buttonピーランダー・ゼット、ゴーグルエース、
ブルー・スリー & モーモールルギャバン
@ 秋葉原クラブグッドマン (6th Dec. '09)

そこが祭りになる

Peelander-Z
 ニューヨーク在住の日本人パンク・バンド、ピーランダーZが絶賛「来日」公演中だ。この日の会場である秋葉原クラブグッドマンというライヴハウスは変なバンドがよく出ることが多いのに定評がある。久しぶりに訪れたこのライヴハウスは期待を裏切らない。そして、いろんなバンド関係者やお客さんが入り混じったフロアを見ていると、ピーランダーZにはいろんなバンドやお客さんを惹きつけるような磁場があるのだと感じる。

「異種格闘技宇宙一決定戦」といかにもプロレス好きが考えたようなタイトルのイベントにピーランダーZのほか、Goggle-A(ゴーグル・エース)、Blue III(ブルー・スリー)、モーモールルギャバン、The Rubies(ザ・ルビーズ)が集まった。

モーモールルギャバン 会場に着いたときはセットチェンジ中だった。DJはセットチェンジのたびに歌謡曲とか変な曲を回していた。そして、モーモールルギャバンが始まる。ドラムス&リードヴォーカル、ベース、キーボード&セカンドリードヴォーカルの3人組。キーボードは女の子。ドラマーはクセがあり、ちょっとキモい印象を与えるかもしれない。音楽的にはドラムスとベースがファンキーでコシがあり粘り強く、ダンサブルだ。とにかくドラムがオカズ入れまくりで目立つ。どんな曲でもドラムソロになっちゃう感じ。

 キーボードは可愛い女の子で、ジョージィ・フェイムみたいな軽快でファンキーなものから、ロキシー時代のブライアン・イーノみたいな変な音まで出す。しかし、一番印象に残るのは歌詞がヘンなことだ。ドラムスの挙動やMCが不審だし、"野口、久津川で爆死"というタイトルや、グラビア・アイドル、安田美沙子に捧げる歌とか歌うし、演奏を詳細に検討すれば真面目な音楽性なのに、それが全てぶち壊しになり、笑いの方向へひた走る。ドラムスは最後裸になるし。

BlusIII 次はBlusIII(ブルー・スリー)。なんといってもヴォーカル&ギターの人は恵まれている。顔といい、体つきといい(これも最後裸になるのだが)、ブルース・リー大好きですというのを全身から発散している。これが太っていたり、頭が禿げていたりするとブルース・リー大好きですと言ったとしても説得力が薄くなってしまうけれども、この顔つきこの体型の彼にはある。要するにちょっと似ているのだ。音楽的にはロックンロール(途中アイドル歌謡のパロディあり)、しかし、最近脱退したらしくベーシストがいないので、何の関係だか知らんが連れて来られてしまった感じの女の子が片手だけでキーボードでベースラインを弾く。ステージ自体は面白かったけど、演奏的な部分ではキーボードで演奏するベースでは迫力なく残念だった。

 ゴーグルエース。自分は久しぶりに観る。田辺靖雄/中尾ミエ"Go! Go! レンタカー"やザ・ジャイアンツの"スケート野郎"や加山雄三の"夜空の星"のカヴァーを演奏する。オリジナルでも50年代や60年代を彷彿とさせる。音もヴィジュアルイメージも緻密な作りこみでキチンとGSの世界を再生する。それでいて演奏が激しくなり、ロックンロールを叩きつける。

Peelander-Z そしてトリはピーランダーZ。ほとんどまともに曲を演奏してないし、パンキッシュではあるものの音楽的にどうこういうものじゃない。ピーランダー・イエローがフロアを指して「そっちがステージですから」と、ピーランダーZが観客、スタッフ、他の出演バンドを巻き込んで作り出すお祭りのようなもんであり、ただそれだけなんである。ただそれだけなんだけど楽しい場を作ろうという意志が強力にあるのだ。あとはどうでもいい。彼らにとって楽器が、そもそも音楽そのものがおもちゃであり、ライヴハウスは仲間を集める遊び場なんである。

 "おさかな天国"で登場して、山下達郎の"RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)"で終わる間に、巨大イカとギターのハイブリッドな摩訶不思議生物の着ぐるみが現れ、ステージにお客さんたちを上げて食器をコンコンチキチキ叩かせ、フロアで大縄跳びをおこない、ベースのピーランダー・レッドが天井に足を掛けて逆さ吊り状態でベースを弾き、お馴染み人間ボーリングがあり、そこからなぜかプロレスの四の字固めになり、そしてハルカリのハルカの飛び入りがあった。日本語が通じないところで鍛えられ、厚かましいかどうかなんて気にしないタフさがビシビシ伝わる。アニメ的なわかりやすいキャラクターとか、ステージとフロアの間を乗り越えてお客さんの中に入っていくなど、ひとつひとつを見ればどこかのバンドが既にやっていることなんだけど、それを全部まとめたのは彼らしかない。最後にこの日の出演バンドをフロアに集めてサークルを作り、そこで演奏するというまさにお祭り以外の何物でもない空間をフロアに置いていった。

Peelander-Z


The photo of Mowmow Lulu Gyaban was from thrir show on the 2nd Dec. @ Yokohama B.B. Street.
report by nob and photos by ryota

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