buttonプライマル・スクリーム @ ゼップ東京 (29th Jan. '09)

若返っちゃいました


Primal Scream
 ステージに登場したボビーはいつものジャケット・スタイル、バーリーは赤いウエスタン・シャツにジーンズ、イネスは千鳥格子っぽいスーツに黒のハンチングで、何だか歴史の先生みたい…。そして、「自身のファッションセンス終了!」を宣言したかのような、赤いポロシャツに赤いパンツという全身真っ赤!!の、ドえらいスタイルで登場したマニ! 凄すぎる。しかし、そんなバラバラなルックスの人達が横一列にステージに並ぶと、意外なバランスでまとまって見えるというミラクル… 長年連れ添っているせいだろうか。

Primal Scream 幕開けは「キル・オール・ヒッピーズ」「キャント・ゴー・バック」「ミス・ルシファー」と、初日同様ノリの良い、おなじみの曲が続き、オープニングからフロアは一体感を生み出していた。しかしながら、中盤から「ハイアー・ザン・ザ・サン」を挟んで「ウェン・ザ・ボム・ドロップス」や、「ディープ・ヒット・オブ・モーニング・サン」などの、ダーティーで重めな曲が続くと、途端に雲行きが怪しくなって、中だるみといった感じにフロアが沈んでゆくではないか。やはり皆はもっとイケイケなプライマルがお好みなのか…。実はこのダレ・タイム、スリリングで野心的で、個人的には非常に満足したところなのである。ダンサブルなナンバーに比べれば確かに地味だけれど、「ディープ〜」なんてボビーの声に呪術的なコーラスが重なり凄味を増し、得体の知れない何かに感染するかのように、狡猾で腹黒いギターとベースのループがジワジワ体内に入りこんでくる錯覚に陥る様な、異常なオーラを放っていた。更に、「ハイアー〜」では、ボビーがジム・モリソンと見まごうほど神々しく、頭から足先まで、何度も鳥肌が駆け抜けていった。

Primal Scream 重たい催眠術にかけられた会場は「シティ」をきっかけに、突然、目を醒ます。さっきまでの泥沼の様な空気にクルッと背を向けて、「スワスティカ」→「ムーヴィン〜」→「ロックス」の、神セット投入。そのあまりの変わり身の早さに、一瞬ついていけない。もちろんこの十八番に、観客は歓喜して、沸きに沸き立っている。コンロの上のやかんの様に、アラレもなく沸騰している。何だか操られているようで癪にさわらないでもないが、否応なしに体が動いてしまうし、演奏している本人達も楽しそう。まあ、これは長い歴史を一緒に歩んできたファン、そして自分達へのプレゼントかもしれない。しかも、何だかサウンドの息づかいも瑞々しく、20年以上活動しているバンドとは思えないほどの若返りを感じるではないか。曲間もスパツと次へ進み、プライマルにありがちだったモタモタ感がない。枷をすり抜け、軽やかに、ダンスでもするように時代と寄り添っている… そんな姿勢にポジティブな気分にさせられるのである。まあ、ちょっとだけマニがお疲れ顔だったのが気になるけれど…。

Primal Scream とまあ、散々褒め殺してきたわけだけど、ひとつだけ、とーっても残念なことが…。それはステージ後方のLEDヴィジュアルである。「エクスターミネーター」のアルバム・ジャケットや、人々が走り出す映像などが映し出されていたけれど、映像が細かすぎてLEDのドットに合わなくて良くわかんない。しかも、演奏とのリンクがイマイチ感じられないし、とってつけた感が否めない。なくても良かったんじゃないかなあ? 照明とフラッシュとレーザーだけで十分だと思う。まるで焼肉屋の電光掲示板に見えて、萎えるシロモノだった。演奏だけでハートをガッツリ掴めるバンドなんて珍しいんだから、ヴィジュアルなんて必要ないのでは? というのが、私の、唯一ガッカリな感想である。

 それにしても「カントリー・ガール」って現代にピッタリの曲だと思う。この曲をウォール街や霞ヶ関で、大音量で流してみたいもの。リセッションの嵐が吹きすさぶこんな時代に、自分には関係ないような涼しい顔をして他人の財布にぶら下がっているスポンジ頭達にピシャリと叩きつけてやりたい。こんな風に、自分を奮い立たせて生きている人間が大勢いるんだってことを。

-- set list --

Kill All Hippies / Can't Go Back / Miss Lucifer / Suicide Sally / Jailbird / When The Bomb Drops / Beautiful Future / Higher Than The Sun / Beautiful Summer / Deep Hit / Exterminator / Suicide Bomb / Sick City / Shoot Speed / Swastika Eyes / Movin' On Up / Rocks

-- encore --

Uptown / Necro Hex / Josh Homme / Country Girl / Accelerator

Primal Scream

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"Dolls (Sweet Rock N Roll)"(UK import - 7' / UK import - Pt2 / UK import)
"Country Girl [Single]"(UK import / UK import)
"Dirty Hits"(UK import(Limited Edition Bonus Disc) / UK import / 国内盤 (DVD付き限定盤) / 国内通常盤)
"Shoot Speed (More Dirty Hits)" (国内盤のみ)
"Evil Heat"(国内盤 / 国内盤 - 紙ジャケット仕様 / US import / UK import)
"Xtrmntr"(国内盤 / 国内盤 - 紙ジャケット仕様 / US import / UK import)
"Live In Japan"(国内盤)
"Screamadelica"(国内盤 / US import / UK import)
"Give Out But Don't Give Up"(国内盤 / 国内盤 - 紙ジャケット仕様 / US import / UK import)
"Vanishing Point"(国内盤 / 国内盤 - 紙ジャケット仕様 / US import / UK import)
"Echo Dek"(国内盤UK import)
"Sonic Flower Groove"(国内盤UK import)
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