Smashing Mag / Che Sudaka (チェ・スダカ) @ SO36, Berlin (9th May '08)

　ドゥー・ユー・ワナ・ダンス・フェスティバルと題されたこのイベントが行われたライヴハウス、SO36は、ベルリンのクロイツベルク区にある。ここにはベルリンでもとりわけ外国人、アーティスト、ゲイ、パンクスが多く住み、旅行パンフレットに載っているようなロマンチックなドイツのイメージはかけらもない、そこはかとなくアナーキーな雰囲気が漂っている。そして、SO36はこの地域を象徴するライヴハウスで、コンサートの他にもゲイ・パーティーやラテン・ダンスパーティーなど、ユニークなイベントが毎晩行われているのである。

　この日のイベントに出演したバンドは5組。かなり簡単かつ乱暴にバンドを紹介すると、デリカートはベルリンのスカパンク・バンド。パンク・ロック・ボーイズはビリー・アイドルやブリトニー・スピアーズの曲をハードコア・パンク風アレンジでカヴァーするオジさん3人組。（最高でした）パチャンカとタルコとチェ・スダカは、マヌ・チャオやゴーゴル・ボールデーロ、バンダ・バソッティなどが好きな人はきっと気に入るはず...というか、それらのバンドがストライクゾーンど真ん中の人には、ここでこの文章を読むのはやめて、一刻も早くMyspaceで音源をチェックされることをオススメしたい、裏打ちリズム&ラテン風味パンクロックと言えばいいだろうか。

　　タルコやチェ・スダカの演奏するラテン風のメロディに、SO36独特の、誰が何人だって誰も気に留めないだろう自由な雰囲気。私は撮影中、ここがドイツであることをすっかり忘れていた。そして、時も忘れ、気がつけば5時間以上、まったく休みなく撮影を続けるハメになった。もちろん、観客もイベントの名の通りノンストップで飛び跳ね踊り続け、フロア内は蒸し風呂かはたまた人間洗濯機と呼ぶべき状態。ライヴが全て終わってみれば、何故かフロアの片隅に置いたカメラバッグがビール浸しになっていた。「まぁ、楽しかったし、いいか！」とクロイツベルクの住人である私は、ビール臭いカメラバッグを抱えて、徒歩で帰宅したのだった。