ジェイソン・ムラーズ @ CCレモンホール (23rd Feb. '09)
思ったよりアイドル、だけど本質は渋い
本編が終わってもの凄い歓声が起きる。拍手と共に「ジェイソン!ジェイソン!」のコール。しばらくしてジェイソン・ムラーズはじめバンドのメンバー、そしてオープニング・アクトを務めたキマグレンを呼び「アイム・ユアーズ」のイントロをギターで弾き始めたとき、会場がこの日一番盛り上がったのだった。さらに「イェ−!」とか「Yo〜」だけじゃなくて「ニホンダイスキ〜」とかも出てきたコール&レスポンスもきちんと決まっていた。最後の曲「バタフライ」ではジェイソンが各メンバーをポラロイドで撮影。さらにキマグレンまで呼んできて撮影した写真を客席に投げ込んでいた。お客さんたちはもちろん大喜び。会場は満足感に包まれてライヴを終えたのであった。
オープニング・アクトのキマグレンが終わって約30分間セットチェンジがあり、19:30頃ジェイソンとバンドが登場する。大きな歓声。まるでアイドルに送られるかのように女の人たちによる叫び声があちこちで起きる。ジェイソンはソフトフェルトハットを被り、白い長Tシャツ、ジーンズのパンツを穿き、ごくカジュアルなスタイル。ステージ下手(しもて)からドラムス、ベース、ジェイソン、パーカッション、キーボードという並びである。
それに加えてスキンヘッドのホーン3人組がいた。最初はジェイソン背後のお立ち台で演奏していたのだけど、下手に移動したり、ソロを取る人だけステージに残ったりと自在に動き回る。ついには2階席でもスポットライトを浴びて演奏をしていた。この3人が敢闘賞だろう。
「メイク・イット・マイン」から始まったステージは、2曲目「ザ・レメディ(アイ・ウォント・ウォーリー)」の後半でオアシスの「ワンダーウォール」を引用して「おっ!」と思わせる。選曲はアルバム『ウィ・シング。ウィ・ダンス。ウィ・スティール・シングス。』からが中心だった。アコースティックな柔らかい手触りはエレクトリック・ギターを一切使わないからだろう。フォーク、ブルース、ファンク、ラテン、ジャズ、レゲエ、そしてヒップホップまで、さまざまな要素を取り入れ器用に演奏していく。その上に印象的なメロディを伸びやかな声で歌われるわけだから、女の人たちがうっとりするのもわかる。逆に男目線でいえば、サーフ系のシンガーソングライターやジャム系バンドにも通じるような、アメリカの良質な音楽を消化して、しっかりとした演奏を聴かせてくれるところが好まれるところだろう。大ヒットした曲の印象でポップな感じがあるけど、その本質なところでの渋さがある。つまり、男女どちらからのアプローチも可能なのだ。
さらに、親しみやすくお客さんたちに語りかけ、ユーモアもあり、何よりもルックスのよさでアイドル的な声援をたくさん浴びていたのだから、ジェイソン・ムラーズには死角があるのか? と思ってしまう。それほどまでに隙がない。まったく飾ることのないステージ衣装も、スクリーンも豪華な照明もない簡素なステージも、ジェイソンのアコースティックでオーガニックな世界をきっちり作り上げていた。これだけの音楽があれば他に何もいらないという自信の表れだろう。
まるで無印良品みたいに、シンプルだけど、ちょっと上質感があって、誰でも手が届く、ほんのちょっとおしゃれな生活に寄り添うような音楽なのだ。それは、ちょうど現在のような世界的な不景気なご時世にあって、まさに、そんな空気に嫌気が差した人たちが求めていたものだったのだ。
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The photos featured here are all from the show @ Namba Hatch in Osaka on the 25th, Feb.
report by nob and photos by takumi
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