Smashing Mag / Banda Bassotti (バンダ・バソッティ) @ Sala Heaven, Santander (2nd May '08)

　ドイツのベルリンから格安フライトを使ってスペインの首都、マドリッドに飛び、そこから車でスペイン北部、バスクの西隣に位置し、アルタミラ洞窟で有名なサンタンデールに向かう。空港では前日の疲労が残っているんだろう、メンバーが空港のベンチや椅子で仮眠をとっている。実をいえば、そんな彼らの表情も撮影しているんだが、なかなか見せられたものではない。加えて、マドリッドからの移動は5～6時間もあっただろうか。が、会場に着くと、そのままサウンド・チェックに入り。それが終わって本番の始まる11時ぐらいまでの間に夕食をとって、しばしの休息のはずなんだが、この日はテイクアウトの食事をとる時間しかなかった。

　前回のレポートで知らせたように、「武装集団を支持している」という根も葉もない噂でスペインでのライヴが禁止されているはずなのに、この日も政治集会のような場でのライヴだった。小屋自体はダンス・クラブとなっているんだが、ライヴも頻繁に行われているようで、スペインのラディカルなハードコア系のバンド、Habeas Corpus（アベアス・コルプスと読むのだろう）のポスターなども見ることができる。が、この日は、どうやら地元の政治運動体主催のライヴではなかったかと思う。手書きのポスターやバナーには「組織化しよう！」とか「赤い文化」といた文字が見える。その一方で、「ディスコ」といった感じの小屋のデコレーションとそういったポスターやバナーとのギャップが実にアンバランスだ。

　とはいっても、日本で想像する「政治」とは全く色彩が違って、ここに集まってきたオーディエンスにそういったイメージは感じなかった。スキンヘッドにパンクからドレッドロックに、ファッションにはまるで関心がないような人たち...　ごく普通の人々だ。それはドイツだろうが、イタリアだろうが、スペインだろうが、全く変わらない。共通しているのは、実によく歌うこと。しかも、大声を張り上げるようにして。その光景はここでも同じだった。しかも、ライヴが終わっても、オーディエンスの歌が止むことはない。音楽が鳴りやんでも響く歌がある...　と、それがバンダ・バソッティ。それをここでも再確認することになるのだ。