ザ・ボゥディーズ @ リキッドルーム恵比寿 (4th Dec. '09)
4人はアイドル、だけでない
2009年はボゥディーズが飛躍した年として記憶されるべき。今年の6月に豊橋のライヴハウスで彼らを観たときに、何かが動きはじめたと感じ、それは7月の渋谷クアトロで飛躍したと、確信に変わった。その後、夏フェスシーズンも活躍を続け、ついに札幌から福岡までバンド単独のツアーができるようになった。そしてソールドアウトになったツアー最終日の恵比寿リキッドルームは、断然女の子の比率が高い。
バンドが登場すると歓声が沸き起こり、すさまじい盛り上がりをみせた。音楽的には激渋のロックンロールやファンクでありながら、フロアを埋め尽くした人たちの反応はアイドルのコンサートのようであり、メンバーのコール&レスポンスや手拍子を要求する煽りに素直に激しく応えていく。自分たちでロックンロール・パーティーといっているように、バンドとお客さんたちが作り上げるパーティーであり、その楽しさに向かっていく熱意をものすごく感じ、幸せな時間と空間がそこにはあった。2年半前から観ていた人なら、これほどまでフロアを掌握できるようなバンドになったことが驚きだし、うれしく思えることだろう。
以前は物足りなく思えた演奏もソウルとファンクが充満し、レッドゾーンまで振り切れた暴れぶりをみせた。この堂々とした様子は数々のライヴを重ねた経験が彼らを成長させたことを物語る。確かに女の子のお客さんが多い、雰囲気もアイドルぽい、だけども、これだけのワイルドな演奏と、ソウル、R&B、ロックンロールに深い深い愛情が感じられる曲の数々を聴けば、彼らは単にルックスのいい男の子たちがやっているバンドでないことがわかる。それはこの日のオープニングである"Emotion Potion(エモーション・ポーション)"でJIM(ジム)が持つレスポールギターの弦の上をスライドバーが滑っていくのを観て確信した。それが実にイイ音しているのだ。渋くもあり勢いもありいろんなニュアンスが混ざっていて「イイ音」になっていた。さらにセックス・ピストルズの"Pretty Vacant(プリティ・ヴェイカント)"を原曲に引きずられずにカヴァーしたり、アンコールにレイ・チャールズ、"What'd I Say(ホワッド・アイ・セイ)"を繰り出したりと、自分たちの音楽をお客さんに合わせるのではなく、お客さんたちを自分たちのディープな世界に引っ張っていこうという意思を感じる。
この日披露された新曲のうち2曲目の方は、70年代のグラムロックぽさも感じさせるロックンロールになっていた。こうした曲が出てくるのもうれしい。その後で演奏された"I Beg You(アイ・べグ・ユー)"は切れ味を増し、間髪いれずに続けての"Leave Your Troubles(リーヴ・ユア・トラブルズ)"が非常に素晴らしかった。彼らは今、音楽をやるよろこびを感じ、それを全身で表現して、お客さんもそれを感じて反応するという幸福な関係にある。そして自分たちを入り口として深い音楽の世界のガイドになることを引き受ける覚悟を感じるのだ。
-- set list -- (原文)
Emotion Potion / I'm In Love With You / Keep On Rockin' / It's A Crazy Feelin' / Everyday's a New Day / NON TITLE(NEW SONG) / Baby Sue / Nobody Knows My Sorrow / Pretty Vacant / Forgive Me / My Little Joe / NON TITLE(NEW SONG) / I Beg You / Leave Your Troubles / So Long So Long / It's Too Late /You Gotta Dance
-- encore 1--
Tiny James / What'd I Say
-- encore 2--
Oh! My Darlin'(注:演奏されず) / Shake your hips
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