buttonザ・ボゥディーズ & ザ50回転ズ
in カウントダウン・ジャパン 09/10
@ 幕張メッセ (31st Dec. '09)

去年飛躍したバンドと、今年もっと飛躍してほしいバンド


 大晦日。海浜幕張に向かう電車の中には、大きな袋やスーツケースを持った人が目立つ。この時期はこれから「行く人」と「帰る人」が入り混じっている。それこそ「夢の国」で過ごそうとしている人もいるだろうし、今年、50回転ズたちが出る巨大イベントの隣の会場(その会場は今年エレグラがおこなわれた)では、大変人気のある日本のバンドがカウントダウン・ライヴをおこなうということもあって、さまざまな人が、それぞれの目当てに向かって同じ電車に乗っている。

 カウントダウン・ジャパンの会場は、幕張メッセに大きい順にアース、ギャラクシー、コスモ、ムーンというステージが4つある。アースは数万人収容でメインステージ、ギャラクシーは1万人前後、コスモとムーンは同じくらいでそれぞれ2千人くらいだろうか。他にもDJブースやフードコートや休憩用リクライニングシートが並ぶところなど、長時間コンクリートの床の上を過ごさせるための工夫がある。

 コスモステージは、ボゥディーズが始まる前にはすでに満員だった。今年の勢いを聞きつけ、その噂のバンドをチェックしようという人も集め、期待感は上がっていった。バンドが登場すると、大きな歓声に包まれた。1曲目はお客さんの反応を探るようにスウィートなラヴソングである"I'm in love with you(アイム・イン・ラヴ・ウィズ・ユー)"で始まった。一斉に体を揺らすお客さんたち。

 そして、つかんだ後にこれから本題に入ります、っていう感じで"Emotion Potion(エモーション・ポーション)"から攻撃的な選曲でお客さんたちをロックンロールに巻き込んでいく。ボゥディーズのファンもいるだろうけど、こうしたイベントには、一見さんもたくさんいるわけで、そうした人たちをどのように自分たちの世界に馴染ませるかというのが、それぞれのバンドの課題ではあるのだけど、"Emotion Potion"のサビでお客さんたちが一斉に手を挙げて反応し、ボゥディーズの音を受け止めていたのだった。早くも"Keep on rock'in(キープ・オン・ロッキン)"で満員のお客さんの手拍子を促し、コール&レスポンスをおこない、お客さんたちとの絆を確かなものにした。

 後半の"I beg you(アイ・べグ・ユー)"、""It's too late(イッツ・トゥ・レイト)"、"You gotta dance(ユー・ガッタ・ダンス)"は非常に攻撃的なロックンロールに仕立て上げられて勢いで乗り切ったのだった。時に恵まれたという印象がある。勢いあまってロイがMCを噛んでも、マーシーにMCをさせようと話を向けて、いつものように上手く喋れなくても、やんちゃにギターを弾くジムも、何もかもすべては愛嬌として許されちゃう、そんなキャラクター込みでみんなに好かれていくのだなと感じるのだ。だからこそ、ロイの渋すぎる声も、ロックンロールやR&Bに対する信仰に根ざしたマニアックな音楽性も、そのギャップとして受け入れられるのだ。

 同じような趣味を持つ人が一生懸命考えてみんなに受け入れられようとしていたことを、ボゥディーズはマジックを起こして、みんなに愛されようとしている、最近の彼らのライヴはそんな奇跡を目撃できる場になっているのだ。

-- set list --

I'm in love with you / Emotion potion / Keep on rock'in / Everyday's a newday / I beg you / It's too late / You gotta dance

 年が明け、3時を過ぎてお客さんたちも疲れてきた。カウントダウンが終わり、電車は一晩中動いているので帰る人もいるし、会場で寝ている人もいるし、あらゆる面で不利な時間帯である。ムーンステージの最後も最後に50回転ズが登場した。本番が始まる前に、彼らは頭に袋をかぶってリハーサル。ワイプ・アウトのカヴァーをおこない疲れているお客さんに活を入れる。そして、仕切り直して、3時40分、定刻にステージへ。「この野郎! 待ちくたびれたぞ!」とダニーが吠えてライヴが始まった。名刺代わりの"50回転ズのテーマ"で一気にお客さんたちを引っ張り上げる。疲れているけどなんとかステージを観ようとする人もいる一方で、50回転ズの登場に合わせて体調を万全にしている人もいて、おれの横では男女数人が輪になって元気に踊っていた。

 バンドは夜に関西を出て、日付が変わる前にようやく会場入り。そのため疲れることなく絶好調。ステージ上所狭しと動き回り、暴れまくる。「これはお前らのお年玉だ!」と"MONEY! MONEY!(マネー・マネー)"を演奏したあと、数年ぶりの"天王寺エレジー"が来た。演歌のようなムードを醸し出し、そこにやぐされたギターまさに「朝はまだ遠」い時間帯にふさわし曲である。そういえば、「オールナイトロング」も、"Youngers On The Road(ヤンガーズ・オン・ザ・ロード)"の「ベイビー東の空は明るいぜ/ほらもう明日がやってくる」もこの時間にふさわしいきょくに思えてくるのだ。

 ロックンロールへの素直な信仰告白であるロックンロールマジックも、まだCDとしてリリースされていないけど、お客さんたちに浸透しつつある。それから、"Youngers On The Road(ヤンガーズ・オン・ザ・ロード)"そして、"Thank You For Ramones(サンキュー・フォー・ラモーンズ)"では、何だかんだいっても、長かったフェスの最後の最後を名残惜しむようにお客さんたちの盛り上がりを誘ったのだ。"おさらばブギウギ"のコール&レスポンスもきれいに決まり、いったん彼らはステージを去る。そして、まだまだロックンロールを求めるお客さんに応じて"Mr.1234MAN"。勢いあるんだけど、どことなく切なさがあるロックンロールがフェスに必要なんだということを知らしめたのだった。

 ライヴが終わり、彼らに話を聞きにいく。テンションはまだ高く、あまり疲れはみられなかった。2009年を振り返ってもらうと、「ドイツでライヴをしたこと、ライヴの本数は少なかったけど濃いライヴが多かった」とドリー。「今までレコーディングは嫌いだったけど、曲もたくさんできているのでレコーディングをしたい。そしてリリースしたい」とダニー。そして、これからは「今のバンドは素晴らしい状態で、どんどんかっこよくなっている。多くの人に観てもらいたい」とドリーが語ると、ダニーは「いつもライヴに来てくれている人がいるんだけど、友達も呼んできてほしいなぁ」と、偽らざる心境も。確かに今の彼らの充実はすごいと思う。2009年は、ライヴは充実していたけれども、もうひとつ突き抜けられなかったので、2010年は、またステップする年になってもらいたいと願うのだ。

-- set list --

50回転ズのテーマ / マブイあの娘 / OH! ALL NIGHT LONG / MONEY! MONEY! / 天王寺エレジー / ロックンロールマジック / YOUNGERS ON THE ROAD / Thank you for RAMONES / おさらばブギウギ encore Mr.1234Man

report by nob

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