ボー・ピープ @ 三軒茶屋ヘヴンズ・ドア (6th July. '08)
ストロングなお姉さんは、好きですか!
去年のフジ・ロック二日目、新人バンドの登竜門ステージ「ルーキー・ア・ゴーゴー」で彼女達のライヴを見た。演奏姿勢は問答無用のストロング・スタイルで、良い意味で伸されてしまったのだが、こういった体験が出来るからライヴに足繁く通いたいのよね、そう感じさせてくれるバンドでもあったのを覚えている。
今年六月に新譜『シック・オレンジ・テレヴィジョン』をリリースした女性スリー・ピース・バンドのボー・ピープ。ベースの桜井が産休のため、サポート・ベーシストとしてヴォラ・アンド・ザ・オリエンタル・マシーンから有江(黒一点?)を迎えてのレコ発ワンマン。会場の三軒茶屋ヘヴンズ・ドアに到着すると、セカンドアルバムでエンジニアを担当していたモーサム・トーンベンダーの藤田がスペシャル・ゲストDJとしてプレイ中。みんなに愛されてるなあ、ボー・ピープ。
愛されていると言えば、英語圏のお客さんが何人もビール片手にフロアでワクワク顔をしている。ボー・ピープはイギリスでライヴを行ったことで現地で人気に火がつき、今年五月にもUKツアーをまわって来たばかりなのだ。どうやら彼女達はストロング・スタイルのライヴで向こうのお客さんも見事に伸して来たようである。ステージのバック・ドロップとして掲げられた羊の絵にオレンジ色の照明が当たっているのを眺めていると、客電が落ち、メンバーが現れた。
「ハローエヴリワン!」
ボーカルの吉村が叫ぶと、"ジグソーパズル"でライヴはスタートした。演奏は迫力の重金属系。吉村のハイ・トーンで転がるような歌声はキュートでストレンジ、演奏と対照的でインパクト大だ。メタルやグランジのようなハード・コアな要素を、ガールズ・ポップでねじ伏せているみたいな感覚。しっかりした演奏技術に裏打ちされているにも関わらず、みずみずしいテンションで演奏がフロアに迫ってくるのだ。
演奏の合間には、緊張感がふっと緩むような語り口でドラムの中野がMCを挟む。うーん、ユルいなあ。可愛い。とは言うものの、一見ユルく見える彼女も演奏が始まれば容赦なくドラムをドツき廻していて、ボーカルの吉村も足元の真っ赤なスニーカーをガンガン蹴り上げてギターを弾きまくっている。英語、日本語、客席のあちこちから歓声が挙がっていた。
「みんな、前にばかり居ないで、お酒を飲んでちょうだい。」
朴訥とした口調で中野がそうMCを取ると、「ドラマーにビールを!」と客席から英語で声があがった。「ナニノム?ナニノム?」と続けさまに声がかかり、ライヴ終盤、本当にフロア後方のドリンクカウンターからステージにビールが届けられ(!)、会場中が大爆笑状態で演奏を一時中断、乾杯する一幕も。踊りまくる観客もお酒片手に前方に押し寄せ始め、酒・爆音・スクリーム・また爆音・酒・酒・酒!状態でステージ付近は痛快なカオス状態と化していた。
ストロング・スタイルだけど、決してステージから客席への一方通行にはならずに楽しむ事が出来るライヴ。こういった体験が出来るから彼女達のライヴに足繁く通いたくなるんだよね、と再び感じさせてくれる夜になったのだった。
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report by jet-girl and photos by naoaki
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Bo-Peep (ボー・ピープ) ライヴスケジュール
08/07/24 (木) 新宿 RUIDO K4
詳細はこちらでご確認ください。
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