モグワイ @ 舞洲サマーソニック特設会場 サマーソニック'09 大阪 (8th Aug.'09)
あの光と轟音を求めて
今年が10周年の節目となるサマーソニックへ参加してみた。今回は大阪2日目を選択し、早朝から期待を膨らませつつ、名古屋から大阪へ。一応の目的は年初に骨抜きにされたモグワイであるものの、今回が日本最後と噂されるナイン・インチ・ネイルズや一人で次元の違うことやってるエイフェックス・ツイン、それに当サイトでmiyoが追い続けている65デイズ・オブ・スタティック等、個人的に見てみたいのが多く集まっていたのがこの日を選んだ理由である。
朝っぱらから暑い・焼ける・しんどいの三拍子揃った厳しいコンディションだったが、ライブを活力にと思い、色々と見てまわった。スクリーモバンドのセイオシンを見たり、シガーロスの空気を醸しだすカイトを見たり、度肝を抜くパフォーマンスが印象的だった65デイズ・オブ・スタティックに興奮したりと、各アクトの熱演に個人的なボルテージも自然と上昇。そして、18時からはこの日の大阪が日本最後とアナウンスされているナイン・インチ・ネイルズの勇姿を眼と脳内に強く焼きつける。しかし、途中でオーシャンステージを去るのが非常に名残惜しいけど、モグワイを見るためにソニックステージへと移動。空調の効いたソニックステージの生き返る涼しさに体は喜びを覚えつつ、始まるまで少々の時間を過ごす。年初に初めてモグワイを見たあの感覚を思い出しながら。
そして、静かに姿を現すモグワイの面々。ただ、夜を迎えるこの時間帯になると疲れきった人も多く、休みを目的にこの会場にいる人も少なくないため、彼等を出迎える歓声はそんなに大きくはなかった印象だ(元々サマソニの客層とマッチしていないのもあるが)。それでも、一部では絶叫にも近い歓声が上がったのは記憶に残っている。
ただならぬ緊張感が包む中、ライブがスタート。いきなり待ったなしで伝家の宝刀を惜しげもなく披露する怒涛の"バットキャット"に思わず体中がビクンと反応した。トリプルギターがうねりを上げ、ノイジーな轟音で意識に覚醒を促していく。その問答無用のカタルシスといったら圧巻で、今日のライブは物凄いことになるのでは?と予感させるには十分なほど。続いては"アイム・ジム・モリソン、アイム・デッド"で流麗なピアノが楽曲を美しく彩りながら叙情の波紋を広げていく。この曲では、先ほどとは打って変わっての引きの美学を堪能し、"ハンテッド・バイ・ア・フリーク"でも荘厳なヴェールがドラマティックに空間を彩っていくのが印象的であった。この後も"ヘリコン1"や"イチカ"など静と動のモグワイ節が堪能できる曲を次々と披露。フェスだからといって特別に昂揚する様子も無く、いつも通りに淡々と演奏しているが、会場の空気を感じとりながら着実に独特の世界を築いていく様はやはり見事だ。
そんな彼等の音に心身ともに酔いしれていたものの、フェスだけにあっという間にラストへ(それでも持ち時間は約1時間)。ギターのスチュワートが「あともう1曲だけやるよ」というMCをするも、まだまだ20分ぐらいあるよな?と首を傾げていたら、演奏されたのがモグワイの曲の中でも最も凶暴といっても過言ではない20分近い大曲"マイ・ファーザー・マイ・キング"で腰抜かす。なんというサプライズ。絶望を奏でるようなギターリフから、徐々に徐々に轟音をあちら側の世界からこちら側へと召喚し、全身・全神経に突き刺さるノイズの大海と視覚を奪うフラッシュライトの明滅が猛然と空間を支配。そして、ラストには超轟音の炸裂と応酬がこれでもかというぐらい続く。現実から意識を引き裂くその音と光によって、あっという間に忘我の境地へと連れ去られた。もう完全麻痺、茫然自失。しばらくは轟音の余韻によってあちら側へといってしまった自分の感覚が現実を取り戻すことを嫌がったほどである。20分近い轟音ノイズの嵐は奈落の底を見せるような想像を絶するものであり、完全に打ちのめされてしまっていた。
年初の名古屋公演と比べると演奏時間は約半分ほどであったにも関わらず、心身が受け取った衝撃と轟音ノイズの嵐は今回の方がより圧倒的。再び轟音を浴びに足を運んだ人も、全くの初見だった人も全部ひっくるめて巻き込んでいく彼等の持つ"音の引力"の凄みを再確認できた。ホントもう、一言で表すなら『どえらいものを体験してしまった』というほか無く、自分の中に確かな痕跡を残す凄いライブだった。
ちなみに、この後にソニックステージのトリを飾ったエイフェックス・ツインも音・映像含めて別世界のどえらいものだった。
-- set list --
Batcat / I'm Jim Morrison, I'm Dead / Hunted by a Freak / Auto Rock / Helicon 1 / Ithica 27 φ 9 My Father My King
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