buttonフィンチ @ 渋谷クラブクアトロ (5th Mar. '09)

7年間の空白を埋める


Finch (フィンチ)
 叙情性溢れるエモーショナル・サウンドで、独自の世界観を作り出してきたフィンチ。今回、どれだけの人達が彼らのライヴを待ちわびていたことだろうか。少なくとも自分の周りでは、来日が決まった時から話題の中心になっていた。

Finch (フィンチ) 2002年の初来日以降、2回の来日キャンセル。その後、2006年に活動休止を宣言した彼ら。けれど、フィンチという名は雑誌でもちらほら見かけられ、日本のインディーズ・シーンで活躍するバンドからもよく名前が挙げられていたように思う。休止から約3年間、色あせることなく支持されてきただけあって、やはり当日は予想以上の観客が詰めかけた。翌日の大阪公演では、ソールド・アウトとなったようだ。

 会場となった渋谷クラブ・クアトロ。そこで溢れんばかりの人が見守る中、徐々にセッティングが進められていく。しかし、早くも観客は待ちきれない様子。できるだけ前の位置に進もうと必死だ。

 そんな気勢が漂うフロアを前に、大音量でギターが掻き鳴らされると、オーディエンスは興奮の渦に飲まれていく。ただ単純に、彼らが登場したことで喜びが沸き上がったよう。周りを見渡せば、知人のバンドマンがメンバー揃って大いにはしゃぐ姿も目に飛び込んでくる。そんなホールにいる多くの人達が待ち望んだライヴがようやくスタートを切ったのだ。

Finch (フィンチ) ステージでは、体を大きく揺らし、飛び跳ねながら演奏をするメンバー。ヴォーカルのネイト・バーカロウは、背を反り、全身から力を絞り出すように、声を発していく。また、拡声器を使いながら駆け回る光景も。思わずペン持つ手が震えてしまうほど、圧倒されたのを覚えている。

 そして、6曲目に披露された"レターズ・トゥ・ユー"から続く"ポスト・スクリプト"では、これまでにない嬉しそうな表情を見せる観客も印象的であった。デビューアルバムの"ホワット・イット・イズ・トゥ・バーン"に収録されたこの2曲。今でも、この作品が高い人気を得ているということなのだろう。

 本編ラストは"チャイニーズ・オルガン・スィーブス"。その終盤、ギターのランディ・ストロウメイヤが、自分のそばにセットしたシンバルとスネアを力強く叩いて、会場を楽しませる場面も。最後まで、惹き付けられるライヴを見せてくれた。

Finch (フィンチ) アンコールでは、"エンダー"や"ステイ・ウィズ・ミー"など4曲を演奏。メンバーはもちろん、全19曲をパワフルに歌い切ったヴォーカルのネイト・バーカロウのパワーは凄まじいものがあった。終始、熱気に包まれていたのはいうまでもない。

 曲を聴いただけで、思い出がフラッシュバックするということが誰しもあるはず。自身にとってフィンチの音楽は、まさにそんな特別な存在に当てはまる。だからこの日、彼らのライヴに立ち会えたということだけで感慨深いものがあった。それは、涙を浮かべながら見ていた人もきっと同じ気持ちだろう。そして次に姿を見せてくれる時には、さらなる進化をしているのだろうか。彼らの今後の活躍に期待が募っている。
Finch (フィンチ)
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