Smashing Mag / Chiyopon? (チヨポン) @ Nagoya Bokumo (27th Feb. '10)

　名古屋の矢場町にある、ワインバー・ボクモ。矢場町というと大手百貨店が密集し、個性的な店が多数軒を並べる大須まで近いなど、若い世代が多い町だ。しかし路地をちょっと奥に曲がると、雰囲気のある飲食店が点在する、大人の隠れ家でもある。ここ、ボクモもまさにそんな店の一つ。もともとラジオ番組の制作にかかわっていたオーナーが開いた店だ。定期的にライブイベントや朗読、講習会のようなイベントなども行われており、この日、初めて本格的なバンドセットで、chiyopon？（チヨポン）のライブが開かれた。

　chiyopon？（チヨポン）は、チヨティア（ボーカル）、村上ポンタ秀一 (ドラム)、濱中祐司 (ギター)の3人からなるトリオ。チヨティアは東京生まれ、ハワイ育ちのシンガー。ジャズやハワイアンミュージックのほか、映画の挿入歌で参加するなど、幅広く活動している。そして、その土台を固めるのが、日本を代表するドラマー、村上ポンタ秀一と濱中祐司という布陣。聞いただけでワクワクが止まらなかった。

　会場は決して広いとは言えない。店内に初めてドラムセットを持ち込んだため、急遽ステージが作られていた。その分客席も狭くなっていて、30人も入ったらパンパンなほど。逆に、こんな間近で村上ポンタ秀一のドラムが見られるなんて、なんて幸せなんだろう。

　この日のセットリストは、スタンダード、オリジナルを交えた構成。フラダンスで踊られるような、しなやかな手の動きを交えて歌う姿は、２つの国の文化を併せ持つからこそ。そよぐ風のにおい、荒々しい海の波、自然の情景を体を使って表現しながら届けられる声は、力強くもはかない。別の国でありながら、自然を大切にするという共通する気持ちを、しっかりと届けるシンガーだ。

　そして、その土台を支える村上ポンタ秀一の存在感は言葉にできない。1メートルもないくらいの距離で聞いていたこともあるが、抑えていた力を解放したときの迫力はすさまじいものがある。これが還暦を迎えようというドラマーの迫力なのか、信じられなかった。

　28日の大阪を経て、九州、東京へとツアーを続ける彼ら。もしも都合がつくのなら、日本を代表するドラマーと若き才能が作り上げるひととき。体験してほしい。