ビーチ @ 新宿ロフト (26th May.'09)
獰猛なリズム
集中、凝縮、狂気、轟音、迫力。そんな言葉が頭に浮かんでくる。このバンドを初めて観た人は、その圧倒的な音の洪水に飲み込まれるだろうし、何度も観ている人は、この轟音を体が求めるようになった中毒者なんだろう。ただの轟音を出すバンドではなく、メンバーが沖縄出身で女3人であるということから、その音の向こうにある彼女たちが持つ豊饒なバックグランドを感じさせ、音の重さが心の奥にまで引っ掛かってくる。
この日はヘヴィメタルな"ジョヴォビッチ"から始まった。沸き上がる重低音、ささくれ立つギター、甲高く吠えるカンナのヴォーカルが合わさって襲い掛かる。間髪入れずに次の"デス子"ではベースのミヤが吠え、言葉を投げ付けるようにヴォーカルを取る。
"サムライジャングル"ではトライバルなリズムで躍動感を作り出し、新曲 ナイトオブザリビングウッドでは、スカっぽいリズムやオリエンタルなムードを持つメロディが一曲の中に同居させる。
ハードな音とは対照的な和やかなMCで一度緊張を解き、再び轟音の"悪魔は隣"を繰り出してくる。目まぐるしくリズムが変わってくるこの曲に表れるように、ブリーチはリズムにバラエティがあって、さまざまな組み合わせをおこなうというアイディアがあるので、単調にならずに飽きさせない。それは、ミヤのベースとサユリのドラムが、プレイヤーとしてちゃんと対応できるというのが大前提にあるけれども、彼女たちを突き動かす衝動が、獰猛な獣のように容易に飼い馴らすことができない、そして、その衝動を単調なリズムでは表現できないのだということなのだろう。
新曲"ワーム"は、テンポを落としたヘヴィなもので、続けて演奏された"トーチ"は一転して疾走していく。この曲のつながりはゾクゾクさせるほどスリリングだ。自分たちの曲の見せ方というのもよく考えられている。演奏するだけで一生懸命だった頃からは十分に成長して、長くライヴを重ねた円熟味を得るところまできたのだ。
-- Set List --
ジョヴォビッチ / デス子 / サムライジャングル / ナイトオブザリビングウッド(新曲) / 悪魔は隣 / 僕が僕である限り(新曲) / worm(新曲) / トーチ
スケジュール
6月19日(金) 渋谷クアトロ
6月20日(土) ヒューマンステージ
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スケジュール
6月19日(金) 渋谷クアトロ
6月20日(土) ヒューマンステージ
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mag files : Bleach
獰猛なリズム : (09/05/26 @ Shinjuku Loft) : review by nob, photos by naoaki
photo report : (09/05/26 @ Shinjuku Loft) : photos by naoaki
天然の謎 : (09/05/09 @ Shinjuku Marz) : review by nob
彼女たちの底力 : (08/12/26 @ Shibuya Eggman & 12/28 @ Makuhari Messe) : review by nob
気づいたらこの高みに : (08/09/02 @ Shimokitazawa Shelter) : review by nob
壁を越える瞬間 : (08/08/31 @ Shibuya Lush) : review by nob, photos by terumi
photo report : (08/08/31 @ Shibuya Lush) : photos by terumi
誇り高い轟音を : (08/07/11 @ Shibuya Eggman) : review by nob
photo report : (07/09/20 @ Shinjuku Loft) : photos by keco
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