ファウンテインズ・オブ・ウェイン @ 渋谷クラブクアトロ (19th Jan. '10)
待ち焦がれる夏
1月だというのになぜか気温が4月下旬並みに上がったこの日、ファウンテンズ・オブ・ウェインは来日公演の最終日を迎えた。日本の冬は決して長いわけではないけど、早く春が来て、そして夏になることが待ち遠しくなるような気持ちにさせられたライヴだった。
オープニングはパーシーフェイス・オーケストラの『夏の日の恋(The Theme From"A Summer Place")』で入場し、終わって客電が点いたときにはビーチボーイズの"Then I Kissed Her(ゼン・アイ・キッスト・ハー)"が流れるという演出。しかも、「夏といえば、車、女の子、アルコール……」なんていって演奏されたのが、"It Must Be Summer(イット・マスト・ビー・サマー)"なんだけど、そのひとつ前は、新曲の"The Summer Place(ザ・サマー・プレイス、まさにオープニングの曲と同じタイトルだ。まあ向こうの定冠詞は"A"だけども)"という。そして、すでに話題になっているけど、フジロック出演も明らかにしていた。そうなると早く夏来ないかなぁ、ということばかり考えてしまう。1月だけどフォーエヴァー・サマー。サマーが365日。
今回の来日公演は、アコースティック・ロック・ツアーというツアー・タイトルがついていたけど、ギターやピアノがアコースティックであるという意味合いであり、ベースはエレクトリックだったので、完全なアンプラグトではなかった。ただ、ファウンテンズ・オブ・ウェインには、もともとアコースティックな曲はあるし、最近はカントリーぽい曲も増えていたので、すんなりとライヴに入っていける。アコースティックがもたらす音楽的な変化というよりも、メンバーが肩の力を抜いた姿を楽しんで貰うライヴだったのだ。
そして浮き上がってくるのは「ファウンテンズはやっぱりいい曲を書くなぁ」ということで、特に1stや2ndアルバムの曲は、いつまでたっても色あせないメロディを十分に堪能できた。ポップで印象的なメロディはアコースティックなアレンジとやっぱり相性がよい。アコースティック・ギターとドラムのブラシ使用で印象がはっきり変わったのは、スローにしてムーディーになった"Stacy's Mom(ステイシーズ・マム)"くらいだったけど、この曲がまた絶品というべき出来だった。もとのアレンジもよいのだけど、少年が大人になったくらいの違いがあって、そうした"Stacy's Mom"が聴けたのは貴重だった。
お客さんをステージに上げてパーカッションを担当させた"Hey Julie(ヘイ・ジュリー)"や、ピンク・フロイドの"アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール"のカヴァーその他いろんな曲がメドレーで演奏された"Radiation Vibe(ラディエーション・ヴァイブ)"、「スペシャル・ゲスト、スティーヴィー・ワンダー(アダムがグランドピアノの前に座ったときに)」「ベース、ジョン・エイントウィッスル(ジョディがギターからベースに持ち替えたとき)」「ドラマー、シーラE(ブライアンを指して)」……と、ふざけたメンバー紹介など、いつものように遊び心がいっぱいだった。
メンバーの外見が変わろうとも、まさにエヴァー・グリーンな音を保っているのが奇跡的であり、ゆえに、ずっとファンやってますという人がたくさんライヴに来ていた。前回の来日レポートでも書いたけど、それが90年代にギターロック、ギターポップ、パワー・ポップに取り憑かれた人たちの同窓会のような雰囲気を醸し出していた。やっぱり今度のフジロックでは晴れ渡った青空の下で聴きたい。そしてフジロック出演でどう変わるか。新たなファンを開拓し、同窓会の人数が増えっていったらうれしい。
また苗場で会いましょう。
-- set list --
Please Don't Rock Me Tonight / Little Red Light / Someone to Love / The Summer Place / It Must Be Summer / Cold Cpmfort Flowers / Hey Julie / A Road Song / Red Dragon Tattoo / Valley Winter Song / I-95 / Fire in the Canyon / Leave the Biker / Bright Future In Sales / Radiation Vibe
-- encore --
Cemetery Guns / Denise / Stacy's Mom / Survival Car
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report by nob and photos by izumikuma
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