button曽我部恵一、バッファロードーター
@ 新宿ロフト (29th Oct. '09)

ホット&クール


 新宿ロフトは『DRIVE TO 2010(ドライヴ・トゥ2010)』と題して連続ライヴイベントの最中だった。このイベントは新宿ロフトでおこなわれ、日本のパンク・ニューウェーブ・ムーウメントのエポックメーキングとなった1979年の伝説的イベント『DRIVE TO 80s(ドライヴ・トゥ・エイティーズ)』。そしてそれを受け継いだ1999年の『DRIVE TO 2000』というイベントがあり、その「DRIVE TO 80s」から30年、「DRIVE TO 2000」から10年ということで、「DRIVEシリーズ第三弾」が30日というロングランイベントとして開催された。

 この日、登場したのは曽我部惠一バンドとバッファロー・ドーターだった(隣のバー・スペースにはクラムボンのミトがソロで出演)。仕事のため少し遅れて会場に着くと、すでに曽我部恵一バンドが始まっていた。一言でいうとホット! こんなに熱があって、かつポップで、明るく、優しく、ストレートなバンドもないと思うくらいだ。この日のライヴから約1ヶ月前に初めてこのバンドを観たのだけど、この熱さに圧倒されてしまった。自分は不勉強ながらサニーデイ・サービス時代を含めて知らなかったので、こうした熱さが新鮮だった。

 2度目で冷静に観られるかと思ったけど、やっぱり新鮮な印象は変わらなかった。すでに中年になっている曽我部惠一がまるで二十歳前後の青年が歌うようなストレートなラヴソングを歌うのだ。そこには照れや、ひねった見方もなく、その年代の男になりきって心情を歌い上げる。こうした時代にこれを歌うのが切実なメッセージであることを心底信じている使命感が伝わってくる。年齢のズレからくる気持ち悪さが全くないのだ。

 だから「リンリン、テレフォンラヴ〜」といっても字面を見れば恥ずかしくても、ごくごく真っ当なラヴソングとして心温まるものになっているのだ。歌っている内容だけでなく、歌う側がどこまで切実かがリアリティを保証するのだ。まさにマジック。

 対してバッファロードーターはクール。大野由美子の凛とした美しさもその印象を強くさせるけど、先ほどの曽我部惠一バンドとの比較として、エレクトロな音だし、心情を熱く語る曲でもないので、やっぱり感触はクールなんである。この日もドイツあたりのプログレやテクノを思わせるスタイリッシュな音から始まって、だんだん上げていった。驚いたのは音のひとつひとつがクリアで細かいニュアンスまで聞き取ることができたことである。それでいながらサポートの松下敦(ザゼンボーイズ)によるドラムの迫力がすごい。この繊細さと力強さのバランスがよく、地下にあるライヴハウスがゴージャスな空間に生まれ変わっていた。こんなにも音が磨かれている状態っていうことはライヴハウスではあんまりないことだし、いるだけで心地よくなってしまうという驚きの体験である。

 エレクトロニックだけど人力でしか出せない生の力強さも感じさせ、クールでありつつも、その心臓となるビートに関しては熱を帯びているのだった。それは仕事帰りの疲れ、さらに空腹にビールを入れたのでちょっと調子が悪くなりつつあった体に活を入れてリフレッシュしたかと思わせる。この2つのバンドで日本の中年が発するホットとクールを体験し「なんかいろいろ不景気とかいってるけど、いやぁ〜全然大丈夫じゃないですか」という気にさせてくれたのだ。
report by nob

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