キルスウィッチ・エンゲイジ @ 名古屋クラブクアトロ (11th June '08)
貫禄十分の帝王

ビースト・フィースト、エクストリーム・ザ・ドージョー、テイスト・オブ・ケイオス、ラウドパーク。次々と日本国内のラウド系フェスに出演してきたキルスウィッチ・エンゲイジがついに単独で来日を果たした。彼等はメタルコア(端的に言えばハードコアとヘヴィメタルの要素を混合した音楽)を世界に広め、牽引していった存在であり、その圧倒的なライブパフォーマンスもあって単独公演が待ち望まれていた。自分も是非、単独で見てみたかったバンドだったので実現して本当に嬉しいかぎり。
個人的に彼等を見るのは2回目。前回は2年半前に行われた第1回のテイスト・オブ・ケイオスの時であったが、その時は主要メンバーであるギタリスト・アダムを除く4人でのライブであったため、ライブの良さには感動したものの、ちょっぴり残念に思ったのを覚えている。今日はその時の思いもあってか彼等に対する期待が大きかった。
まずは前座のザイ・ウィル・ビー・ダン。全員が野獣さながらの容姿をしており、演奏もその風貌に違わず迫力のあるものだった。日本ではまだまだ無名な存在のはずだが、持ち曲の他にヘイトブリードやセパルトゥラのカバーを演奏してくれたこともあって、前座にしては温めすぎともいえるぐらいの盛り上がり。早くもモッシュやダイブで乱れまくりの場内がそれを物語る。今日の観客の心をがっちりと掴んで帰れたのではなかろうか。MCではしきりに「なごや、あいしてるー」等の日本語を連発し、終演後には物販のところで多くのファンに握手している姿も見られた。とてもサービス精神が旺盛で好感の持てるバンドだったのでこれからを期待したい。
そして、20時を少し過ぎた辺りでキルスウィッチ・エンゲイジの演奏が始まる。彼等のライブは過激でありながらも会場との一体感が非常にあった。重戦車のような激しいギターリフを刻みながらも、叙情味溢れるサビで観客が一緒になって大声で歌う。メタルともハードコアとも違う独自性がこのバンドには存在する。"激しさと楽しさが同居した空間" を造り上げることができるのが強みだろう。数多ものライブを経験してきて磨きに磨きがかかった演奏技術とライブパフォーマンスは本当に素晴らしいもの。さらに観客を楽しませる工夫が随所に施してあり、特に前回見ることのできなかったアダムの存在感の大きさに感心した。表にレッドソックス、裏にマツザカと表記されたシャツを着て、縦横無尽に動き回るやんちゃ坊主な彼が、前回見たときには希薄だった楽しさをより大きいものにしてくれているように感じた。
この日は最新作「アズ・デイライト・ダイズ」を中心に2nd、3rdから選曲されていた。ほぼ代表曲を網羅した内容だけあって、常に盛り上がりっぱなしのライブとなった。個人的には中盤に演奏された伝家の宝刀「ローズ・オブ・シャリン」に脳天をぶっ飛ばされ、美しさと過激さが交錯する「マイ・カース」にとても感動した。ライブでもひときわ歓声が大きかったのは「ジ・エンド・オブ・ハートエイク」と「マイ・ラスト・セレナーデ」の2曲。両曲ともバンドの誇る名曲なだけに観客の反応もより一層大きいものだった。ラストにはディオの「ホーリー・ダイヴァー」を迫力満点にカバーしてくれて、もう大満足な夜となった。
メタルコアの帝王とも呼ばれているキルスウィッチ・エンゲイジのライブは貫禄十分の凄さまじいものだった。今でもシーンを牽引する彼等がなぜ凄いのか、改めてライブを見て納得させられることになった。
-- setlist --
Daylight Dies / Unbroken / Take This Oath / The Arms of Sollow / Breath Life / This Fire Burns / Rose of Sharyn / Still Beats Your Name / Fixation on the Darkness My Curse / A Bid Farewell / Life to Lifeless / This is Absolution / The End of Heartache
-- encore --
My Last Serenade / Holy Diver( DIO cover )
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The featured photos are from the a show @ Shibuya O East on the 12th of June.
report by takuya and photos by hanasan
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