54-71(ごじゅうよんのななじゅういち) @ 渋谷オーネスト (2nd Oct. '08)
緻密に計算されたド変態プレイ
淡い青を基調とした薄暗い照明がステージ上を照らす。中央後部にドラムセットが配置され、あとはギター・アンプとベース・アンプがそっけなく置かれているだけ。シンプル過ぎるその様子に、「これ本当に準備できてるの?」などという声も上がっていた。そんなステージとは対照的に、フロアは入り口付近までぎっちりとファンで埋め尽くされている。日本でライブを見るのははじめてになるのだが、失礼ながらその人気ぶりは少々意外なものだった。
54-71をはじめて見たのは昨年、韓国で行われたフロー・フェスティヴァルでのこと。当時は3人編成で、ボーカルのビンゴはキーボードを弾きながら絶叫していたと曖昧ながら記憶している。今回は当時のメンバーに新たにギターが加わり、キーボードを弾いていたビンゴがボーカルに専念していた。演奏スタイルが変わったわけではないのだが、ライブの印象が大きく変わったのは、やはりビンゴがボーカルに専念していたことに起因していると思う。スパンコールをあしらった(?)キラキラと光る青の衣装を上半身にまとい、下半身は黒のタイツにグレーのボクサートランクス、そして、足もとはブーツという出で立ち。マイクを口にくわえて絶叫したかと思えば、ときには鼻水を数cmもたらしながら歌い続ける。全身を使って歌を表現するその様相は異様であり、ひとことで言ってしまえば「変」だ。だが、しばし見続けるうちに、その目に秘められた真剣さに少しずつ引き込まれていくのだった。
ビンゴの話ばかりが長くなってしまったが、もちろん彼ひとりで成り立っているバンドではない。54-71の音を支える屋台骨になっているのがボボのドラムだ。スネア、バスドラ、ハイハットという超シンプルなドラムセットから、キレと重量感、そして正確さを兼ね備えたリズムを叩き出す。このリズムをより強固にしているのがリーダーによるベースで、ボボのドラムにねっとりと絡みつくようにかき鳴らされる。変則的なリズムでありながら、何も考えずに気持ち良さを味わさせてくれるのがこのバンドの巧さなのだろう。そしてこのリズムにギターの浮遊感漂う音色が重なっていく。薄暗い照明の効果も手伝って、どこか内省的で陰鬱さを秘めたバンドサウンドは、聴き手をより深いところまで連れていってくれるのだ。
パフォーマンスやらサウンドやらと見所の絶えないバンドだが、この日何より興味を惹かれたのは、緻密に構築されたライブそのものだった。MCといったMCはほとんどなく、曲の終わりとほぼ同時にボボのカウントから次の曲がはじまる。メンバーの足もとにはセットリストを書いたメモも存在しない。構成はすべてメンバーの頭の中に叩き込まれているのだろう。真っすぐな視線でオーディエンスと向かい合っている様子がひしひしと伝わってきた。笑いと狂気が入り交じったライブ、その背景に垣間見える真剣さ。54-71をはじめてじっくりと見た筆者はそんなところに魅了されてしまった。近いうちにまたライブを見たいと思うのだが、国内ツアーを終えた彼らはこれからヨーロッパへと旅立ってしまうようだ。帰国後のライブは未定だが、パワーアップした姿を見られるのを楽しみに待ちたいと思う。
54-71 ツアースケジュール
10/10(金) Galway - IR | Roisin Dubh
10/11(土) Dublin - IR | Whelans
10/12(日) Limerick - IR | Baker Place
10/13(月) Belfast - IR | Venue Lavery's Bunker
10/14(火) Manchester - UK | Upperspace
10/15(水) Birmingham - UK | Factory Club
10/16(木) Brighton - UK | Engine Room
10/17(金) London - UK | The Fly
10/18(土) Leeds - UK | Brainwash Festival
詳細はこちらでご確認ください。
|
report and photos by funabashi
|
The official site
54-71
http://www.54-71.org/
check 'em? --> My Space / iTunes
The latest album

"I'm not fine, thank you. And you?" (国内盤)
|
previous works
"C.A.P.S.2 - 2nd EDITION / A felicity SAMPLE" (iTunes)
"Speak Japanese or Die" (iTunes)
"All Songs Composed & Performed by 54-71 Recorded in Februry 2004" (国内盤)
"true men of non-doing" (国内盤)
"enClorox" (国内盤)
"Untitled" (国内盤)
"reprise" (国内盤)
"54-71" (国内盤 / iTunes)
check the albums?
|
|
|