button赤犬 @ 渋谷クラブクアトロ (25th May '08)

お下劣お百度詣り


 5月31日をもって、改装のため一時休止になる渋谷のクラブクアトロ。改装前最後の日曜日を務めたのが赤犬だった。自分にとって数々の思い出がある現クアトロで最後に観るライヴが赤犬。・・・・・・うーん、STS9とか、ピールアウトのラストなど、いろんな名演が走馬灯のように頭を巡る中の締めくくりとして、「○んこ」とか「ち○こ」とか嬉しそうに歌う赤犬・・・・・・。でも、この日、ほぼ満員に埋まって盛り上がっている様子をみると、赤犬を選んだことは全く後悔しないのだった。

 遅れて会場に着くと、サケロックのハマケンがサンプラーを使って、弾き語りならぬ押し語りをおこなっていた。サンプラーが出てくる音に合わせて「段ボール肉まん」とか珍妙な歌を歌っていたのだけど、サケロック人気のせいかフロアは大受けでコール&レスポンスが起きていた。まあ、珍妙といえば、赤犬なんて桁が外れた珍妙さなんだけど。セットチェンジのときは、ヘヴィメタル(おそらくメタリカあたりだと思われる)のSEが流れていて、メンバーが登場し、例によって"星条旗よ永遠なれ"のメロディに"君が代"の歌詞を乗せた、"親方星条旗"から始まる。そして、神輿のような角材に乗っかったマルムシが担がれて登場。約半年バンドを休んでいたヴァイオリンのマルムシが復帰したということで、お客さんたちが大歓声を上げて迎える。

 というわけで、13人のメンバーが揃ったわけなんだけど、それにしても変なバンドだわ。ヒデオは谷村新司のパロディであることはわかるけど、ロビンはムードコーラスの人の誰かだろうか。とにかく見た目も面白いし、ヴァイオリン、バグパイプ、パーカッション、各種ホーンなど多彩な楽器が揃い、バンドが現れた時点でお祭り気分が立ち上がってくるのは、赤犬か渋さ知らズかという感じだ。音楽的にもアイリッシュ・トラッド、スカ、パンク、ブギ、ファンクなど本当に多彩な音楽性、引き出しの多さを物語る。それだけ演奏陣の頑張りもすごいのだ。だけど、全部下品な歌詞で台無しにしてしまう。いや、台無しではない。このごった煮な音楽がお下劣な歌詞を得てパワーアップしているのだ。

 アキラがわざわざスクール水着に着替えて歌う"ズギズギ・ドッキュン"は、典型的なアイドル歌謡曲のパロディなんだけども、その曲でフロアからは、デカい声でオイオイ・コールが沸き起こり、たくさんの拳が上がる。この曲でこんなに盛り上がるとは。マルムシが復帰して「居場所を残してくれてありがとうー!」なんてこともいっていたけど、それが決して感動に着地しない、あくまでも「う○こ」や「ち○こ」に落とそうとする。最近のテレビに出ているようなお笑い芸人って、すぐマジになって感動して泣いたりして、涙に対して認識が甘いものだけど、出来る限り「涙」や「感動」を排除しようとして、下品であろうとする赤犬は、テレビのお笑い芸人よりも芸人根性が据わっている。

 アンコールには、なぜかマイケル・ジャクソンの"ビート・イット"をカヴァーする。しかも、忘年会で酔っ払いながら無理矢理歌いました、というように、キーの高さについていけないし、そもそも英語が適当である。ダンスはそれなりに練習したところを見せてくれたけど、宴会芸レベル。しかし、それでも赤犬なんだから、これでいいのだ! と思ってしまう。ある意味マジックというべきか。もちろん"U.N.C.O.〜うんこが好きです〜"も歌って、非常に盛り上がる。ライヴが終わって場内に流れたのは、以前にレポートしたときと同じくパフュームの"ポリリズム"で、この曲でもフロアは今にもモッシュが起きるのではないかと思うくらいにフロアは温まっていたのだ。この人を巻き添えにしていくむちゃくちゃなパワーが赤犬なんであるし、渋さ知らズと同様にフジロックによってこのバンドが広く認知され、東京でもこのような盛況をみせるというのは、やっぱり多くの人達が祭を求めていたのだ、とあらためて思うのだった。

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