ジェット @ 新木場スタジオ・コースト (5th Jan.'10)
ロックンロールとは「ぶっちゃける力」である。

ジェットというバンド名ってすごいと思う。この単純明快さ、開き直りがすごい。誰でも思い付くけど、すでにどこかの誰かが名乗っているんじゃないかと遠慮せず、「このバンド名で天下とったるわ!」という思いの強さを感じるのだ。
新木場のスタジオ・コーストに向かう道の右手に遠く東京タワーやレインボーブリッジやお台場の観覧車が、左手には葛西臨海公園の観覧車が見えてる。華やかなものが見えるのに、スタジオ・コーストの周りは倉庫だらけで寒々しい。運河を渡ったところにある会場に入ると、周りの寒々しさとは打って変わり、大勢の人たちによる熱気があった。ステージ背後には大きく「JET」とあるバックドロップが垂れ下がり、同じようなロゴがバスドラムにもあった。
すでにオープニングアクトが演奏しているときに着いたのだけど、人だかりができていてステージがみえずらい。新年早々人が集まってるなぁと感じる。セットチェンジ中にはレディオヘッドの"ナショナル・アンセム"やロキシー・ミュージックの"ラヴ・イズ・ザ・ドラッグ"が流れる。ジェットの演奏が始まるの時間は19:50と聞いていたけど、20:08ころになってようやく客電が落ちて、ラテンぽいパーカッションの乱れ打ちが大音量で流れる。そしてメンバーが現れ、"Rip It Up(リップ・イット・アップ)"の演奏に入っていったとき、会場の心を グッと掴み熱狂を引きずり出した。最高の立ち上がり。そして、そのテンションを最後まで落とすことはなかった。ワイルドなギターが豪快なリフを鳴らせば、どっしりしたドラムが迫力を生み出す。そんな音の向こうにはオーストラリアの大陸が広がっているのが見える。
ワインを瓶のままラッパ飲みしたり、"Kings Horses(キングス・ホーセズ)"のイントロを間違えてやり直しても、それはそれとしてご愛敬。やっぱり印象に残るのは「盤石」というしかない安定感である。アンコール4曲も含めて1時間半、ちょうどいいヴォリュームで満足できる演奏時間だった。
そして、みんなが待ってた瞬間がくる。ニックがタンバリンを手にし、もう「みんな分かってるんだろ?」という表情でタンバリンを鳴らしはじめると、気づいたお客さんたちから歓声が上がり、ベースがモータウン風のラインを弾き、歓声がさらに大きくなる。そして、ドラムが力強いリズムを叩き、荒々しいギターが加わって"Are You Gonna Be My Girl(アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール)"が始まった。会場全体が激しく踊りまくる。バンドは曲の盛り上がる箇所で演奏を止めて、お客さんを煽って会場のボルテージをさらに上げるという余裕をみせる。そしてニックが「ア〜ユゥ〜ゴ〜ナァ〜ビィ〜マイガ〜!!」と叫んで歓喜が爆発に達する。
ジェットをみていると、ロックンロールはどれだけぶっちゃけられるか、その強さで人の心を掴むのだ、ということを痛感する。これほどまでにストレートな名前を名乗り、しかも「キャリア浅いはずなのに、何この大物感?」という、この堂々とした態度に魅了されるのだ。
-- Set List --(原文。フル・タイトルはフォトレポートを見てください)--
01. Rip It Up / 02. Money Mouth / 03. Genius / 04. Beat On Repeat / 05. Hey Kids / 06. Walk / 07. Get What U Need / 08. La Di Da / 09. Come Around Again / 10. Kings Horses / 11. Skin And Bones / 12. Take It Or Leave It / 13. Black Hearts / 14 R U Gonna / 15. 17 / 16. (Holyday) / 17. Cold Hard Bitch
-- Encore --
18. Goodbye Hollywood / 19. Shine On / 20. Times Like This / 21. Get Me Outta Here
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report by nob and photos by terumi
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