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- 踊ろうマチルダ -

踊ろうマチルダ、大阪春の陣


踊ろうマチルダ


 踊ろうマチルダと出会って1年くらいになるのだろうか。踊ろうマチルダこと、釣部修宏の存在を知ったのが、440で行われたワンマンライヴの数日前。口コミは当時から相当なものだったが、地方誌以外のメディアで彼の名前を見ることは無かった、と記憶している。今でもメディアへの露出は控えめなのだが、ライヴという、「現場」に行けばことごとくチケットは売り切れで、彼の人気の高さを思い知らされてきた。

 今回のセットには、釣部修宏(ヴォーカル、ギター)と黒田元浩(ウッドベース)のコンビに加え、赤犬でも活動していたまるむし(フィドル)が参加していた。角のとれたウッドベースの響きをなぞるようにギターが走り出す。そこに優しくなだらかなフィドルの調べが加わることで、釣部のしゃがれ声は、よりいっそう引き立ってくる。その枯れた声と、どこか懐かしい旋律が絡み合えば、こちらの内面には像が結ばれる。それは、首都圏のライヴで生まれた風景とはまるで違った。全国津々浦々、旅芸人を地でいく彼は、行く先々で、その土地での記憶を掘り返し、途絶えた物語の続きを紡いでいるかのようだ。

踊ろうマチルダ 釣部の出身は福井県。北陸出身者にとっての大阪は、電車一本で行くことができる、身近な大都会のひとつ。高校の卒業間際くらいになれば、友人と車を転がして遊びに行ける距離なので、高校卒業後には、関西に居を移す者も少なくない(注:筆者は石川県出身)。釣部も一時期ではあるが大阪に住んでいたそうで、そのせいか、土地とハコに馴染みがあるのだろう、彼のMCはいつになく饒舌だった。シャイで、音楽があるから人前に出て行けるという典型的な人物が、シャングリラの女性スタッフを話題にだして、"マリッジイエロー"を捧げたのだ。この曲は、「俺の可愛い可愛いお姫さん、オイラと結婚してくれ」と歌われるが、まさか、ここまでアピールする人物だったのかと、正直驚いた。

 今後は今まで以上に大規模なイベントに名前を連ねたり、フェスに登場することにもなるだろう。バンドセットでライヴに臨むこともあれば、時にはひとりで小さなバーやカフェに現れ、弾き語りもするだろう。スタンスを変えずに歩むなかで、対バン相手のお客さんを虜にし、一歩ずつ、口コミを広げていく。ワイルド・ローバーというイベントでは、遂に、勝手にしやがれの武藤昭平氏とも繋がったという。彼にとっての3月は、自身が思う以上に大きな「月」となったのではないだろうか。


踊ろうマチルダ

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