buttonザ・ミュージック @ 名古屋ダイアモンドホール (11th Nov. '08)

踊り狂った素敵な夜


The Music
 北から南下してきて既に6公演目(全8公演予定)の本日が、ようやく日本のど真ん中の名古屋公演である。晩秋の肌寒い夜を早足で歩き、開演ギリギリに会場に着いて辺りを見回すと人が奥までギッシリ。今時のロック・キッズ達からスーツを着たサラリーマンに、外人さんたちまで老若男女が期待に胸を膨らませながら待っている。「うわあ、やっぱり人気だなあ」とザ・ミュージックの人気を眼で再確認しつつ、今日はきっと凄い夜になるという予感が頭の中をよぎっていった。

The KBC まずは名古屋と翌日の大阪でオープニングアクトを務める英国出身の3人組ザ・ケービーシーが登場。音楽的には最近の流行であるロックとダンスの融合を試みたニューレイヴとよべるものだろう。それは次のザ・ミュージックとは違って革新的で、今を感じさせる音だ。打ち込みを多用した性急なビートが腰をくねらせてくるし、キャッチーなロックサウンドが心臓を打ち抜いてくる。こんな音楽を耳にしていると体全体が揺れてくるのにさほど時間はかからないだろう。文句なしにノレる。ただ、割と演奏自体は淡々としていてスマート。それが影響してか40分ほどのステージは一様に平坦だったという印象を抱いたのも事実。スピーカーによじ登ったり、拡声器を使ったパフォーマンスなど楽しませてくれる場面もあった。けれども、ライブ中にもっと大きな山場を作れるようになれば、もっと良いライブができるのではないかなと個人的には感じた。それでもザ・ミュージックとともに踊れる音楽は単純に気持ちよかった。本日が素敵な夜となったのは彼等がいたからこそである。新たな宝石を見つけた! そう思った人もきっと多くいることだろう。

The Music ザ・ケービーシーの冷めやらぬ熱気に包まれていた中で登場したのがザ・ミュージック。姿が見えたら、もう待ってましたと言わんばかりの耳を劈く大歓声が彼らを出迎える。1曲目の"テイク・ザ・ロング・ロード・アンド・ウォーク・イット" が始まると早くも音に身を任せて体を揺らす人が続出。曇天を突き破るような甲高いヴォーカルに、ハードロックの艶を少し感じさせる演奏陣が合算して紡ぎだすグルーヴの嵐。四方八方から襲い掛かるその刺激がこの上なく気持ちよく、それが我々を酔わせていた。

 頭を揺らす人もいれば、ピョコピョコと飛び跳ねる人もいたし、拳を振り上げる人も、一緒になって唄っている人もたくさんいた。個人的にはこの日が、初のザ・ミュージックのライブだったがそういう風に体が自然と反応してしまうのが非常によくわかる内容だった。それはなぜかといえば、4人の無垢たるエネルギーが集束するこのグルーヴには理屈なんていらない、ただ各人が思うままに感じて、それを本能で表現すればいいのだという強い説得力が感じられたから。その最たるものがやってる本人ロブのあの奇怪なダンスだろう。あれを見てるとなぜかこっちも身構えて聴いてるのがバカらしくなってくる。そう、音にまみれて気の済むまで騒げばいいのだ

The Music 中盤に披露した "ザ・トゥルース・イズ・ノー・ワーズ" や "ウェルカム・トゥ・ザ・ノース" では興奮を抑えられなくなってダイヴを敢行している人もいた。かと思えば "ヒューマン" でしっとりと聴かせる場面もあり。この辺りの強弱のつけ方は非常に巧み。そして、終盤のファースト・アルバムからの3連発 "トゥー・ハイ" "ザ・ピープル" "ゲット・アウェイ"の盛り上がりは特に凄くて一段と歓声が大きかった。全体的にファースト・アルバムの曲が披露された時の歓声は凄かったように思う。それはあのアルバムがいかに衝撃的であったかという証といえるだろう。だが、個人的にはラストの"ブリード・フロム・ウィズイン" がハイライト。「ブン・ブン・ブン・ブーン」の名フレーズを気持ちよく合唱していたかと思うと、曲の終盤で4人がドラムを一斉に叩き出して感覚中枢を強く刺激。今日一番の興奮を最後に味あわせてくれた。アンコールは無かったけど、90分強の時間で己の力を全部振り絞った結果だろう、そんな姿勢も潔くて好感が持てた。

 けれども、連日の公演の疲れからかロブの調子自体はそんなに良い方ではなかったと思う。実際、ロブ自身の表情や仕草にもどこか納得がいってない無い様子が見受けられた。それに演奏でも少なからず首をかしげてしまう場面があったのは否めない。だが、バンドのエネルギーを一点集中で注ぎ込む至上のグルーヴの気持ちよさは、唯一無二と言われているだけあって半端ないものであり、彼等がなぜ日本で支持されているのかが如実にわかるライブだった。初体験のザ・ミュージックに満足して家路についた後も、その日は耳鳴りが数時間前の4人の残像を蘇らせてくれていた。


-- set list --

Take The Long Road And Walk It / The Spike / Freedom Fighters / Fire / Human / Drugs / Strength In Numbers / The Truth Is No Words / Welcome To The North / Get Through It / Idle / No Weapon Sharper Than Will / Too High / The People / Gateway / Bleed From Within
The Music
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