button岸 眞衣子 @ 六本木 スーパー・デラックス (22nd Oct. '08)

再始動への決意と共に

Maiko Kishi
 2006年11月18日。マグノリアというバンドが、ツアーの果てに活動を休止した。バンドの休止とともにメンバーそれぞれがソロやサポートといった活動に打ち込むことになるのだが、ただひとり息を潜めていた人物がいる。それがこの日の主役であるボーカルのmaiこと、岸眞衣子だ。1年半以上息を潜めていた岸がようやく表舞台に顔を出したのは今年7月、九州でのことだった。それから一歩一歩確認するように、ゆっくりと日本各地を巡りはじめる。それは歌を届ける旅であると同時に、活動再開の旨を自身の言葉で直接伝えにいくための旅だったのかもしれない。その旅路の終着点がここ東京だった。

Maiko Kishi 岸の歌をサポートするのは、ツアーにも同行していた佐藤克彦とクニ杉本、そしてマグノリアのドラマーである椎野恭一の3人。岸自身はアコースティックギターと、サンプリング・マシーンのようなものを携えて歌う。マグノリア時代はバンドに支えられながら歌っていた印象を受けたが、ソロになってからは自らが積極的にバンドをリードしているように思えた。マグノリア時代の楽曲から、活動休止期間に作ったオリジナル、そしてジャニス・ジョップリンのカバー、"Rose"といった歌がフロアへと届けられていく。

 曲間のMCでは、活動休止期間のことやミュージシャンとして旅をすることについて話した。かつてマグノリアは1台のバスにミュージシャン仲間、楽器、サーフボードと乗り込み、日本を縦断する旅を行っていた。日本各地を旅し、人に出会う喜び。マグノリア時代、関東圏を離れたツアー先ではそんなことを岸は話していた。しかし、同時に旅は彼女から地元の仲間と過ごす時間を奪っていったともいう。ミュージシャンとして旅とともに生きていくことへの不安と葛藤。そういった自身の感情を飾ることなく、ステージ上の彼女は話していく。そんな言葉のひとつひとつに、フロアのオーディエンスは静かに耳を傾けていた。

 アンコールを含めると1時間半以上は演奏していたと思う。長く、柔らかな拍手の音に包まれ、岸は歌を終えた。ツアー・ファイナルも終え、これでライブも一段落かと思っていたのだが、嬉しいことに彼女の旅は年内もまだまだ続くようだ。「今後の活動のことは分からないけど…」などと岸は話していたが、彼女の歌を待ち望む人がいる限り、歌を届ける旅は続いていくのだろう。…というのはいちファンの視点からの勝手な解釈だが、そうあって欲しいと心底願っている。バンド時代とは異なるソロ・ミュージシャンとしての岸の音楽を、今後も可能な限り追い続けていきたいと思う。

Maiko Kishi
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