buttonレーヴェン
@ 渋谷クラブクアトロ (6th Jan. '10)

キツネとともに走れ!

Räfven
 Räfven(レーヴェン)というのは、スウェーデン語でキツネという意味だそうだ。2009年のフジロックでレーヴェンは、まさにキツネのようにすばしっこく、いろんなところに出没して、油揚げならぬ、お客さんの気持ちを掻っさらっていった。スウェーデンの音楽といえば、カーディガンズやトーレ・ヨハンソンに代表されるようなおしゃれポップ、もしくは北欧系メタルというイメージがあり、正直こうしたバンドがいるなんて知らなかった。

Räfven この日渋谷クラブクアトロは、まずまずのお客さんの入り。時間が経つにつれて増えていってかなり埋まっていた。お客さんのほどんどがフジロック体験者、もしくはフジロック09の噂を聞きつけたり、フジロックを体験した友人に誘われたりして来たのだろう。自分は残念ながらフジロックで体験できなかったので、初レーヴェンである。

 未知のバンドがやってきたときには「まず自己紹介して、それから演奏する国の人に受け入れられそうな曲をやって……」という段階を踏むのだろうけど、レーヴェンは違った。すでにフジロックでの刷り込みが強烈だったので、会場が暗くなったら途端に「レーヴェン、レーヴェン」の大合唱が巻き起こる。いきなりのハイテンションである。

Räfven 最初の音が出た瞬間にフロアにいるたくさんの頭は、リズムに合わせて一斉に動きだした。サックス&フルート、ヴァイオリン、アコーディオン、トロンボーン、アコースティックギター、マンドリン(タンブラ)、ウッドベース、ドラムという編成で、ヴォーカルはほとんどのメンバーがとる。バンドの一体感は路上の演奏で鍛えられたもので、イキのいい音がビシビシ飛んでくる。そうした音にお客さんたちの反応もすごい。昔から知っているバンドのように、ステージとフロアの呼吸が合っているのだ。手拍子はすぐやるし、モッシュサークルを作るしで、いわゆる「民俗音楽のライヴ」とは全く違い、ロックのライヴとなっていた。

Räfven「ランバダ」の「チャ〜ラララ〜チャララララララララ〜」という今となっては気恥ずかしいメロディも堂々と奏でるし、タンゴや「コンドルは飛んでいく」ぽいメロディのフォルクローレなどのラテン風味もあれば、東ヨーロッパの感じもあるし、アルバムを聴いていると「これは渋さ知らズだなぁ〜」と感じるところもある。お祭り感覚や演歌的な哀調もある。フラフープの大道芸が出てくるのも、どこか渋さ知らズっぽい。それでいてロック、それもメロコア・バンドのライヴのような雰囲気だったのだ。カメラマンは「スウェーデンの赤犬だ!」といっていたけど、そう考えると、このノリやお客さんの雰囲気もなるほどと思えてくる。

Räfven それは、ドラムのプレイ・スタイルや迫力が完全にロックのものであるのもひとつの要因だろう。もちろん、8人それぞれがすさまじい演奏をしているけど、ロック的な推進力はドラムのおかげだ。そのおかげでタテノリを生み出すことができた。その功労者である、ドラマー、Per Svenner(ペア・スヴェンナー?? スウェーデン人なので発音がわからない)は、後半には華麗なドラムソロもみせてくれた。イケメンで上半身裸でバシバシ叩きまくる姿からすると、どうやら女性のお客さんもたくさん連れてきたと思われる。この手のライヴにしては女性の割合がかなり高かった。

Räfven それにしても、改めて思うのはフジロックのすごさである。例えば、渋さ知らズやストリング・チーズ・インシデントなどのフジロックでブレイクしたバンドは、そのバンドが持つロック的なところや、ダンス的なところにお客さんが気づいたんだ、といえる。日本人のジャズミュージシャンが好きな人しか知られなく、アンダーグラウンドな存在だった渋さ知らズはフジロックによって「ロックとして聴いてもカッコイイじゃん」「踊れて楽しいじゃん」という面を引きずり出したのだ。レーヴェンはそのままだったら、ワールドミュージックのマニアにしか知られなかっただろうけど、これはフジロックの場所とお客さんと、もちろんバンド自身が新たな魅力を探り当てたのだ。「できるならまたフジロックに出たい!!」と英語でMartin Nurmi(マーティン? スウェーデン語ならマルティンか?)が叫んだようにフジロックの場で再会できることを願おう。

--set list --(原文にはスウェーデン語特有の表記ありますが省略しています)

1.Intoro / 2.Bocka-Par / 3.Ale Brider / 4.Bagarn och Baggen / 5.Paradmarch / 6.Emma / 7.Knivtango / 8.Russet / 9.Ragblod / 10.Basmarch / 11. Skalmsjukan / 12.Hej Hej / 13.Jag ger mig aldrig / 14.Snokvals / 15.Bei Mir / 16.Rebben / 17.Franz mardrom / 18.740 / 19.Amica / 20.Tack ska en ha / 21.Kalle mazltov / 22.Vasteras / 23.Mustafa / 24.Joschka

--encore --

25.Katten / 26.Boris / 27.Dagslandor och ho


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