なぜ今まで知らなかったのだろう。梅津和時(sax,etc)、鬼怒無月(g)、早川岳晴(bass)、アメリカ在住のジョー・トランプ（ds）からなるKiki Band（キキ・バンド）。結成して10年になるそうです。この日、山梨県道志村にて行われた野外イベント『Natural High!（ナチュラル・ハイ！）』でのライブを皮切りにスタートした『KIKI BAND ALCHEMIC TOUR 2009』は、ハリケーンの勢いさながら、明くる日には福島、更に盛岡まで北上し、今頃は北海道を駆け廻っている模様です。

　私を含め、今回初めてKiki Bandの錬金術にやられちゃった人は多かったのではないでしょうか。ヤベー、スゲー、との声はあちらこちらで上がり、体中に毒がまわったかのように踊り狂う者、興奮のあまり絶叫する者、中には涙している人もいたのです。頭での理解を超えて感覚に直流する、本当の音楽の持つ力や魔法を思わずにはいられませんでした。

「清志郎の曲はやりません。まだ、やっぱり、清志郎の曲は、清志郎に歌って欲しいから。自分の曲やります！」
　アンコールで再度ステージに戻ってきた梅津氏はそう云いました。

　この日も他の出演者がタイマーズのテーマなどを歌っていました。追悼や敬意を込めてのことだと思います。もちろん私もをその気持ちを共有したい。したいはずなのに、今もまだ求めてやまないのは清志郎の、あの歌声なのです。１ファンであるこの私でさえ、まだそこまで気持ちに余裕を持つのに時間が掛かりそうだというのに、仲間として同じステージに立っていた距離感や共に過ごした尊い時間を想像するに、梅津氏の想いは計り知れません。

　そうして始まったアンコールは今までの天地を轟かすような楽曲とは一転し、どこまでも深くやさしいバラード。そのサックスの響きには確かに心がありました。そしてそれは聴く者の心を共振させてから、霧雨の降る夜空にのぼっていったのです。


◎セットリスト
１) スクエアリィドラゴン
２) モンキーマッシュ
３) ドレスラー＃３６
４) ノーホエアハウス
５) ビバ中央線ジャズ
６) 空飛ぶ首
アンコール) べトナミーズ ゴスペル

◎『KIKI BAND ALCHEMIC TOUR 2009』スケジュール（詳細はコチラでご確認ください）
　5月22日（金）　札幌・ことにパトス
　5月23日（土）　浦河・浦河町総合文化会館ミニシアター
　5月25日（月）　北見・北見セントラルホテル
　5月26日（火）　根室・道立北方四島交流センター「ニ・ ホ・ロ」
　5月27日（水）　釧路・artspace ジス・イズ
　5月29日（金）　山形・Sandinista
　5月30日（土）　富山・フォルツア総曲輪
　5月31日（日）　岐阜・Club　roots
　6月5日（金）　青山・月見る君想フ
　6月6日（土）　横浜・BBストリート
　6月7日（日）　横浜・７th　Avenue

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