Full Swing @ Shimokitazawa 440 (24th Jan. '10)
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ハモンド・オルガンとベースによるデュオ、フルスイング。3作目となるアルバム、『アワー・ソング』、その全国発売に合わせたレコ発ワンマンライブが下北沢440にて開催された。記念すべきレコ発ということもあり、サポートするメンバーは実に彩り豊か。ドラム、ギター、サックス、トロンボーン、さらにはペダルスティールも加わり、総勢9名のバンド編成となった。
フルスイングの音楽は、ジャズやファンク、ソウルといった香りを漂わせながらも、とにかくポップに仕上げられているのが大きな特徴だ。その主軸となるのはやはりハモンド・オルガンで、感性豊かなシンガーが高らかに歌い上げるような、柔らな音色がレスリー・スピーカーから響いてくる。その音を土台で支えるのがエレキ・ベースによるキレのある低音だ。このふたつの音がフルスイングのバンド・サウンドの基盤となる。だが、ライブではこのメンバー以外のパートも負けていない。"レイニー・ソング"ではペダルスティールが切なく歌い上げ、しっとりとしたバラード曲ではホーン・セクションが足並みの揃った演奏で曲を盛り立てる。各楽器の魅力を引き出していきながらも、最後に美味しいところを持っていったのはやはりハモンド・オルガンだった。アンコールではオルガン奏者の山口がひとりで登場し、"オーバー・ザ・レインボー"をしっとりと情感を込めて弾き上げる。会場内に静けさが立ち込め、その場の誰もがハモンド・オルガンの音に耳を澄ました。静寂の中から沸き起こった拍手はやがて手拍子となり、バンドの演奏にまで溶け込んでいく。そしてその手拍子が再び大きな拍手に戻ったところで、フルスイングのライブは幕を閉じるのだった。
最後に余談になるが、彼らの新譜について、そしてバンドについて少しだけ触れたいと思う。今回リリースされた『アワー・ソング』はバンドにとって3作目のアルバムとなるのだが、そこに至るまでの道程は決して平坦なものではなかった。前2作が発売されたのは2003年のことで、その間にはメンバーの脱退と加入が相次ぎ、風の噂で耳にした新作リリースといった話題も、噂のまま煙のように消えていってしまったのだ。そんな状況の中、彼らの動向を知る唯一の手段がライブだった。デュオとして、ときにはオルガン奏者である山口のソロ活動の場として、小さなバーや都内の公園などがその舞台となる。そういった文字通り草の根の活動を続けること6年強、ライブで培われ続けたエネルギーがようやく形になったのが、今作『アワー・ソング』なのだ。とはいえ、バンド活動の裏にある苦労などといった湿っぽい話はしたくない。この場で伝えたいのは、エネルギーを持て余したこのバンドが、アルバムの発売とともに表舞台で暴れ回る狼煙を上げたということなのだ。今後のライブの予定にはチャージのかからないインストア・ライヴなども含まれているので、これを機に足を運んで頂ければと思っている。
-- setlist --
(1st set)
Groovin’ / On a SunnyDay / Westside Chicano Chant / A Rainy Song / Shooting Star / The March Of Parade / Brother Jack / Father Dozed Over A Book
(2nd set)
Apartment / Happy Hours / Humpty Dumpty / Favorite Phrase / Lucky Seven / Sunset Clouds / Our Song / Express Train
-- encore
Over the Rainbow / いつか王子様が / Sugar Pot
comment and photos by funabashi
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Full Swing ライヴスケジュール
10/01/31 @ 渋谷 タワーレコード 5Fイベントスペース
10/02/10 @ 国立 地球屋(※ハモンドオルガンとドラムのデュオで出演)
10/03/14 @ 新宿 タワーレコード 7Fイベントスペース
10/03/22 @ 三軒茶屋 グレープフルーツムーン
詳細はこちらでご確認ください。
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2010
Full Swing : (24th Jan. @ Shimokitazawa 440)
2009
音楽酒場で唄と酒を:佐藤良成 (25th Dec. @ 下北沢ラ・カーニャ)
Shang Shang Typhoon : (19th Dec. @ Tokyo Kinema Club)
Nice Time Nice Live Nice Music : intro & overall photo view& overall view feat. Goodbye My Love, Humbert Humbert (21st Nov. @ Mukaishima Orchid Center)
Kenichi Hasegawa : (15th Nov. @ Sangenjaya Grapefruit Moon)
Human Beat Jumbo Band : (10th Nov. @ Shinjuku Loft)
Humbert Humbert : (7th Oct. @ Shibuya AX)
秋のスタート地点:ハンバート・ハンバート (11th Sep. @ 新宿タワーレコード)
Nice Time Nice Live Nice Music : intro & overall view feat. Ego-Wrappin', Kourin, Chocolat & Akito, Breath Mark, Double Famous, Cutman-Booche, Copa Salvo, Humbert Humbert, Osaka Monaurail (22nd Aug. @ Aoyama Eats and Meets Cay)
Interview : 現代フォークの新たな潮流 : 良元優作 (29th Jun.)
天国へとつづく音 : Clammbon (12th Jul. @ Shinkiba Studio Coast)
cutman-booche : (11th Jul. @ Daikanyama Unit)
Goodbye My Love : (29th Jun. @ Shibuya Club Quattro)
Afrirampo : (29th Jun. @ Shibuya Club Quattro)
Rock on the Rock 2009 feat. Your Song Is Good,Shione Yukawa,Sakerock, Ikue Asazaki,Scoobie Do,Ego-Wrappin' And The Gossip Of Jaxx(16-17th May. @ Mikawa Bay Resort Linx Beach)
日本、東京、ハンバート : ハンバート・ハンバート (28th Mar. @ 渋谷O-WEST)
サウス・バイ・サウスウェスト:feat. ザ・リー・ボーイズ / アシャ / ザ・ルーラル・アルバータ・アドバンテージ / レイチェル・グッドリッチ / エイミー・ラヴィア / ヘイ・ネグリータ / ウォーリス・バード / モリアーティ/ (18th to 22nd Mar. @ オースティン, テキサス)
Inushiki : (22nd Feb. @ Gosetsu Jam )
Humbert Humbert : (21st Feb. @ Shibuya Duo )
2008
童話の世界に描かれた美しき物語 : ハンバート・ハンバート (7th Dec. @ 世田谷パブリックシアター)
昭和模様に染まった平成歌謡の宴 : 中山うり (5th Dec. @ 東京キネマ倶楽部)
再始動への決意と共に : 岸眞衣子(22nd Oct. @ 六本木スーパー・デラックス)
新人ロックバンドが駆けはじめる : グッバイマイラブ(15th Oct. @ 新宿紅布)
広がっていく、トリオの可能性 : カットマン・ブーチェ (8th Oct. @ 柏ドランカーズ・スタジアム)
緻密に計算されたド変態プレイ : 54-71 (2nd Oct. @ 渋谷O-Nest)
待ち焦がれた歌が、今ようやくこの場所で : ハンバート・ハンバート (28th Sept. @ 渋谷クアトロ)
活動再開の狼煙は京都から : ハンバート・ハンバート (6th Sept. @ 京都音楽博覧会2008)
魂の歌にやられた夜 : アシャ (5th Sept. @ 京都磔磔)
CD review : アシャ : アシャ (30th Aug. )
『共演…、競演…、狂宴!』 : パノラマ・スティール・ オーケストラ (28th Apr. @ 渋谷O-EAST)
『ただのポップ・ソングで終わらないワケ』 : 高鈴 (22nd Mar. @ 姫路マハ)
肩書きの枠を越えた歌を届ける : 一ノ宮頼子 (15th Mar. @ 竹ノ塚音楽倉庫)
旅に出たくなる理由がある : ハンバート・ハンバート (26th Jan. @ 博多百年蔵)
2007
全国ツアーへのスタートダッシュ、出だしは好調! : ア ナム & マキ (7th Sept. @ 渋谷クラブクアトロ)
アコーディオンが織りなすマジック : 中山うり (17th Aug. @ ライジングサン・ロック・フェスティヴァル '07)
何も変わっていない : 中山うり (12th Jun. @ 渋谷デュ オ)
CD review : DoReMiFa (ドレミファ) : 中山うり (23rd May.)
ヨレヨレの旅 - ジャマイカ・フェス編 : ヨレヨレ (19th Mar. @ One Love Jamaica Festival in 代々木公園)
またひとつ、帰ってきたい場所ができた : シアター・ブ ルック (6th Mar. @ リキッドルーム恵比寿)
アメリカの原風景が見えた : ヤオアオ (6th Mar. @ リキ ッドルーム恵比寿)
旅人たちのブルース : ケイソン (6th Mar. @ リキッドル ーム恵比寿)
CD review : DoReMiFa (ドレミファ) : 中山うり (23rd May)
ヨレヨレというバンドを紹介します : ヨレヨレ (24th Mar. @ 市川ザズー)
column : 定例 こ れを見逃すな! : ウェイビー・グレイビー (31st Mar. & 1st Apr.)
column : 定例 こ れを見逃すな! : 中山うり (27th Mar. @ 渋谷デュオ)
ジ・アルバム・リーフ & パラ : 音に似合わぬ人間味 (13th Jan. @ リキッドルーム恵比寿)
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