buttonオアシス @ 幕張メッセ (29th Mar. '09)

みんなのうた


Oasis (オアシス)
 オープニング・アクトのクアトロが終わって、セットチェンジの間にストーン・ローゼス、ポール・ウェラー、ザ・フーなどの曲が流される。英国の伝統は自分たちが引き継いでいるのだということを示すような選曲。ライヴ開始のアナウンスがあって、大歓声が沸き起こって、ビートルズの"ア・ハードデイズ・ナイト"やセックス・ピストルズの"ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン"がかかったときのステージ前に詰めていたお客さんたちのテンションは尋常じゃない高さだった。かなりの圧力がかかったのか、そのお客さんたちの中から救出される女の子たちもいる。

Oasis (オアシス) 恒例の"Fuckin' In The Bushes(ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ)"が大音量でかかり、メンバーが現れる。そして「今夜、俺はロックンロール・スター」とリアムが歌い上げてライヴが始まった。ステージ前ではすでにヒートアップして、たくさんの腕が挙がるのが見える。

 選曲は新譜が中心。ノエルがソロで歌う比率が増えてきた。結果的には起伏があって飽きさせないステージになったし、ノエルが歌う曲に名曲が多いのでなんとも複雑なものである。ドラムがザック・スターキー(あのリンゴ・スターの息子であり、現在ザ・フーのドラマー)から、クリス・シャーロックに変わって、バンドのうねりというか一体感がより出てきたような気がする。ザックも上手いドラマーだったけど、バンドにはクリスの方が合っているのだと思う。

 それに呼応してお客さんたちも過去最高の盛り上がりだった。フリースタンディングだったし、お客さんたちの経験値が上がったこともあるだろうし、何よりもオアシスというバンドが年を経るにつれて熟成されていくバンドであり、お客さんの期待値も上がったということもある。バンドもパワーを発揮して、お客さんもそれを返すという幸せな空間が生まれたのだ。

 ノエルが「特別に日本のファンに演奏するよ」といってアコースティックギターで弾き語りした"Whatever(ホワットエヴァー)"には泣けた。なぜかずっとセットリストから外されていたので、ライヴで聴くことをほぼあきらめていた曲をこのようなかたちで歌ってくれるとは。リアムの声で聴きたかったとか贅沢はいわない。やってくれただけで感謝。ゲムのハーモニカもいい味出していた。

Oasis (オアシス) アンコールに応えて、まず"Don't Look Back In Anger(ドント・ルック・バック・イン・アンガー)"。ノエルがアコースティックギターを弾き優しく歌い出す。CDや今までのライヴではピアノの音色が印象的なアレンジだったけど、今回はアコースティックな印象が残るアレンジだった。そして、サビに差し掛かるところでノエルは歌うのをやめて、みんなの大合唱に任せたのだ。このサビの大合唱は今思い出しても涙が出てくる。この一体感、みんなの思いが集まって広い幕張メッセを満たした瞬間、日本のファンもここまできたのだ、サビを我々に任せてくれたノエルに感謝したい。まあ、ちょっと曲の終わり方がズレてしまってノエルが腕時計を指す仕草をしていたけど。

 昔、洋楽、なかでもUKのギターロックを聴くやつなんて自分も含めてスカしたやつが多かった。ライヴの会場で歌うなんて恥ずかしくてできなかったし、他人が声が聞こえたらウザくてしょうがなかった。でも、そうじゃないのだ、ライヴというのはアーティストとファンが一緒に作り上げるものなのだということを、オアシスは繰り返し繰り返し伝えていたのだ。90年代後半以降になってフェスやネットの普及でお客さんたちも鍛えられていた。YouTubeで外国のライヴの様子をたくさん観ることができる。そうしたことがここに結実したのだと感じ入り、涙を流させた。

 "Falling Down(フォーリンダウン)"を挟んで、"Champagne Supernova(シャンペン・スーパーノヴァ)"でゆったりと壮大にクライマックスを迎える。ずっとオアシスを聴いてきたことが報われるようなような曲。1コーラス目を歌い終えたリアムがガッツポーズをしているように自分には見えた。ラストは、ビートルズのカヴァーで"I Am The Walrus(アイ・アム・ザ・ウォルラス)"。このバンドはますます素晴らしくなっていく。今回のツアーを見逃した人、もちろん今回のツアーで感動しまくった人も、みんな苗場で会いましょう。

-- Set List --

01. Rock'n'Roll Star / 02. Lyla / 03. The Shock of the Lightning / 04. Cigarettes & Alcohol / 05. The Meaning of Soul / 06. To Be Where There's Life / 07. Waiting for the Rapture / 08. Masterplan / 09. Songbird / 10. Slide Away / 11. Morning Glory / 12. Ain't Got Nothin' / 13. Whatever / 14. Importance of Being Idle / 15. I'm Outta Time / 16. Wonderwall / 17. Supersonic

-- Encore --

18. Don't Look Back in Anger / 19. Falling Down / 20. Champagne Supernova / 21. I Am The Walrus

Oasis (オアシス)

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"Dig Out Your Soul;
(US import / US import Analog / US import Limited Edition / from UK Super Deluxe Boxset / from UK Analog / 国内盤 初回生産限定盤 / 国内盤)


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"Shock Of The Lightning [MAXI]"(国内盤 / UK import)
"レット・ゼア・ビー・ラヴ [MAXI]"
"オアシス・コンプリート・シングル・コレクション ’94-’05"
"インポータンス・オヴ・ビーイング・アイドル [MAXI]"
"ライラ [MAXI]"
"D'You Know What I Mean [MAXI](UK import)"
"Whatever [MAXI]"(国内盤 / UK import)
"リトル・バイ・リトル [MAXI]"
"ストップ・クライング・ユア・ハート・アウト [MAXI]"
"Live Forever [MAXI] (UK import)"
"Cigarettes & Alcohol [MAXI] (UK import)"
"Shakermaker [MAXI] (UK import)"
"All Around the World [MAXI]"(UK import / 国内盤)
"ドント・ルック・バック・イン・アンガー [MAXI]"
"Sunday Morning Call [MAXI]"(UK import / 国内盤)
"Supersonic [MAXI]"(UK import / 国内盤)
"ドント・ゴー・アウェイ [MAXI]"
"Wonderwall [MAXI]"(UK import / 国内盤)
"Some Might Say [MAXI]"(国内盤 / UK import)
"ヒンドゥ・タイムズ [MAXI]"
"Stand by Me [MAXI] (UK import)"

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"Lord Don’t Slow Me Down"
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