buttonte' (テ) @ 渋谷クラブクアトロ (25th Oct. '08)

言葉よりも前に広がる想いを
te'
 足跡を振り返っては、後ろめたさを感じてしまったことや、人の目を気にして、気持ちが拒むものを受け入れたことがあるだろうか。ただそれは、現実の世界で避けて通ることは難しいようにも思う。しかし、この日の為に題された80文字にも及ぶタイトルに、決して誰かのご機嫌を伺いながらではなく、自分達の本能を、それぞれがありのままに表現できてこそ、はじめて受け取る側へ手を差し伸べていけるといった裏のないte' (テ)の意志を垣間見ながら、ワンマン・ライヴとなる渋谷クラブクアトロへ足を進めた。

te' オープンして間もない時刻には到着し、肌寒い気温にも関わらず、タオルを首に巻いて半袖になった若い男女達の後を追うようにしてフロアへと向かう。演奏の合間にメンバーが口にしていたのだが、8月に開催されたライジング・サン・ロック・フェスティバルへ出演した際に、ついつい北海道に移住すると宣言してしまった4人。それでも、こうして4カ月以上ぶりとなる東京でのライヴに姿を見せてくれることを、心待ちにしていた人の多さは明確である。ざわついた様子のない張り詰めた空間から、彼らが登場した途端に前へと駆け出す人達の顔色が物語っていた。

te' 彼らは、いわゆる歌のないインストゥルメンタル・バンドだが、曲名には深いこだわりを持っている。10月に発売されたサード・アルバムの"まして、心と五感が一致するなら全て最上の『音楽』に変ずる"では、はじまりと終わりの楽曲が繋がるように名づけられているとのことだ。もう何年か前の話しになってしまうが、彼らを知ったきっかけは、想像を掻き立てられるような文字の並びに興味を引かれたからである。それから音源をじっくり聴き、人との関わり合いの中で生まれる愛情の他に、ぶつかり合うことで生じる心の揺れさえも、感じ取れたのを覚えている。

 そんなことを追想しているうちに、辺りは真っ暗な闇に包まれていき、それを切り取るようにして青い光が帯となって差し込まれていく。そして、音が鳴り響くと同時に、一瞬にして体中を巡ってきたかのような寒気に襲われてしまう。なぜなら、思い描いていた世界よりも遥か上へと彼らの音圧が超えていたからだ。ドラムにおいて言えば、淡々とドラムロールを繰り返しているのに対して、急に何かが割れたかと思う程の熱量を増して聴覚を刺激していくといった具合である。

te' 時に、低姿勢で黙々と演奏を続けているかと思えば、MCを挟むと人柄が変わったかのように日常のささいな出来事を題材にして、話しが繰り広げられていく。少し愚痴のようでもあるのだが、ほとんどの会話に笑ってしまっていたように思う。これには、より人間味のある温かさを目にしたようでもあった。

 アンコールを含め20曲ほど披露してくれただろうか。最後の曲となる"死闘、勇鋭、死憤、励鈍、倖用、待命、陥陳、勇力、必死、冒刃。"では、キューミリ・パラベラム・バレットのメンバーでもある中村和彦がギターを手にし、滝善充がベースといったポジションで、その場に勢い良く乱入。テの2人はというとステージを駆け回りながら叫んでいたのだが、逆光に照らされた彼らから、時折笑顔が見え隠れしていたことが、映像的な記憶となり今なお離れないでいる。

 目先に捕われず今という瞬間を大事にし、言葉がなくとも伝えることに軸を置いた彼らのライヴ。それは、11月から行われるリリースツアーへの期待を大いに膨らませるものであった。
te'

report by ai and photos by yusuke
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≪サード・アルバム、『まして、心と五感が一致するなら全て最上の『音楽』に変ずる。』リリース・ツアー≫

11/1(土)福岡DRUM SON
11/2(日) 長崎DRUM be-7
11/8(土) 札幌SUSUKINO 810
11/22(土) 高松DIME
11/23(日) 岡山Crazymama 2ndroom
11/24(月) 名古屋UPSET
12/1(月) 仙台MACANA
12/6(土) 大阪Shangri-La -tour FINAL-
12/20(土) 沖縄桜坂セントラル

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button言葉よりも前に広がる想いを (08/10/25 @ Shibuya Club Quattro) : review by ai, photos by yusuke
buttonphoto report (08/10/25 @ Shibuya Club Quattro) : photos by yusuke
buttonCD review : まして、心と五感が一致するなら全て最上の『音楽』に変ずる。 (08/09/28) : review by takuya
button轟音の楽園 (08/06/28 @ Nagoya Apollo Theater) : review by takuya,photos by yoshitaka
buttonphoto report (08/06/28 @ Nagoya Apollo Theater) : photos by yoshitaka
button高架下にて (07/10/20 @ Live Square 2nd Line) : review by miyo


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The latest album

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"まして、心と五感が一致するなら全て最上の「音楽」に変ずる。"
(国内盤 / iTunes)

The latest DVD

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"音楽の研究者は、音楽をねじ伏せようとしてはいけない。音楽をして、 音楽の赴く所に赴かしめるように導けばよい。そうして音楽自身をして音楽を研究させ、 音楽の神秘を物語らせればよい。"
(国内盤)

previous works


"それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。"(国内盤 / iTunes)
"言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ"(国内盤 / iTunes)
"ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る"(国内盤 / iTunes)


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