button 中山うり @ 東京キネマ倶楽部 (5th Dec '08)

昭和模様に染まった平成歌謡の宴

Uri Nakayama (中山うり)
 ツール・ド・ケセラと称され、名古屋、神戸、福岡と巡った中山うりによるツアー。その終着地が東京キネマ倶楽部だ。はじめて訪れたこの場所は、噂に聞いていた以上、そして自分の想像を遥かに越えてノスタルジックな空間だった。元はグランドキャバレーだという会場は、特別な演出が施されていたわけではないのだが、中山うりの歌う世界観にピタリとハマる。昭和模様が色濃く残り、どこか懐かしさが漂う雰囲気の中、柔らかな歌声が響きはじめた。

Uri Nakayama (中山うり) オープニングは代表曲のひとつである"月とラクダの夢を見た"。アコーディオンを抱え、目を閉じてゆっくりと歌い上げる。薄暗い照明に照らされた表情から、歌の世界に入れ込んでいる様子が伝わってくる。また、彼女の歌を支えるバンドメンバーの演奏にも隙がない。数年来を共にしてきているだけあり、落ち着いた表情で淡々とそれぞれの役割をこなしていく。録音された音とはまた違った魅力を放つ生の歌声に、ステージ前のオーディエンスはただただ聞き惚れている様子だった。

 歌の合間にはツアーの思い出や曲の背景など、饒舌なしゃべりでも会場の雰囲気を和やかにしていく。"ショートカット"では自身のもうひとつの顔である美容師の話題に。フロアに向かってにこやかに語りかけるその様子は、彼女の美容師としての一面をのぞかせているかのようだった。歌手と美容師。異色のように思えるが、意外と共通点の多い職業なのかもしれない。元々緊張を見せるタイプではないが、話すことによって、彼女自身もリラックスしていっているように見えた。

Uri Nakayama (中山うり) ライブも折り返し地点に差しかかったところで演奏されたのが"夕焼け空に摩天楼"。オレンジ色の照明に照らされたステージは、タイトルの通り夕焼けに染まった空を連想させる。また高層建築を意味する摩天楼という言葉だが、ここに描かれるのは高層ビルが立ち並ぶ寒々しい風景とはまったく異なる。幼な心を思い出させる懐かしさが音の中に見えるのだ。胸の奥底まで沁み入るメロディーが心地良く、そしてなぜか切なくも感じられた。

 長丁場のセットとなったが、最後まで休憩をはさむことなく歌い切った。アンコールでは中島みゆきのカバー曲"ばいばいどっぐおぶざべい"をはじめ、"笑う月"、"青い夜"と続く。さすがにこれで終わりかと思われたが、サプライズはまだまだ続いた。ステージ上にはサックス&ブラス・マガジンの編集長が現れ、誌上の企画で募集した中山うりとアマチュアバンドの共演企画をここで披露すると発表。多数の応募から当選を果たしたのは「ジェネシス」というマーチングのバンド。統率のとれた太鼓隊のリズムに合わせ、20〜30人程度のメンバーが姿を現し、"カーニバルの午後"を披露した。曲名そのままに場内はカーニバルの様相を呈し、喝采に包まれて約2時間にわたるショーは幕を閉じたのだった。
Uri Nakayama (中山うり)
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"Uri Nakayama EP feat. 月とラクダの夢を見た、Blu Voyage、マドロス横丁、ノスタルジア & 走る女"(iTunes)
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"休日音楽 Sweet and Jazzy" (国内盤)
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"Okinawan Life-sized Music 亜熱帯ショーケース" (国内盤)

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