ザ・クリブス @ 名古屋クラブクアトロ (22nd Oct. '09)
膨らみ続けた一体感
双子(ゲイリー、ライアン)と弟(ロス)というジャーマン3兄弟によるUKのロックバンド、ザ・クリブスの久々の来日公演。今回は先月に発表した4枚目のアルバム『イグノア・ジ・イグノラント』を引っさげてのツアーとなるが、今まで以上に話題となっているのは、元スミスのギタリストであるジョニー・マーが正式加入しての4人体制となったことに他ならない。己の地位を築き上げた若者3人と、既に名声を手にしている熟練者の化学反応。それがいかようであるかは確かに興味がそそられるところ。
だからだろうか、今日の客層は何だか読めない。僕みたいに20代前半の若者の方が多いのは確かだけど、30、40代の人も多くて50歳ぐらいの人も目についた(総数でいえば、平日の名古屋ということもあって少し寂しい入り)。こちらはジョニー・マーがお目当てということなのだろう。今までのファンからしたら、いつもと雰囲気が違ったのかもしれない。
定刻を5分程過ぎた辺りで、ライブはスタート。序盤から4人の勢いのある演奏が目の前で繰り広げられ、徐々に室内も熱気を帯びていく。曲調は至ってシンプルなのだが、メジャー感のあるキャッチーさと若者らしい情熱を湛えており、ライアン・ゲイリーのツインヴォーカルも(たまにジョニー・マーもコーラスに参加)実に繊細かつ攻撃的。一体となれるノリの良さが曲からもバンドのパフォーマンスからも伝わってきて、会場は大いに湧いていた。
そういった勢いのある曲を主軸に据えつつも、中盤からは沁みるようなミドルテンポの曲も披露。それがまた、血の繋がった兄弟であるがゆえの重層的なハーモニーと歌心が存在していて、胸に熱いものが何度も込みあがってきた。確固たる世界観というものとは無縁のように感じるサウンドだけど、等身大で地に足着けたロックンロールはとても熱い、そして大事な所に強く響いてくる。また観客に歩み寄って何度も日本語を使ってMCをするなど、客席から温かい反応があることに必然性を感じさせ、一体感もいつの間にか大きく膨らんでいた。
ギターが1人から2人に増えたことの変化やこれまでからの上積みに関しては、初めて彼等のライブを見るどころか、1曲もザ・クリブスの曲を知らない自分には測りようがない。だが、固い絆で結ばれているジャーマン3兄弟の若者らしい演奏姿と、全てを達観しているかのような佇まいで存在感を放っていたジョニー・マーが一緒にステージにいるのは面白い絵になっていたのは疑いようも無い。異様といえば異様、けれども突出して誰かが目立つわけでもなく、4人それぞれがザ・クリブスの歯車となり、しっかりと役割を果たしていた。
アンコール無しで80分強のステージは、若者と大先輩との融合も含めて見応え十分。これからどんな音を獲得していくことになるかはわからないけれど、今日の力強い演奏を見る限り、彼等は持ち味のシンプルなロックンロールを片手にどこまでも走り続けることだろう。今後への期待は膨らむばかりだ。
-- Set List --
01. We Were Aborted / 02. Hey Scenesters! / 03. I'm Alright Me / 04. Emasculate Me / 05. Girls Like Mystery / 06. Last Year's Snow / 07. Cheat On Me / 08. We Share The Same Skies / 09. We Can No Longer Cheat You / 10. Direction / 11. Hari Kari / 12. Save Your Secrets / 13. Our Bovine Public / 14. What About Me? / 15. Another Number / 16. Ignore The Ignorant / 17. I've Tried Everything / 18. Mirror Kisses / 19. Men's needs / 20. The City Of Bugs
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