ザ・ニュー・マスターサウンズ feat. ディオンヌ・チャールズ @ 渋谷クラブクアトロ (9th Dec. '08)
少し遅れて新しい渋谷クラブクアトロに着いた。エントランスのレイアウトが全く変わり、喫煙ルームが新たに設けられた。5階に上がると扉が新しくなったかなと思える程度で、フロアはほとんど変わってないように感じた。ソールドアウトだったようで、すでに扉のところまで人がぎっしり入っている。身動きがあまり取れないし、たくさんの頭越しにステージを観ることになる。外国人の比率が高い。すでに多くのお客さんはできあがっていたようで、たくさんの頭が揺れているし、歓声が常に上がっている。
ステージ下手から、ドラムのサイモン・アレン、ベースのピート・シャンド、ギターのエディ・ロバーツ、キーボードのジョー・タットンが横一線に並ぶ。そのため客席から観るとドラマーが横を向いている。キーボードはハモンドオルガンというか、背後にあるレスリースピーカーの回転するホーンが目立つ。スクエアでパワーあるドラムと、うねってしっかりと低音を支えるベース、ナチュラルな音色のギター、そしてサウンドを引っ張るハモンドなどの多彩なキーボードが織りなすバンドサウンドは、非常に高いテクニックを感じさせる。メンバーの服装は、ちょっとモッズぽいというか、小綺麗なので、出てくる音と相俟って、おしゃれで洗練されたものになっている。
ライヴは二部構成で、途中の休憩を挟んで約3時間くらい演奏されたのだけど、ずっと正確無比で持続するグルーヴを生み続けた彼らのタフさに感心させられる。お客さんたちも、非常にノリがよく、コール&レスポンスの反応は早いし、ステージから手拍子を求められると会場中がすぐに応える。こんなに長い時間やったのにスタミナがある。おそらくライヴに来ていた多くのお客さんは楽しんで帰ったと思う。ライヴが終わった後のお客さんたちの表情や耳に入ってくる断片的な会話には満足した感じが伝わってきた。
ただ、ファンクってもっと泥臭くて、猥雑なものじゃないかなと思う自分にとっては、この音は洗練されすぎている。テクニックもすごいので、なめらかに聞こえすぎてしまう。このバンドがジョージィ・フェイムとかのおしゃれでご機嫌なモッズ、そしてザ・ジェームス・テイラー・カルテットみたいなアシッド・ジャズという、黒人の音楽を吸収しておしゃれに仕立て上げるイギリスの伝統を受け継いでいるバンドだと感じる。でも、ゴリゴリ、ブイブイいわせるファンクを求めると肩すかしに遭う。
そこで、黒人女性シンガー、ディオンヌ・チャールズが第二部の途中から現れて事態を救った。ハスキーでパワフルで正統的なソウルシンガーであるディオンヌがファンク成分を注入して濃度を高くする。さらに、それに呼応してキーボードがジェームス・ブラウンの『セックスマシーン』のフレーズを弾く。やっぱり単に上手いとか迫力ある以上に、バンドにケミストリーを起こす触媒のような存在が必要なんだなと感じた。おかげでファンクは加速してフロアの熱狂をより引きずり出したのだった。
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report by nob and photos by yusuke
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渋谷おしゃれファンク : (08/12/09 @ Shibuya Club Quattro) : review by nob, photos by yusuke
photo report : (08/12/09 @ Shibuya Club Quattro) : photos by yusuke
photo report : (06/03/25 @ Daikanyama Unit) : photos by yusuke
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