テ @ 名古屋アポロシアター (28th Jun. '08)
轟音の楽園
去年10月に行われたテの2ndアルバムレコ発ツアー「沈黙を学べ。我が友よ。言葉は銀に等しい。が、時を得た沈黙は純金だ。」で初めて彼等のライブを見たときに覚えた感動は凄まじいものだった。その時は、CDを聴いて結構気に入ったからライブに行ってみようと軽〜い気持ちで行ってみたのだが、始まった瞬間からとんでもないもの見に来てしまった! と思ったほど、終始圧倒されまくりのライブで余りの凄さに面食らったのを良く覚えている。今でもその時に覚えた恐ろしいまでの衝撃が忘れられず、心と身体に深い刻印を刻み込まんだままだ。あの感動をもう一度と思い、彼等のライブを楽しみにしていた。そして長いようで短かった8ヶ月ぶりの名古屋でのライブである。この日は3バンド目に登場した。
始まった瞬間から音がダイナマイトのように炸裂し、4人が生み出す轟音の渦が会場を埋め尽くしていく。オープニングは、バンドの代名詞ともいえる必殺の「如何に強大な精神や力といえども知性なくしては『無』に等しい。」だ。凄まじいまでの音圧にぶっ飛ばされたかと思うと、次の瞬間には穏やかな波間が優しく包み込む。逆もまた可なり。音の爆発と収斂、破壊と創造が楽曲の中で繰り返され、目の前の情景が刻々と変化していく。その研ぎ澄まされた音の一つ一つが鮮明に胸に刻まれる。やっぱり、あのときに覚えた感動は本物だったと早くも実感することができた。その後も圧倒されんばかりの重厚な音の塊と美しい叙情的な旋律が交錯するテの世界ができあがっていく。
インストゥルメンタル・ロックといえど彼等のライブは凄まじいまでの音の洪水に支配される。CDを聴いた感じだと静と動のコントラストを意識したポストロックらしい展開に酔ったり、繊細で優美なタッチで描かれる深く壮大な世界観にうっとりとしてしまうことも多いのだが、ライブでいざ体感してみるとその印象がまるっきり変わる。これぞロックンロール!と思わず叫びたくなるぐらい肉体への衝撃と精神への作用が強烈。柔と剛で言えば、剛がライブだと圧倒的に強い。表面上は30文字にも及ぶ哲学的な曲名やインストということもあって妙な先入観を抱いてしまう方も多いだろうが、とにかく理屈抜きでとてもかっこよく熱い音楽を創造している。ライブに行けば歌の必要の無さがわかるというのは大袈裟かもしれないが、彼等がロックとして存在している理由が明確にわかるはずだ。演奏中は楽器だけではなくマイクを通さずにメンバーが感情をぶつけるように叫ぶ、叫ぶ。その感情の刃は直に伝わって非常に強く胸を打つ。
8ヶ月ぶりに味わう音の嵐に五感がぶっ飛ばされて、時計が短針を刻むごとに感情が昂ぶっていった。6曲30分強と時間は短かったものの、バンドの凄さを肌で感じ取ることのできた素晴らしい一時であった。何がこんなに凄いんだろう? 私自身まだうまく説明することはできないのだが、こうして一度彼等のライブに身を投じてみると強烈な衝動に襲われ、何度も味わってみたくなるから不思議だ。まだテを未体験の方にはぜひともライブに足を踏み入れてもらい、一緒に熱くなりたいものだ。
今夏には台湾のフェスティバルや日本の夏フェスにも参加予定。10月には約1年ぶりとなるアルバムの発表と東京でのワンマンライブも控えているそうだ(名古屋にもアルバム発売後にまたきてくれるようなことを言っていた)。これからも彼等の活動からは全く目が離せそうにないし、期待が膨らむばかり。次作ではどんな『音』の世界の深淵を語ってくれるのか。今から早くも楽しみである。
-- setlist --
1. 如何に強大な精神や力といえども知性なくしては『無』に等しい。
2. 思想とは我々の選ぶものを見せず、我々の好むものを『見』せる。
3. 美しき旋律も、音を語る言を持たずしては心にも『留』めがたし。
4. 大胆は無知と卑劣の子であって、他の資格よりはるかに『劣』る。
5. 沈黙中の表情にこそ、言葉選びに勝る本当の雄弁が『存在』する。
6. 我々は希望に従って約束をし、恐怖にかられて約束を『果』たす。
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report by takuya and photos by yoshitaka
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mag files : te'
轟音の楽園 : (08/06/28 @ Nagoya Apollo Theater) : review by takuya,photos by yoshitaka
photo report : (08/06/28 @ Nagoya Apollo Theater) : photos by yoshitaka
高架下にて (07/10/20 @ Live Square 2nd Line) : review by miyo
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The latest album

"それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。"
(国内盤)
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previous works
"音楽の研究者は、音楽をねじ伏せようとしてはいけない。音楽をして、
音楽の赴く所に赴かしめるように導けばよい。そうして音楽自身をして音楽を研究させ、
音楽の神秘を物語らせればよい。"(DVD)
"言葉を用いて奏でる者は才能に在らず、ただの記憶に『過』ぎぬ"(国内盤)
"ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る"(国内盤)
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2008
轟音の楽園 : テ(28th Jun. @ 名古屋アポロシアター)
色づき始めた未来 : ムーディー・オン・ザ・サクバン(28th Jun. @ 名古屋アポロシアター)
貫禄十分の帝王 : キルスウィッチ・エンゲイジ(11th June. @ 名古屋クラブクアトロ)
新しい風を求めて : フォールズ / ミッドナイト・ジャガーノーツ(16th May. @ 名古屋ボトムライン)
20回記念のスペシャルな夜 : エクストリーム・ザ・ドージョー Vol.20 スペシャル(9th May. @ 名古屋クラブクアトロ)
引きずり込まれるロックフィールド : ギー(6th Apr. @ 名古屋ロックンロール)
ポップな魔法に魅了されたひと時 : アニマル・コレクティヴ(17th Mar. @ 名古屋クラブクアトロ)
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