ロンサム・ダヴ・ウッドローズ @ 下北沢シェルター (28th Nov. '08) 行きたい道をゆけ
10月22日にリリースされたロンサム・ダヴ・ウッドローズの新譜『キアロスクーロ』は実に見通しのいいアルバムだ。自分達のやりたいこと、進みたい道は見えている。だったら行くだけでしょ! ストレートなロックンロールも、スピードは抑えつつ鋭さは鍛えに鍛えたミドル・ナンバーも、全部あわせてそんな音に聞こえる。そのアルバムをひっさげて全国8ヵ所を回ったレコ発ツアー・ファイナル、下北沢シェルター。そこで繰り広げられた風景も、音源と同じような潔さがあった。前半で曲順を間違え、「最初っからずっこけちゃってますけどー!」と言っていたけれど、ずっこけたというよりは、それすらネタ? というか、そこから突っ走るための布石だったとすら思える。ここではなにが起こっても大丈夫、ロンサムと一緒ならどこまででも走っていける。行きたい場所は、もう見えているのだから。
ニュー・アルバムと同じく、"シャンディーズ・レイク"でどっしりとしたスタートを切ると、"サイド・ウェイ"、"ブレイキン・ダウン"と早くもアクセル全開の様相になってくる。ステージだけがみせているわけでも、フロアだけが楽しんでいるわけでもない。気の入ったコール&レスポンス。「ライヴはお客さんと一緒に作り上げるもの」とはよくいうけれど、なかなか実現しているのを目にするのは難しい。しかし、今日はまさにそれだった。これが"ライヴ"ってもんだよね! と誰もが納得できる展開。こういう場面に出会えるから、ライヴ通いはやめられないのだ。ステージ前の柵にひょいと乗りだし、客と間近に対峙したときの真剣な目。中盤〜後半にかけ、体はふらっふらになっても、汗だくになっても、髪を振り乱し、ペース配分ってなに? というくらいに飛ばしまくる勢い。「声が聞こえねぇんだよ!」とうれしそうに悪態をつきながら何度も見せる笑顔。そんなものを見せられたら、負けないほどの力で受け止めたくなるし、打ち返したくもなる。気持ち良く続く、本気のラリーをみているような緊張感と高揚感。目の前で繰り広げられる音楽を五感で感じられる、ライヴの醍醐味がそこにはあった。本編最後の"ブラック・バニー・ブルース"では、ターシの「飛んでこいっ!」の声に呼応し、フロアは歌う人、踊る人、飛ぶ人、叫ぶ人……、それぞれのスタイルで感情を爆発させる人たちで完全にカオスと化した。ロンサムが発する熱に犯され、そこは狂喜と狂気が同居する空間になっていた。
1回目のアンコールに出てきたとき、「オレ、死んだばあちゃんが見えた(笑)」なんて冗談がでるくらい、肉体的には消耗していた様子だけれど、演奏が始まれば条件反射的に体が動きだし、目の中には力が戻る。本物のロッカーの性だ。"スキニー・ストーム・ライダー"で、ギターを手放し、オレンジのライトを背に、前に乗りだしてきた時のターシの鬼気迫る表情に、胸が熱くなった。
アンコール2回目は、やっぱりこれをきかなくちゃ帰れない"It's All right…Go Home!"だ。本当は帰りたくなかったけれど、ステージもフロアも思いっきり「帰れっ!」といいあって、笑顔でこのライヴをしめくくった。今年中もまだライヴが残っているし、4月には京都でワンマンが決まっているという。ロンサムの「Go Home!」は「また来いよ!」と同じ意味なのだ。
すべての演奏が終わった後のシェルターは、天井には熱気で水滴がつき、床は観客が暴れた印でぐちゃぐちゃになっていた。どれだけ熱いライヴだったかの証に見えた。
-- Set List --
1.Shandy's Lake/2.Side Way/3.Breakin' Down/4.Brown Dog Howlin' Blues/5.Sad Week Days/6.Fakement Cool/7.BOOGIEをくれてやろう/8.Walk Alone Slowly(But Sleep In Deep)/9.灰色の鼓動/10.Come on, Come on/11.Shooting Bright Star/12.Night Scarlet/13.このままでいいぜ/14.Midnight Slider/15.Skippin' out/16.アリス/17.Let's Get It,Do It Right/18.死神のブギー/19.ステンレス・ブギー・シューズ/20.サニー/21.Star Dust Blue/22.Rock Yard Stampede/23.ブラック・バニー・ブルーズ
-- Encore.1 --
1.シェイクはとまらない/2.Skinny Storm Rider
--Encore.2 --
1.It's All right…Go Home!
ライヴ・スケジュール
12月13日 下北沢ケイヴ・ビー
12月19日 新宿レッドクロス
12月21日 札幌スピリチュアル・ラウンジ
※詳細は オフィシャル・サイトでご確認ください。
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report by wacchy and photos by hoya
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