buttonフォーカス・オン・ヴォイス リヴィジット vol.1
feat. 篠原信夫、佐々木健太郎、近藤智洋、ジョウミチヲ
@ 下北沢440 (22nd Dec.'09)

新しい歌、変わらぬ空気

篠原信夫

 2004年から始まって、2006年8月にお休み宣言をしていたアコースティック・イベント"フォーカス・オン・ヴォイス"が復活した。ブロンディ・プラスティック・ワゴンの篠原信夫とウィルベリー(イベントが始まったときはダスクだった)のジョウミチヲと、ふたりが出てほしいと思うアーティストが集うイベント。それぞれを取り巻く環境や歌ううたは変わっても、兄弟のようなふたりが作り出す、笑いと歌があふれているイベントの空気感はぜんぜん変わっていない。新鮮さと懐かしさが同時に押し寄せてくる、いい空間だった。

佐々木健太郎 トップは主催者のひとり篠原信夫。スタートと最後を主催のふたりが務める方式は以前のままだ。唯一エレキでの弾き語りを見せる篠原の歌は一見突き放されるようで、その実、繊細な優しさがある。オリジナルはもちろん、シオンのカヴァー"12月"もじわっと響いてきた。MCもほとんどなく、ギターと自分の声だけで押し切った潔さは、主催とトップバッター、両方の責任を果たすに十分だった。

 次に登場したのは佐々木健太郎(アナログフィッシュ)。誠実そうな見た目を裏切らないまっすぐな歌をうたう。ひたすら好青年なのかと思いきや、途中でおもむろに日本酒の小ビンを取り出し、ぐびぐび飲み始めた! その飲み方が「ものすごくまじめな人が、緊張を紛らわせるためにがんばって飲んじゃってる」な風体で、笑いを誘う。歌っていないと、部活に例えると柔道部みたいなキャラが際立つけれど、歌が始まればその力強い声にグイグイ引き込まれてしまう。最後にうたった"アンセム"は、本人がステージを降りた後も、ずっと頭の中でサビのフレーズが流れていた。初出演ながら、"フォーカス・オン・ヴォイス"というタイトルのイベントにぴったりのヴォーカリストだった。

近藤智洋
 3番手は、このイベントの常連近藤智洋。この日は久々に、立って、譜面なしでライヴに挑む。今年最後の弾き語り、1年間やってきたことと、今うたいたい歌への気持ちをすべてぶつけるようなステージ。MCは控えめだが、曲に入ると、とたんに声に力がこもる。この人はやっぱり生粋の歌うたいだ。音源にもなった今年の代表曲、秋以降歌っている新しい曲、カヴァー、自身のおそらく永遠のテーマ曲etc……。2009年の締めくくり、と同時に、新しい年へまた一歩踏み出すための選曲、そして気迫。イベントの出演ながら、そこだけ空気がガラッと変わるほどの歌の波動を感じた。30本を超える今年のライヴのなかでも、次につながる1本だった。

ジョウミチヲ トリはもちろんこの人、ジョウミチヲだ。2曲をひとりで歌った後は、サックスに佐田智(サン・ジャム)を迎えてユニットで。ジョウの曲とサックスの相性は抜群。もともと色気のある楽曲に艶が増すようだ。声量のある歌と、おしゃれなバーで流れていそうな雰囲気あるサックスがつくる波に巻き込まれていく感覚が、気持ちよくて、いつまででも聴いていたくなった。惹き付けられるとはこういうことを言うのだろう。ラストから2曲目の"フォーエヴァー・ヤング"は、スタンディング・オベーションがおこってもおかしくないような高揚感があった。

 最後は全員でセッション。曲は季節柄、ジョン・レノンの"ハッピー・クリスマス"。ジョウが持っていた鈴購入の裏話とか、冒頭の「Happy Chiristmas〜」を誰がどう言っていくのか、とか。歌い始める前に、かれこれ10分以上はミチヲ&ノブオの漫才トークで笑っていたのではないだろうか? 今年の笑い納め? くらいの大爆笑、そして大団円だった。

 こんなにいい音楽とキャラクターと笑いで溢れているイベントはそうないと思う。次回の開催は未定とのことだが、ぜひまた観たい。出演者は変わっても、この空気感は変わらず続いていくのだろうから。

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