buttonUri Nakayama
@ Tokyo Kinema Club (12th Mar. '10)

Uri Nakayama
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 1960〜70年代に発表された楽曲を中心とするカバー集、『セブンカラーズ』がこの1月に発売された。そのレコ発会場として選ばれたのは、中山うりがホーム・グラウンドとしてライブを行う東京キネマ倶楽部。昭和情緒溢れる本会場には、アルバムの内容にマッチして実にレトロな雰囲気が漂っている。新しいのに新しくない、旧いのに旧くない……。そんな歌謡ショーが幕を開けようとしていた。

 毎度のことながら、中山うりのステージは賑やかである。数年来変わらないリズム隊に加え、東京会場ではおなじみの顔ぶれとなるホーン・セクション。楽器の数だけ表現の幅も広がり、『セブンカラーズ』からの楽曲では会場の雰囲気そのままなノスタルジックなサウンドを響かせる。中でも彼女の声と相性が良かったのが、アルバムの1曲目に収録された石原裕次郎のカバー、" 夜霧よ今夜もありがとう"。スピーカーから鳴り響く歌声も含め、空間ごと昭和にタイムスリップしたような錯覚を覚える。まったく手が加えられていないにも関わらず、最大限の演出を施してくれるのもこの会場ならではだろう。

 はじめて耳にする曲に興味を惹かれながらも、ふと息をのんでしまう瞬間に出会ったのは、長年彼女が歌い続けている曲でのことだった。「今はもう絶対に書けない曲です」。"歌を忘れたあなたへ"はそんな言葉とともに歌われた。メジャーデビューを果たしてもう4年になるという彼女が、初めて書いたのがこの曲だという。歌詞を辿ると、スタート地点に立ったばかりのミュージシャンが、未来を見据えて不安に駆られる気持ちを歌に込めているようにも解釈できるだろうか。その時期にしか描き出せなかった歌を、未来に立った現在の彼女が歌い上げる。それまでの過程があるからこそ、この歌は新たな輝きを放っていたのではないだろうか。終わってほしくない、いつまでもこの歌を聴いていたい。カメラを握りしめながらも、強くそう思った瞬間だった。

 過去の歌にだけ着目するつもりもないのだが、アンコールの冒頭で歌われた"月とラクダの夢を見た"も印象深い。椅子に腰掛ける人、壁にもたれる人。その誰もがうっとりとステージを見上げている。場内に漂う静かな気配を察知してか、母親と共にフロアに腰掛けた幼子もまた穏やかな表情でステージを眺めていた。3曲に及んだアンコールの最後に選んだのは、『セブンカラーズ』のトリを飾った"夜の翼をポケットに"。中山うりのプロデューサーであるs-kenが、もう20年も前に発表した曲なのだという。彼女自身もこの歌が好きで、お風呂でよく口ずさんでいるといったエピソードも紹介された。力みのないリラックスした歌声がスピーカーから響き、ハイハットが刻み出すリズムと、そっと添えられたアコーディオンの音色が浮遊感を演出する。気持ち良さそうな表情で歌う様子からは、今後も長く歌われ続ける曲になるのではないかという予感を感じさせられた。

 約2時間、休憩をはさむこともなくライブは終演を迎える。長時間ではあったが中だるみを感じることもなく、強く惹き込まれる瞬間も多々あった。満足な内容ではあったのだが、個人的には中山うりの歌をもっと聴きたいと思う。『セブンカラーズ』でのカバーという体験が彼女の表現の幅を広げたように、新たな試みをもってその可能性のさらに先を見せてもらいたい。というのも、2006年のフジロックで彼女の歌に出会った瞬間に感じたドキドキを、この日は久しぶりに感じることができたのだ。初めて取材した4年前とは異なる今の魅力を、そして変化を、今後も伝えていきたいと思う。


-- setlist --
暁のフォルテシモ / カーニバルの午後 / 悲しき天使 / 雨晴れ曇り / 愛のサンバは永遠に / 夢であいましょう / 夜霧よ今夜もありがとう / お前とならば何処までも / マドロス横丁 / 歌を忘れたあなたへ / ワンダフル / 赤い風船がついてくる / サーカスが来た / 黒猫・白猫 / 生活の柄 / つぎの駅はパラダイス

-- encore --
月とラクダの夢を見た / 笑う月 / 夜の翼をポケットに


comment and photos by funabashi

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中山うり ライヴスケジュール

10/06/18 @ 東京キネマ倶楽部

詳細はこちらでご確認ください。

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"Uri Nakayama EP feat. 月とラクダの夢を見た、Blu Voyage、マドロス横丁、ノスタルジア & 走る女"(iTunes)
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button待ち焦がれた歌が、今ようやくこの場所で : ハンバート・ハンバート (28th Sept. @ 渋谷クアトロ)
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