buttonイースタン・ユース @ 名古屋クラブクアトロ (4th Oct. '08)

今夜もどこかで魂は震え続けている


Eastern Youth
 今この文章を読んで下さっているそこの貴方。自分にとって大切な存在となる音楽に、初めて触れた時の事を覚えているだろうか?

 演奏開始のプレイボタンを押した瞬間、レコードに針を落とした瞬間。あるいは初めての出会いがライヴであったかも知れない。客電が落ち、初めてステージのアーティストと対峙した時の事を覚えているだろうか。

Eastern Youth「そんな人生で、面白かったよ。そんなやり方で、今も面白え。」

 イースタン・ユースのギター&ボイス担当の吉野が、ライヴ中にこう語っていた。彼らは今年で活動二十周年を迎える。二十年の年月の間に、様々な人が様々な瞬間に彼らの音楽と出会い、魂を震わせて来たのだろうと、そしてこれからもそんな出会いの瞬間があちこちで訪れるのだろうと思いを巡らせながら、彼らの名古屋公演を、見た。

 ライヴは"夜明けの歌"で始まった。「スットコドッコイ二十年」と題された今回のツアーは、これまでの活動のベストといったセットリストで構成されている。「メガネは顔の一部です」なんてキャッチ・フレーズが昔あったけれど、まさにギターが身体の一部と化して、糸の切れかけた操り人形みたいに身体を揺らし、全身で爆音を鳴らしているかのように見える吉野。"雨曝しなら濡れるがいいさ"では二宮の間奏のベース・ラインが唄っているような、はたまた泣いているかのような繊細さで流れて行く。後方では左右のシンバルを叩く田森の右手のスティックが頭上で豪快に弧を描き、まるで軽やかに舞っているように見える。ライヴ序盤の短いMCに対してまで、観客のリアクションはとにかくアツい。それは他でもない、イースタン・ユース自身の演奏の充実ぶりがフロアに伝わっているからなのだろう。

Eastern Youth「見やすいように一歩高い所に上ってはいますが、私は全然高級な人間ではありません。ロックスターになりたいなんて思った事は無え。(グラスを持つ仕草をしながら)一本くれ!の男でいたいのよ(笑)。」

 ライヴ中にそう語る吉野は、今年の初めに「二十年なんてめでたく無えんだよ!」とうそぶいていた。ところが今回のツアー先で「そういう時は素直にありがとうって言っときゃいいんだよッ!」と一喝されたそうで、それ以来すっかり心を入れ替えたのだそう(笑)。「俺はまだまだ子供だったよ…。」と語りながら反省する吉野は心なしか照れていて嬉しそうで、とても人間臭い。

Eastern Youth アンコールでの演奏が終わると、さらに熱烈な拍手が起こった。形式的なそれでは無く、心からのアンコールだ。メンバーが再び現れると、二宮がベースのネックを挟んだ格好で客席に手を合わせて感謝して見せる。吉野の「アナタガタハ、ワタシヲ、コロスキデスカ?」の一言に、そしてぼやきつつもしっかりとギターを肩にかける姿に、客席からは「ありがとう!」の歓声と笑顔が起こった。「ワタシノ、タイリョクニハ、ゲンカイガ、アリマス。」なんてぼやいて見せるものの、どうしてどうして最後の「ドン・キホーテ」のイントロが鳴らされ始めた瞬間、その爆音で本当にフロアが揺れていたのだった。

  「自分が素晴らしい、大事だと思う事は、自分が決定して自分で守らないと、気付かないうちに崩れて流されてしまってそのまま行っちまうんだよ。努力しないと、無くなっちゃうんだよ。だから、誰かに決めさせ無いで、全力でそれだけ守っていれば生きて行ける。」

 ライヴの終盤、吉野がこう語っていた。イースタン・ユースに出会って以来、彼らの音楽に共鳴する感受性と震え続ける魂を、私も全力で守って行きたいと思う夜だった。



report by jet-girl and photos by yoshitaka
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ライヴスケジュール
【極東最前線/巡業〜スットコドッコイ20年】

08/10/24 東京 SHIBUYA-AX

【「ASYLUM2008」避難所の初夜】
08/11/14 沖縄那覇 桜坂セントラル

【club SONIC iwaki 7周年イベント】
08/12/13 福島 club SONIC iwaki
詳細はこちらでご確認ください。

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button今夜もどこかで魂は震え続けている : (08/10/04 @ Nagoya Club Quattro) : review by jet-girl, photos by yoshitaka
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"地球の裏から風が吹く"
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"少年ナイフ・トリビュート フォーク&スプーン" (国内盤)
"365歩のブルース" (国内盤 / iTunes)
"DON QUIJOTE(ドン・キホーテ)" (国内盤)
"矯正視力〇.六" (国内盤)
"其処カラ何ガ見エルカ" (国内盤)
"What Can You See from Your Place" (US import)
"世界は割れ響く耳鳴りのようだ" (国内盤)
"Eight Teeth to Eat You" (US import- with CURSIVE, 8 trax)
"感受性応答セヨ" (国内盤 / iTunes)
"雲射抜ケ声" (国内盤 / iTunes)
"旅路ニ季節ガ燃エ落チル" (国内盤 / iTunes)
"口笛、夜更けに響く" (国内盤 / iTunes)
"踵鳴る" (国内盤)
"静寂が燃える" (国内盤)
"雨曝しなら濡れるがいいさ" (国内盤)
"風ノ中" (国内盤)
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"裸足で行かざるを得ない / 道端" (国内盤)
"孤立無援の花" (国内盤 / iTunes)
"少年ナイフ・トリビュート フォーク&スプーン" (iTunes)
"赤い胃の頭ブルース(日本テレビ「栞と紙魚子の怪奇事件簿」主題歌)- Single" (iTunes)


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