リーヴ・ゼム・オール・ビハインド @ リキッドルーム恵比寿 (19th Apr. '09)
feat.アイシス、サン O)))、ボリス、エンヴィ、グロウイング
サン O)))
--致死量の轟音--

4番手に登場したのがここ日本でもカルト的人気を誇る(限られた一部にて)暗黒ドローンバンド、SUNN O))) (サン)である(パッと見てよくわからない "O))) "の部分は音波を図案化したもの)。今日のイベントは轟音フルコースなわけだけども、人によっては次のアイシスがデザートで、このサン O)))がメインディッシュという方も多いことだろう。どれだけの人間をドローン地獄に沈め、人生を狂わせてきたことか。私自身、彼等のCDを初めて聴いたときにその音のおぞましさに身が震えたのをよく覚えている。しかし、ライブにおいての凄まじい音圧は想像を絶するものであった。
ボリスの時よりもまた一段と視界が悪くなった大量スモークの中に黒装束の2人組が降臨すると、前の3バンドにも増して大歓声があがる。やはり今日集まった人々は、この轟音を全身で受け止める覚悟のできた精鋭ばかりのようだ(むしろ、あの音を快楽と捉えている人達なのかもしれない)。
言い知れぬ緊張感の中、彼等がギターを鳴らした瞬間、確かに世界が変わった。そびえ立つアンプの壁から発せられる驚異的な轟音は想像以上で、全くもって容赦が無い。基本的には、リズムの無い中を超重低音がただ延々と繰り返されているだけ(そこには妙な規則性もあったが)なのだが、音による猛烈な振動が大地を揺らし、空間を歪ませている。それによって全身もガクガク、まるでずっと地震が起きているかのような状況。とにかく異常なほど音がでかい、でかすぎる。そこに身を置くのは拷問であり、生き地獄といえるほど。本当に危険極まりない音の世界に足を踏み入れてしまったようだ。
『眼球まで揺れる』や『内臓が捩れる』など色々と彼等に関しての噂は目にしていたが、実際に体感すると聴覚を始めとして、人間に存在する神経全てを破壊していくかのようだった。さすがに途中でヤバさを覚えたので、用意しておいた耳栓を途中からしたのだが、つけずにいたら果たして耐えられたかどうか。それに意識はあちらの世界へ何度となく飛んでいったため、自分が生きているのか死んでいるのかもよくわからなくなる。逆にそれこそが、彼等に引き込まれていた証なのかもしれない。
ライブの半分が過ぎた辺りからは、本日の目玉であるボリスのドラマー・アツオを加えたスペシャル編成へ模様替え。その儀式は不穏さを増すことに。加えて、3人が息ぴったりにギターとドラムで容赦の無い轟音を生成していく様も実に強烈だった。終わった頃には肉体・精神共に悲鳴を上げていて、放心状態。自分も覚悟はして見にきたつもりだけど、やっぱり想像以上。全てが破格の恐ろしいステージであった。
ちなみにライブの翌々日からは東京・大阪で2日ずつ計4日間の単独公演が行われていたのだが、色々とネットで情報収集してみると、『単独公演では音量も時間も倍以上でとてつもなくヤバかった』という意見が多数見受けられた。本当に身の危険と隣りあわせの超大迫力轟音地獄の異常事態だったとか。それに単独公演では耳栓までもがグッズとして売られてもいたらしい。そんな致死量の大轟音を操るサン O)))は本当に恐るべき存在である。
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Mag files : SUNN O)))
致死量の轟音 (09/04/19 @ Liquidroom Ebisu) : review by takuya, photos by saya38
photo report (09/04/19 @ Liquidroom Ebisu) : photos by saya38
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