ザ・キャプテンズ @ 高崎市文化会館 (5th May. '08)
薔薇色のワンダーランド
家族連れやカップル、高校生のグループが、列を成してゲートに吸い込まれていく。そう、今日は子どもの日。ゴールデン・ウィークを楽しもうという人たちが、続々と集まってきている。あちこちで笑顔がはじけるさまは、まるでディスニーランドのようだ。しかし、ここは群馬県高崎市文化会館。人々を出迎えるのはミッキー・マウスではなく、最後のグループ・サウンズ、ザ・キャプテンズだ。
群馬で何かが起こっているという噂は、もうずいぶん前から耳に入っていた。FMぐんまで絶賛放送中の「愛の建国記念日」という番組を持ってからいうもの、群馬県内におけるキャプテンズの知名度はグーンとアップ。公開収録のスタジオ前は常にグルーピーが集い、老若男女のリスナーが愛と薔薇のあふれる放送を楽しんでいる。もともと幅広い世代に人気のあるバンドだけど、群馬では他の土地以上にファン層が多岐に渡っていて、独自のキングダムを築き上げている。今回のワンマンもしかり。
ああ、チビッ子よ、その細い腕につけたリストバンドに書かれている「失神」という言葉の意味を知っているかい? 茶髪の兄ちゃんたちは、旗の代わりにタオルをまわすのかい? 妊婦さん、カメラ目線バリバリのベビーが生まれてきたらどうなさるおつもりか? Magスタッフの母上も準備万端で駆けつけてきた。目の前の光景に呆然としながら、ヨロヨロと会場に足を踏み入れたわたしの目に飛び込んできたのは、グルーピーから献上された真っ赤な薔薇、薔薇、薔薇の洪水……群馬県は今、完全に薔薇色に染まっている。
そんな群馬でのライブが盛り上がらないわけがない。ラジオでしゃべっているのは薔薇王子・傷彦とテッド大臣の2人だけど、ヒザシもヨースケも大人気。会場を埋めつくしたお客さんたちは、どの曲も振り付けが完璧で、歌詞だってちゃーんと覚えていて、ニコニコしながら一緒に歌っている。ラジオだけではなく、キャプテンズの「音楽」が愛されて根付いている。それが何よりも嬉しい。「薔薇王子」ならぬ「バカ王子!」なんてからかわれながらも、まずはやっぱりキャプテンズの奏でるグループ・サウンズありきなのだ。
ライブの中盤、番組で共演している人気パーソナリティー、高橋和実さんが登場した。実は今回のワンマン、ソールド・アウトしなければ、傷彦がジャージ姿でニューイヤーマラソンを走るというペナルティが課せられていた。結果は満員御礼で、マラソンの代わりにメンバー全員でFMぐんま一日ジャック決定。敗者の高橋さんはリコーダーを持ってサポートにやって来たというわけだ。高橋さんを傷彦キャッスルに招いて作られたという新曲、“この夜が”を演奏しながら花道を行進する姿に、会場はおおいに沸いた。
初めて高崎クラブ・フリーズでライブをした時のお客さんはわずか10人。その時来ていたグルーピーが、高崎の名産品であるだるまをプレゼントしてくれた。メンバーたちは、「いつか群馬で大きなライブをやろう」と心に誓い、だるまに片目を入れて、大事に持っていたそうだ。それから3年。何の縁もゆかりもなかった群馬県が、今では一番愛される土地になった。ステージでも楽屋でも、4人は群馬への愛と感謝をくり返し口にしていた。そしてこの日、祈願を達成したキャプテンズは、700人の歓声に包まれて残りの目を書き入れたのだ。
大成功だった初のホールワンマン。だが、キャプテンズにとって、これはゴールではなく通過点のひとつだ。4人を乗せた馬車が目指すのは、屋根の上に大きなタマネギがのったあの建物。3年前のインタビューで語っていた夢に向かって、着実に歩みを進めている。6月25日発売予定のニュー・アルバムのタイトルは『薔薇色の未来』。薔薇色のワンダーランドが世界を浸食し、いつの日か、薔薇色に染まったタマネギを見られるといいな。
-- set list --
お前一番星 / ハートにピットイン / 恋するマタドール / 太陽は知っている / THE LOVE NINJA / 砂浜ラブレター / おかあさん / 薔薇の檻 / ミ・アモーレ〜薔薇色に染まれ〜(新曲) / この夜が(新曲) / プールサイド・ビーチサイド / 失神天国〜恋をしようよ〜 / 恋は赤道直下 / 恋のピストル(BAN・BAN・BAN)
-- encore --
さらば夕焼け / 恋のゼロハン
|
report by satori and photos by sam
|
mag files : The Captains
薔薇色のワンダーランド (08/05/05 @ Takasakishi Bunkakaikan) : review by satori, photos by sam
photo report (08/05/05 @ Takasakishi Bunkakaikan) : photos by sam
エレキビート・ゴーズ・オン! (07/12/28 @ Shibuya O-West) : review by satori, photos by sam
photo report (07/12/28 @ Shibuya O-West) : photos by sam
愛ゆえに愛のムチ (07/07/08 @ Shibuya Yaneura) : review by satori, photos by saya38
|
|
|