65デイズ・オブ・スタティック @ ザ・デフ・インスティチュート、マンチェスター (23rd Apr. '09)
テスト・ツアー
4月20日にライブ・アルバム『エスケープ・フロム・ニューヨーク』を発売し、およそ1年ぶりにUKツアーに出た65デイズ・オブ・スタティック。
昨年夏頃から本格的に曲作りを行っていた彼らは、今回のミニ・ツアーでいくつかの新曲を披露した。英国内はわずか6公演だったわけだが、新曲を実際のライブで試してみるにはとりあえず十分だったと言えるだろう。
その新曲たちなのだが、これがかなり攻撃的でダンサブルなものだった。エレクトロ・ビートの比率が増し、そこにラウドなギターがかぶさると、頭を縦に振ってよいのか腰を横に振ってよいのか迷ってしまうのだ。5月からの1ヵ月間は、ほぼ毎晩のようにヨーロッパ各地でこれらの新曲を試していくわけだから、今後さらなるアレンジも加えられ、まだまだ変化していくかもしれない。
個人的にはとてもうれしい方向性なのだが、果たしてこれが日本のマーケット、特にキレイな音のインストもの至上主義的なオーディエンスに受け入れられるのかどうかは分からない。シューゲイザーが好きな人には向いていないだろう。そう、むしろ、プロディジーあたりの感覚に近いのかもしれない。
それにしても、彼らの成長ぶりには毎回驚かされる。機材が増えて、音が厚みと安定感を増していくだけではない。経験を積んでいくことによって得られる自信だけでもない。前進しつつも、バンドとしての基本的な部分は、初めて見た数年前からなんら変わっていない。だが、確実に自分達の表現したいものを作品にしていけるようになったわけだ。そもそも、私なんぞ決して言葉が通じるわけではないので、本人たちと何かを話すことなどないのだが、そう、言葉にしなくても、彼らのパフォーマンスを見ていれば分かるものがある。そんな気がする。ロバート・スミスでなくたって彼らを気に入るのは、ある意味当然かもしれない。
今回のツアー会場の規模は比較的小さいものだった。キャパシティーは250人もないくらいのところばかりではなかっただろうか。おかげで、ほとんど全ての会場でソールド・アウトだったようだ。やはり満員の観客はいいものだ。だが、そんなお客が一気に暴れだすと、暴れるつもりのない者にとってはちょっとツライ。
新曲だけでなく、いつものなじみの曲たちも演奏するものだから、観客の暴れっぷりは凄まじい。オープニングから初めの2曲は新曲なのだが、その後の"Retreat! Retaret!"と"Await Rescue"で一気に会場はサウナ状態になる。まだタイトルさえつけられていない新曲たちがもっとなじみ深いものになれば、それはそれはおそろしい状態になるのではないだろうか。アザのふたつや3つはもちろん、全身筋肉痛になることは覚悟しないと。
今夏のフェスティバル・シーズンは各地のフェスに出演する予定のある彼ら。その後でレコーディングをするのか、まだまだ曲作りに励むのか、私には見当もつかないが、首を長くして待つだけの価値のあるものができあがりそうな気がする。いつ再び日本に来てくれるのか分からないが、それまでの間、私はいつもでもクビにされる可能性のあるパートという身分のままで再び旅費を貯めるだけの生活を続けることになりそうだ。
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report and photos by miyo
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2009
テスト・ツアー : 65デイズ・オブ・スタティック(23rd Apr. @ ザ・デフ・インスティチュート)
CD review 65デイズ・オブ・スタティック :"エスケープ・フロム・ニュー・ヨーク" (20th Apr.)
1冊の絵本を楽曲化すると : シベリアン・ニュースペーパー(21st Mar. @ ヘップ・ホール)
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あくまでもシベリアン流で : シベリアン・ニュースペーパー(1st Feb. @ ヘップ・ホール)
成功街道直進中 : グラスヴェガス(21st Jan. @ 大阪ビッグキャット)
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2008
そぎ落としの美学: テ(6th Dec. @ 大阪シャングリ・ラ)
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混ざり合った先は : エイジアン・ダブ・ファウンデイション (30th May @ 難波ハッチ)
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ダンス・パーティーズ・ツアー : 65デイズ・オブ・スタティック (15th Apr. @ クラブ・アカデミー、マンチェスター)
週末の幕開けは : リズMC (11th Apr. @ ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ロンドン)
凄いの最上級 : ジョン・バトラー・トリオ (5th Apr. @ 心斎橋クラブクアトロ
日本初上陸は世界仕様で : ロドリゴ・イ・ガブリエラ (30th Mar. @ 渋谷デュオ・ミュージック・エクスチェンジ)
MCとは : リズMC (15th Mar. @ ラティチュード 30、オースティン)
BBQでBSP : ブリティッシュ・シー・パワー (15th Mar. @ ブラッシュ・スクエア・ノース・テント、オースティン)
淡々と : ローラ・マーリング (14th Mar. @ ナインティ・プルーフ・ラウンジ、オースティン)
今回一番の掘り出し物 : エルダー (14th Mar. @ スモーキン・ミュージック、オースティン)
あれから5年 : ボディー・オブ・ウォー (13th Mar. @ スタッブス、オースティン)
ちょっとだけのはずが : ビリー・ブラッグ (13th Mar. @ SESAC デイ・ステージ・カフェ、オースティン)
ニュー・スキッフル : ジョニー・フリン・アンド・ザ・サセックス・ウィット (12th Mar. @ ザ・モホーク、オースティン)
もしや、常連? : ザ・ナイトウォッチマン (12th Mar. @ エスターズ・フォリーズ、オースティン)
行動し続ける男 : ザ・ナイトウォッチマン (12th Feb. @ 心斎橋クラブクアトロ)
輝きを増して : ブンブン・サテライツ (10th Feb. @ 難波ハッチ)
ライブ・バンドですから : シベリアン・ニュースペーパー (6th Feb. @ 南堀江ネイヴ)
CD review シベリアン・ニュースペーパー :"コミカル・サルート" (29th Jan.)
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