ナラズ @ 渋谷オー・ネスト (27th Aug. '09)
ノンストップのインパクト
すごいバンドを初めて観たときの衝撃というのは、こういうものだということを思い出した。ライヴハウスで、すごいバンドに遭遇した。そのバンドはNaLas(ナラズ)という。
編成はシンプルだ。ベーシストがリードヴォーカルを取り、ギタリストとドラマーの3人組。彼らは持ち時間すべてを演奏に費やす。つまり、休憩的なMCも水飲みもチューニングもなく、手を休めることなく30分間演奏を続け、ノンストップで駆け抜けるのだ。基本はロックンロールだけど、あまりオーソドックスなものでなく、ギターのカッティングが硬質な印象を与える一方、止まらないで流れていくリズムはグルーヴを強く感じさせる。歌は音響にやや埋没してしまって聞き取りにくいところもあったけど、歌詞は日本語が多く、ヴォーカリストの甘い声質がはっきりと主張されれば、もっとバンドの魅力になると思われる。
とにかくも、このバンドは減点法でチェックするよりも、まずはそのグルーヴの渦に巻き込まれ、酔いしれろ、といいたい。まだ完成はされていないけど、スタイリッシュなバンドから放たれる、切れ目なしのソリッドな演奏は、バンドの志の高さを感じさせる。まず自分たちの演奏だけをみてほしい、MCでウケを狙うようなこともせず、音楽の他は何もなくていいというストイックさがある。その裏には不断の鍛練があるし、安易なステージングに流されないで自分たちのやることに集中したいという強い意思がある。
ここまで他のミュージシャンやバンドを引き合いに出してこのバンドを説明することを意図的に避けてみた。本当は、同世代のあのバンドや、過去のあのバンドなどいろんな比較をしたい誘惑に駆られる。だけど、まずは偏見なくバンドをみてほしいと思うからそれを自重するわけで、実際に観るとバンドの豊かなバックグラウンドを感じることになるだろう。もちろん、こうしたテンションがいつまで続けられるかわからない。次に観たときに初遭遇のインパクトを越えることができるかどうか。だけど、久しぶりに気になる日本のバンドに出会ったのだ。
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