button佐藤良成 @ 下北沢ラ・カーニャ(25st Dec. '09)

音楽酒場で唄と酒を


Ryosei Sato
 当サイトを定期的にチェックしてくれている方であれば、ハンバートハンバートやグッバイマイラブという名前を耳にしたことがある人もいるかもしれない。今回紹介したいのは、それらのバンドの面舵を取る佐藤良成によるソロライブだ。2008年の夏までは毎週木曜日に定期的に行われ、バンドと並行して行われた活動は数年間に及んだという。現在は年数回程度と活動頻度は減ってしまったが、バンドとはひと味違った佐藤良成という音楽家の側面をのぞくことができる貴重な場所なのだ。

Ryosei Sato 店に到着したのは開演の20分前程度。狭い店内には椅子がみっちりと敷き詰められ、60人限定で販売された席の大半はすでに埋まっている。この場所で佐藤のソロを初めて見たのはおよそ2年くらい前になるのだが、当時は多い日でも20人に満たないくらいの客入りだったはずだ。ハンバートハンバートの人気と共に客足も増し、その年齢層はグッと下がったような印象がある。とはいえ、取り巻く環境に変化はあっても、佐藤の立ち振る舞いに変わりは無い。ギネスがたっぷりと注がれたグラスを持ち、ギターを手に取る。そうしていつもと同じように歌がはじまるのだ。

 自身のバンドの楽曲に加え、自主制作のソロCDに収録された曲、そして佐藤が敬愛するミュージシャンのカバーによってライブは構成される。オリジナルとカバーの比率は5分5分といったところか。ニール・ヤングやトム・ウェイツなど、自身のルーツとなる楽曲に、佐藤独自の解釈による日本語詞をのせていく。時には本来の歌詞とはまったく違う内容で歌われることもあるのだが、そこがまた佐藤の歌の魅力でもあるのだ。慣れた様子で歌うその姿からは、曲への愛情、そしてオリジナル曲の源流がここにあることを確認できる。また、後にバンドで披露される曲がひと足先にこの場で歌われることや、日頃あまり見せることのないピアノでの弾き語り、さらには即興で歌を作りあげることもある。何が飛び出すか分からない楽しさがあるのもソロライブならではだろう。

 静かな立ち上がりを見せたライブも、終盤を迎えるとともに徐々に盛り上がりを見せていく。後方から大きな歌声が響いてきたのは、ハンバートハンバートで歌われる"おいらの船"でのこと。声の主に目をやるとそれはラ・カーニャのマスターで、その奥にはハンバートハンバートの相方、佐野遊穂が嬉々として手を振っている姿もある。フロアいっぱいに埋まった客席のみならず、その後ろの関係者サイドもしっかりと盛り上がっているのだ。最後はその佐野もステージに呼び込み、2度のアンコールに応えて幕を閉じた。だが演奏が終わっても、この小さなバーでの楽しみはまだ終わらない。終演と共に客を追い返していくライブハウスとは違い、ここではゆっくりと飲んでいられるのだ。共に来た友人とライブの感想を語り合うこともできるし、ひとりで余韻を噛みしめながら飲むこともできる。今後のソロライブの予定は決まっていないが、バンドとは違った楽しみ方のできるこちらにもぜひ足を運んでもらえればと思う。
Ryosei Sato


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button音楽酒場で唄と酒を:佐藤良成 (25th Dec. @ 下北沢ラ・カーニャ)
buttonShang Shang Typhoon : (19th Dec. @ Tokyo Kinema Club)
buttonHumbert Humbert : (14th Dec. @ Shibuya O-East)
buttonNice Time Nice Live Nice Music : intro & overall photo view& overall view feat. Goodbye My Love, Humbert Humbert (21st Nov. @ Mukaishima Orchid Center)
buttonKenichi Hasegawa : (15th Nov. @ Sangenjaya Grapefruit Moon)
buttonHuman Beat Jumbo Band : (10th Nov. @ Shinjuku Loft)
buttonHumbert Humbert : (7th Oct. @ Shibuya AX)
button秋のスタート地点:ハンバート・ハンバート (11th Sep. @ 新宿タワーレコード)
buttonNice Time Nice Live Nice Music : intro & overall view feat. Ego-Wrappin', Kourin, Chocolat & Akito, Breath Mark, Double Famous, Cutman-Booche, Copa Salvo, Humbert Humbert, Osaka Monaurail (22nd Aug. @ Aoyama Eats and Meets Cay)
buttonInterview : 現代フォークの新たな潮流 : 良元優作 (29th Jun.)
button天国へとつづく音 : Clammbon (12th Jul. @ Shinkiba Studio Coast)
buttoncutman-booche : (11th Jul. @ Daikanyama Unit)
buttonGoodbye My Love : (29th Jun. @ Shibuya Club Quattro)
buttonAfrirampo : (29th Jun. @ Shibuya Club Quattro)
buttonRock on the Rock 2009 feat. Your Song Is Good,Shione Yukawa,Sakerock, Ikue Asazaki,Scoobie Do,Ego-Wrappin' And The Gossip Of Jaxx(16-17th May. @ Mikawa Bay Resort Linx Beach)
button日本、東京、ハンバート : ハンバート・ハンバート (28th Mar. @ 渋谷O-WEST)
buttonサウス・バイ・サウスウェスト:feat. ザ・リー・ボーイズ / アシャ / ザ・ルーラル・アルバータ・アドバンテージ / レイチェル・グッドリッチ / エイミー・ラヴィア / ヘイ・ネグリータ / ウォーリス・バード / モリアーティ/ (18th to 22nd Mar. @ オースティン, テキサス)
buttonInushiki : (22nd Feb. @ Gosetsu Jam )
buttonHumbert Humbert : (21st Feb. @ Shibuya Duo )

button2008

button童話の世界に描かれた美しき物語 : ハンバート・ハンバート (7th Dec. @ 世田谷パブリックシアター)
button昭和模様に染まった平成歌謡の宴 : 中山うり (5th Dec. @ 東京キネマ倶楽部)
button再始動への決意と共に : 岸眞衣子(22nd Oct. @ 六本木スーパー・デラックス)
button新人ロックバンドが駆けはじめる : グッバイマイラブ(15th Oct. @ 新宿紅布)
button広がっていく、トリオの可能性 : カットマン・ブーチェ (8th Oct. @ 柏ドランカーズ・スタジアム)
button緻密に計算されたド変態プレイ : 54-71 (2nd Oct. @ 渋谷O-Nest)
button待ち焦がれた歌が、今ようやくこの場所で : ハンバート・ハンバート (28th Sept. @ 渋谷クアトロ)
button活動再開の狼煙は京都から : ハンバート・ハンバート (6th Sept. @ 京都音楽博覧会2008)
button魂の歌にやられた夜 : アシャ (5th Sept. @ 京都磔磔)
buttonCD review : アシャ : アシャ (30th Aug. )
button『共演…、競演…、狂宴!』 : パノラマ・スティール・ オーケストラ (28th Apr. @ 渋谷O-EAST)
button『ただのポップ・ソングで終わらないワケ』 : 高鈴 (22nd Mar. @ 姫路マハ)
button肩書きの枠を越えた歌を届ける : 一ノ宮頼子 (15th Mar. @ 竹ノ塚音楽倉庫)
button旅に出たくなる理由がある : ハンバート・ハンバート (26th Jan. @ 博多百年蔵)




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