button ザ・ボウゥディーズ
@ 代官山ユニット (19th Dec. '08)

スタイルに必然性を
 Free For All(フリー・フォー・オール)と題したボゥディーズ主催のイベントにLAZYgunsBRISKY(レイジーガンズブリスキー)と8otto(オットー)がゲストで出演した。会場の代官山ユニットはそれなりにお客さんが入っていた。フロアを見ているとボゥディーズのファンが定着している様子が伺える。

 2番目に登場した8ottoを観るのは初めてで、自分は全く予備知識なしの状態だったけど、スタイリッシュなロックだったので一発で気に入ってしまった。ギター2人にドラム、ベースの4人組で、リードヴォーカルはアフロヘアのドラマーが取る。「踊れるギターロック」というアメリカやイギリスの潮流をそのまま反映したような、切れ味ある音が特徴である。まあ、会場で購入したCDを聴かせた人は「ストロークスみたいだ」と言っていたけど……。バンドのルックスはバラバラでその混成ぶりが強烈な個性となって表れている。スタイリッシュであるということは、自分が不要である考える物事を切り捨てるまっすぐな意志が通ってないといけない。彼らからはその強い意志を感じることができる。

 余談だが、指摘されて気がついたのだけど、「オットー」は「フランツ・フェルディナンド大公」の弟なのだ。バンド名の由来はなんだろうか?

 そして、ボゥディーズ。いつものようにVゾーンが小さいお揃いのスーツにストライプのワイシャツ、メンバーそれぞれの色をイメージしたネクタイをして清潔感溢れる4人組が登場。しかし姿・形に似合わず、黒光りするロックンロールやR&Bをぶちかます。以前と比べ、さらに演奏は荒々しく、そしてROY(ロイ)のヴォーカルは、さらにしわ嗄れていた。この渋すぎる音楽は普通、日本の20代の男がやるものではないのだけど、彼らがこのスタイルを選び取って「これで行くんだ」という自信が感じられる。

 60年代にそれしか格好いい音楽がないというのなら話は別だが、今は2008年であり、60年代から現在まで、さらにロック以前のジャズでも、また欧米のロック以外でも、格好いい音楽というのは数限りなくあって、しかも今の日本なら、その気さえあればそうした音楽を聴くことはさほど難しくない。数ある音楽スタイルのなかで、なぜこれを選び取ったのか謎だけど、昔の人ならコンプレックスを感じていたリズム感であるとか、発声であるとか、そうした「日本人と向こうの肉体的な差」を軽々しく飛び越えてみせる。いや、その差をクリアしたわけではないけれども、コンプレックスなどを初めから感じてないのが彼らの強みだ。

 それはCDの再発で過去の名盤も新譜として聴くことができる世代というだけでなくネットのおかげであらゆる音楽にフラットに接することができる世代だからだろう。だから、この日、ヴァン・モリソン(とロイはいっていたけど、ヴァン・モリソンがいたゼムというバンドの)"Gloria(グロリア)"を大胆にもテンポを落としてカヴァーできるのだ。ジェームス・ブラウンをカヴァーしたときも思ったけど、ある年代の人たちにとって神に等しいくらいの存在をこうもあっさりと自分のものとして演奏してしまうというのは、やっぱり新しい世代なんだなぁと思うのだ。

 もちろん、オリジナルを越えたとか、オリジナルに等しいとか、口が裂けてもいえないけど、これをきっかけにヴァン・モリソンに興味を持ってくれれば最高だし、コンプレックスなくヴァン・モリソンにアクセスできるのが若い彼らの特権だといえる。

 まだまだぎこちないとはいえ、以前と比べれば、お客さんとのコミュニケーションもできるようになり、お客さんもそれに応えてコール&レスポンスをやったり、手拍子をしたりとお客さんもバンドについていっている。自分たちのスタイルをさらに強いものとしていくことだろう。



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