいんだろうけど、やっぱり優れたバンドは、フロアにいるお客さんにご機嫌伺いをするのではなく、「俺は楽しんでいる、お前らについてこれるのか?」というふてぶてしさを身につけていくものなのだ。ボゥディーズだって、「楽しんでますか?」から、最近は「いいですか、皆さんついてきてくださいよ」に変わっていったのだ。さらにいえば、格好いいバンドというのは、そんなに喋らなくたっていい。ブランキージェット・シティもミッシェルガン・エレファントだってあまり喋らなかった。ブラフマンに至っては一言も発せずにライヴを終えたこともある。自分たちの最大の売りは演奏であって、それをキチンとみせることが大事なのだ、ということなんだろう。
もちろん、今は名前を覚えてもらう時期でもあるだろうし、まだまだ自信がついてないことなんだろうけど、せっかく演奏する立ち姿だけで魅了できるバンドなのだから、もっともっと図太さを持ってもらいたい。これは場数を踏んでいくうちに改善されていくのだろう。
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