スカ・クバーノ @ 赤坂ブリッツ (24th Sept. '08) つま先から沸き上がる音
ひとつの好奇心だけを大事に持ち、会場へ通じる赤や青に変化していく鮮やかな階段を駆け上がる。この日、辿りついた先にある扉を開けた手は、はじめましてという前向きな気持ちだったことだろう。そして「想い想いのリズムに乗り楽しんで下さい」と、DJブースから観客へ向けられた言葉を合図とし、スカ・クバーノが登場。ひとり、ふたりと総勢11人がステージに立ち演奏がスタートした。奏でるというよりは、腰をふりながらステップを踏み、踊るという感覚。彼らが足を地から離す仕草は、まるで行進でもするのかというくらいだ。
はじめに目が留まったのは、ヴォーカルのナッティ・ボーが、あたかも陽気そうに頭にかぶる松本城と大きく書かれた、すげ笹。これは、飛脚や旅商人が使用していたといわれている。ところが、何故か違和感はなく、思わず口元がゆるむほど微笑ましい。確か3曲目の"イスタンブール" が終わった頃、そんな彼が「アカサカスカスー!」と間違えながらも、会場内を笑顔にさせていく。すると自然に前へ導かれるように、一歩ずつ後ろに居た人でさえも詰め寄りはじめているではないか。ふとホール全体を見渡すと、2階席から乗り出している人もいれば、男女がお互いの手を合わせ、自由にリズムを刻んでいたりもする。その上、舞台そでから体を揺らし笑顔がたえないステージマン。心穏やかになる光景を目の当たりすると、さらに肌で感じることができるのだ。ジャマイカのスカとキューバの香りが漂う彼らの音楽が、あたりに満ちていくのを。
前日に長野県の松本市で行われたライヴでも披露されたようだが、日本の文化を紹介したいと、ミス・メグーがサックスをリコーダに持ちかえ、紫がかった灯りが差し込まれる下の元、"荒城の月"を聴かせてくれた。先程とは一転して静まりかえった場所に鳴り響くこのメロディーを、何年ぶりに聴いただろうか。しかし故郷を恋しくさせ、確かに日本を思わせるのだから、一緒に育ってきたとも言えるのだろう。
アンコールを含めたラストは、"アイ・カランバ"。アカペラからはじまり、「なんてこった」を意味することから、ここにいる皆の重なった声を、その日本語に乗せて大合唱。2年ぶりの来日となる最終日は、一体感を残しながら締めくくられた。
今さらながらに思うが、もしかすると会場にいる人達の中で、彼らに対する知識は1番なかったのかもしれない。耳にしたのは一度か二度くらいで、顔を見たことはなかったし、加えてライヴの数日前までは、バンド名さえ読めなかったのだ。ただ、それがなくともシンプルに時間の流れに身をまかせ、感情を空っぽにして楽しんでいたことは、つま先が意識の範囲に入るといつの間にか踏み鳴らしていた姿と、ありのままの自分が呑気そうに居合わせたことからも言える。もちろん知っている内容が多いと親しみも増え、毎回見せる表情の違いを感じ取れるのだから、申し分ないが。それでも、こうして文字にすることによって少しずつ触れていこうとしているのは、何かを深く考えることもなく、ゆったりした時間を過ごせるスカ・クバーノの音楽に、惹かれはじめた証拠だと確信している。
report by ai and photos by hanasan
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2008
つま先から沸き上がる音 : スカ・クバーノ (24th Sept. @ 赤坂ブリッツ)
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