ソングス・フォー・チベット・フロム・ジャパン タートル・アイランド @ 代々木公園(4th July. '09)
バスク、豊田、チベットへ
6月5日。バスクツアー最後のライヴを終えて数時間後、彼らはそのまま空港へ向けてバンを走らせた。 翌朝早朝のフライトで日本へ飛びそのまま、長野でのライヴをすると言っていた。疲れはあったはずだが、なにもかもがあっという間の出来事であり、こちらも泥のように眠りへと落ちた。
自分は、彼らのバスクツアーの全行程に帯同していたわけではなく、ビルバオのライヴから合流することになっていた。ハコの前にある、ちょっとした広場で時間を潰していたときに、たまたま同じ策を持ってベンチに腰掛けていたのが、仕事の都合で同日入りした、サックスの呑(のん)氏だった。様々なことを話し、バルへと飲みに繰り出しつつ、ごくごく自然な流れで、ライヴスケジュールへと話がおよんだ。そのスケジュールは週末ばかり(大所帯ともなれば至極当然)であり、二ヶ月先まで詰まっていた。
そんなハードなスケジュールの中にあったが、ハイ・スタンダードで一時代を築いた難波章浩氏の呼びかけで行われた『Songs For Tibet From Japan(ソングス・フォー・チベット・フロム・ジャパン)』のリリースイベントは、ローカルからグローバルなことまで、フレットレスで叫ぶタートル・アイランドの内面と深く繋がるもの。彼らに断る理由などない。そんなことをいろいろと思いながら、ライヴ前のバックステージで久々の再会と挨拶をした時だった、みな、一様に痩せていて、ライヴ日程の過酷さを改めて思い知らされた。
このイベントは(本人たちは露にも思っていないだろうが)彼らが地下で長年蓄えた力が、「音楽云々」という意識を超えて吹き出す時でもあった。誰しもが気軽に入れる代々木公園の、野外ならではの開放的な雰囲気の中で、極端に濃ゆいハードコアがどろどろと流れ出しつつ、そこに加わる祭りとお囃子のリズムに、案の定、通りすがりの人も巻き込まれていってしまう。初見では、彼らがあまりにぶっ飛びすぎてて、「この騒ぎは一体……何なんだぁ!?」で間違いないのだが、誰がどう思おうとかまわず、感情をぐしゃぐしゃに固めて突っ込んでいく。だが、それでいいのだ。舞台ごとに性格を変えられるほど器用ではないし、人に合わせて動く連中ならば、そもそもこのステージに立ってはいないだろう。
愛知は豊田を想うがゆえに、チベット問題も我がことのように真摯に取り組んでいる。もちろん、タートルが叫んだチベット問題は外様の意見に過ぎないのだろうが、彼らが世界レベルの(さりとて、ローカルな)視野を持ってバスクへ飛んだ事実を加味すれば、実際にチベットへ行くなんてこともあり得る。近づき、理解しようとする意識が、彼らの中には確実に存在している。
ありったけの熱と主張を音楽という方法で泥のつぶてのように投げつける……兎に角、その暑苦しいほどの躍動は、なにもかもを圧倒していた。ステージに返された驚きと興奮が入り交じった叫びを得て、いくらか疲れを紛らわせてから、なんと、また次のライヴ(@高円寺20000V)へとはしごした。不特定多数を集めるステージから80人程度で満員となるハコへ……タートル結成の立役者、愛樹によれば、「友達が仕切ってるイベントだから」とのこと。ライヴハウスという、「ホーム」に舞い戻った彼らのライヴは、紙吹雪が舞い、代々木以上と言っても過言ではない盛り上がりを見せていた。
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report by taiki and photos by terumi
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