ハイ・フィデリティ Vol.2 @ 高円寺ハイ(20th May. '09)
歌力
アコースティック・ライヴでは、歌も楽器も丸裸になると思う。ステージに立つ人の本当の力が見えてくる。高橋浩司プレゼンツ"ハイ・フィディリティ"Vol.2に集まった4組は、本物の歌力(うたぢから)を持っているアーティストばかりだった。
コンドル44の、自然に溶け合いながら高い天井に響いていくツインヴォーカルの力。磯部正文(マーズ・リトミクス,ex ハスキング・ビー)から感じる、根っこの太さ。バンド名や曲がどんなに変わっても、歌の素になっているものは変わらないことを表現してくれた。それは最後にでた岩瀬敬吾も同じだった。飄々とした立ち姿とMCからは想像もつかないような力強い声。きっと、どんな場所でも、どんな時でもこの声で歌ってきたに違いない。それぞれが、それぞれのやり方で歌力を表現した。
 
そして、このイベントの見どころのひとつ、ドラムと歌が融合する時間。今回はヴォーカルにサイコ、アコースティック・ギターにグリップのゴンダタケシ、そしてドラム高橋浩司の3ピースで。サイコの、出てきただけで空気が変わるたたずまい、存在感はもう「すごい」のひと言だ。魂をしぼりだすような歌に、圧倒され、どうしようもなく惹きつけられる。その歌に感化されて、感情をあとからあとから引きだされていくようなドラムとギター。個々の鳴らす音がサイコの歌によってひとつの音になっていった。Hi5のカヴァー"月光"は、この3人のオリジナルなのでは? と思うくらい真に迫っていて、息を吸うのも瞬きも忘れるほど。もう一度聞きたい、と本気で思えた1曲だった。
ミュージシャン達の裸の音に加え、個人的にこのイベントのもうひとつのみどころだと思っているのが、表情でドラムを叩く男、高橋浩司の「顔」だ。ふつう、バンドだとドラマーはステージの一番後ろに据えられて、なかなか表情までみることは難しい。でも、このイベントはドラムが前に設置されるから、曲に合わせて七変化していく様を見るには絶好の機会なのだ。切ない曲なのか、激しい曲なのか、幸せな曲なのか。見ているだけでどんな曲をやっているのか分かるその顔を楽しみにくるのもいいかもしれない。次回は6月17日、今回と同じく高円寺ハイにて開催される。
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高橋浩司(HARISS)presents"HIGH FIDELITY"vol.3
6月17日(水) 高円寺ハイ
LIVE:新井仁(N.G.THREE)with丸山晴茂(サニーデイ・サービス) /
武藤昭平(勝手にしやがれ) / 松崎ナオ / もう一組、強力な出演者控えてます。
DJ:高橋浩司(HARISS) / ハタユウスケ(cruyff in the bedroom)
*詳細はこちらでご確認下さい
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report and photos by wacchy
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