テイスト・オブ・ケイオス@ 難波ハッチ (24th Jan. '10)
feat.イン・フレイムス、アトレイユ、シーケーワイ、 エンドレス・ホールウェイ、イーチ・オブ・ザ・デイズ
初春に咲き乱れた五色の鋼鉄音
Part.1 イーチ・オブ・ザ・デイズ、エンドレス・ホールウェイ
テイスト・オブ・ケイオス(以下TOC)が今年も日本に襲来した。エモ・スクリーモといわれる類のラウド系イベントとして2005年に産声を上げて以来、若者たちを中心に親しまれてきたTOCだが、ちょっと今年は系統が違う。ヘッドライナーとして、スウェーデンが誇るメロディック・デス・メタルの重鎮、イン・フレイムスをまさかまさかの招聘。他にもオレンジ・カウンティ出身のスクリーモ/メタルコアバンドのアトレイユ、ストーナー寄りの危ない爆音を操るCKY(シーケーワイ)、1月に日本デビューを飾ったばかりのエンドレス・ホールウェイという3つの海外バンド、そして国内からは名古屋出身のメタリック・ハードコア6人組のイーチ・オブ・ザ・デイズが出演。真冬の寒波が襲う初春の日本にも、五色の鋼鉄音が咲き乱れる夜となった。しかしながら、なかなかコアどころを抑えているイベントにも関わらず、集客が芳しくなかったのがとても残念ではあったが。
まず最初に登場したのが、数日前に急遽出演が決まったという、名古屋の6人組のイーチ・オブ・ザ・デイズ。新人ながら、映画"ソウ6"の国内盤コンピレーションに日本人で唯一参加したという肩書きから、確かな実力を伺わせるバンドだ。
ライブ前日にアー写を確認した程度で、音楽の予備知識無しのほぼ空っぽの状態で見たのだが、これがまた活き活きとしている。ヴォーカル、ギター2本、ベース、ドラムにパーカッションという編成で、スリップノット辺りを意識していることを思わせる爆音を会場内に轟かせていた。7弦ギターを使用した重量級のギターリフを、バキバキのベースやアグレッシヴなドラムとパーカッションのリズム隊がしっかりと支え、グロウル(いわゆるデス声)を多用した攻撃的なヴォーカルがそこに絡んでいって迫力のサウンドを吐き出す。疾走とミッドテンポの転調を繰り返すメタルコアらしいスタイルを堅持しながらも、海外勢に引けをとらない破壊力と重量感を持っていて、予想以上のインパクトの大きさには驚きを覚えた。
曲間にはいかにもメタルなギターソロを挟んで小憎らしいテクニックを見せ付けたり、クリアな歌声で鋼鉄の音色に色彩を与えたりという見せ場も多々あり。曲をタイトに締め上げ、先導していくドラムを叩いているのが、スリムな女性であるというところも印象的でおもしろかった(逆にパーカッションの男子の存在が、その分薄くなってしまっていたが)。それでも、曲の聞かせ方には荒い部分もあるように感じたのだが、大舞台にも肝が据わって勢いのある演奏を見せてくれたのは素直に良かったと思う。このステージで演奏できることの喜びが音に込められており、懸命にオーディエンスと戦っているメンバーの精一杯の姿にはひきつけられるものがあった。新曲の披露も含めて約20分ほどのライブであったが、このステージに立っていることがフロックではなかったことを証明したライブになったのではないかと思う。
約20分間の転換時間を挟み、今度はエンドレス・ホールウェイが登場。こちらはロサンゼルスからやってきた5人組。今年に入ってようやく日本盤が発表となった期待のバンドである。
オーソドックスな編成からなる彼等の音楽は、爽快な昂揚感に包まれるというのが第一印象だろうか。軽快なビートに乗せて、キャッチーな歌とハイトーンの絶叫が交錯するそのサウンドは、力強い中にも柔軟さがあるといった印象で、気持ちのいいコーラスで一体感を生んだり、シンセを入れて空間を装飾したりという持ち味も発揮していた。攻撃性とメロディアスな部分をバランスよく混合、それでいて歌やメロディのフレーズの端々が透明感があって耳にすっと入ってくるのが良い。そして、新鮮で若々しいエネルギーに溢れていて、客席の反応も上々だった。TOCというイベントに似合っているとは思えなかったりもするのだが、個人的には初期のロストプロフェッツやフォール・アウト・ボーイ辺りを思い起こさせてくれて、なかなか良かったのではないかと思う。
また、全然わからなかったけど、ニルヴァーナの"ブリード"を堂々とカヴァーしていたそうな(私はニルヴァーナは好きではなかったり。アリス・イン・チェインズは好きなのですが)。それに"となりのトトロ"を口ずさんだり(わたしはげんき〜の部分)もしていて、妙に日本のことに詳しかったのが面白かった。
|
report by takuya and photos by takumi
|
|
|