Smashing Mag / The Wonder Stuff（ザ・ワンダー・スタッフ）@ Liquidroom Ebisu (10th Sept. '09)

　グルーブ・マシンは健在だった！

　今から15年前の春、突然の来日公演キャンセルに私はがっくりと落ち込み、その年の夏に解散ライブを行ったフェニックス・フェスティヴァルのビデオを「こんにゃろー、晴れ晴れとした顔で解散しやがってええーー」と思いながら観たものであった。

　その後、数年たって再結成を果たし、今年、デビュー・アルバムを再レコーディングした「ジ・エイト・レッグド・グルーヴ・マシーン」を発売したザ・ワンダー・スタッフがまさかの再来日を果たした。

　最初の3曲は、「ジ・エイト・レッグド・グルーヴ・マシーン」と同じ曲順、そしてライブ前半はこのアルバムからの曲を披露。　撮影していた私は3曲目の「イッツ・ヤー・マネー・アイム・アフター・ベイビー」あたりで体がうずうずしてきた。一緒に盛り上がりたいよー。ボーカルのマイルス・ハントはすっかり丸いおじさんになり、ライブの最中何度も笑顔を見せ、歳月と共に丸くなったなあ、と思った。　声量は全然衰えず、他のメンバーも職人っぽいサウンドを聞かせてくれて、まさにグルーブ・マシン！　そして、新メンバー、ヴァイオリンのエリカ嬢のなんと美しいことか！この日を待ちわびていたファンも、ちょっと大人が多いから、大いに歌ったり踊ったり盛り上がっても、モッシュやダイブにはならない。いい具合にバンドとお客さんの一体感が感じられた。

　そして、2回目のアンコールでマイルスとエリカの2人だけが現れた。マイルスが「この曲はもうバンドでは演奏しない、と決めているんだ。」と言って始めたのは、故カースティ・マッコールとデュエットした「ウェルカム・トゥ・ザ・チープ・シーツ」！　アコースティック・ギターとヴァイオリンのみで演奏されるこの歌を聞いていたら感動してしまって泣けてくる。そして、もうバンドでこの曲は歌わないって、アンタやっぱり頑固な男だねえ。

　今回、聞きたかった曲はほとんど聞くことが出来たのだが、「ディジー」が聞けなかったのがちょっと残念だった。次回来日する時は、是非ヴィック・リーヴスも連れて来て下さいな。