buttonザ・キャプテンズ @ 新宿ACBホール (25th Oct. '08)

GSは時を越える

The Captains
 自らを「最後のグループ・サウンズ」と名乗るキャプテンズは、これまでも数々のGSの名曲をカバーしてきた。ザ・カーナビーツの"恋をしようよジェニー"は北陸製菓の食玩CDとして発売されたし、ザ・ダイナマイツの"トンネル天国"は、初期から演奏され続けているライブの定番曲だ。そして結成7年目にして、彼らはとうとうGSカバー・アルバムを作ってしまった。その名も『I LOVE GS(アイ・ラヴ・GS)』。タイトルも選曲も直球ド真ん中の、GS愛あふれる1枚だ。

The Captains 1960年代、日本で初めてのバンド・ブーム=GSブームが巻き起こった。将棋倒しのように失神するグルーピーの姿は、昭和中期を象徴するニュース映像でもおなじみの光景である。歌舞伎町の中心にある新宿ACBホールは、もともとジャズ喫茶だったが、ブームの頃はキラ星のごときGSバンドがたくさん出演していたという。

 その由緒あるステージに、21世紀型のGSを奏でるキャプテンズが降り立った。赤い細身のパンツ、薔薇の刺繍が施された黒ベスト、フリルたっぷりの山吹色のシャツ、ピッチリとなでつけた黒髪。キラースマイルでハートを撃ち抜く姿はGSアイドルそのもの。深紅の緞帳が似合うったらない。かつてのGSバンドと異なることといえば、グルーピーではなく メンバー(っていうかVo.傷彦限定だけど)が失神することくらいだ。

I LOVE GS(アイ・ラヴ・GS)』発売記念のGSカバー・ライブと銘打ったこの日のライブには、キャプテンズに恋した女の子から、カバー元のバンドを愛する往年のGSファンまで、幅広い世代が集まっていた。もちろん、今や日本で最も薔薇色に染まった街である群馬からも大勢のグルーピーが駆けつけている。年齢もキャラクターもバラバラの人たちが、GSを媒介に共存している。キャプテンズのライブだからこそ体験できる、特別な空間だ。

The Captains ザ・スパイダース、ザ・テンプターズ、オックス... 甘さとせつなさとちょっぴりの懐かしさに、お客さんはみんなうっとり。日本人の身体には、生まれながらにしてGSを愛するDNAが組み込まれているに違いない。初めてブルー・コメッツを聴いたであろう若いお嬢さんが、その場ですぐに口ずさんでいる。キャッチーなメロディはGSの強み。ブームから40年以上経ってもまったく色あせることがない。美しいメロディは不変なのだ。

 カバー・オンリーの本編に続き、アンコールはオリジナル曲の連打。付け焼刃ではない本物のGSメロディを聴いて、先輩グルーピーが嬉しそうにうなずいている。当初予定されていたラスト曲、"恋のゼロハン"が終わった時、傷彦が叫んだ。「スペシャルでもう1曲、"夕焼けサンドビーチ"!」。フロアの熱狂にこたえて、キャプテンズからのプレゼントだ。GSならではの、バンドとグルーピーの密接な関係。かつてのACBホールでも、こんな光景が見られたのではないだろうか?

The Captains 傷彦がいつも言っているように、GSは日本人にしかできないロックン・ロールだ。ザ・ワイルドワンズは結成40周年で日本武道館のステージに立ち、ジュリーこと沢田研二は還暦祝にドーム公演を行う。いつの時代も、誰かがGSを聴いている。続けていれば、きっと誰かが見ていてくれる。キャプテンズだってまだまだこれからだ。そう信じて、私は愛の叫びを聴き続けている。

-- set list --

バン・バン・バン(ザ・スパイダース) / 真っ赤な太陽(美空ひばり・ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) / ブルー・シャトー(ジャッキー吉川とブルー・コメッツ) / 夕陽が泣いている(ザ・スパイダース) / エメラルドの伝説(ザ・テンプターズ) / 今日を生きよう(ザ・テンプターズ) / 神様お願い(ザ・テンプターズ) / 恋をしようよジェニー(ザ・カーナビーツ) / 花の首飾り(ザ・タイガース) / テル・ミー(オックス) / トンネル天国(ザ・ダイナマイツ) / シーサイド・バウンド(ザ・タイガース) / 想い出の渚(ザ・ワイルドワンズ)

-- encore 1 --

ハートにピットイン / 黄昏流星群 /プールサイド・ビーチサイド / 恋は赤道直下 / 恋のピストル(BAN・BAN・BAN)

-- encore 2 --

恋のゼロハン / 夕焼けサンドビーチ
The Captains
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