buttonジ・エメラルズ @ 新宿マーズ (15th Apr. '08)

魂にもレザーを羽織れ!

The Emeralds
 ロックンロールのライヴには、いつだってバンドと観客との双方にある種のテンションが存在する。それは日常から非日常に入れ替わる瞬間であったり、爆音と異様なスピード感による刺激のフィードバックであったりする。理屈なんかじゃないし、言語の違いなんてものも問題じゃないのだ。

The Emeralds「幕で全然見えないけどっ、アー・ユー・レイディー、ロックンロー!?」

 もはや会話もままならないほどの爆音と底上げするリズムでサウンドチェックが始まっていた新宿のライヴハウス、マーズ。ステージ前に下げられていたスクリーンがゆっくり上がり始め、やがてレザーの上下を照明でギラギラ光らせている三人組が現れた。そのバンドの名は、ジ・エメラルズ。なんでも100年後の未来からやって来たロックンローラーのバンドなんだそうで、ステージ上でポーズをキメながらサングラスを取り、ギターのKazuya側にあるアンプの上にはステージドリンク用のワイングラスが置かれてある。マジですか!?でも脳震盪を起こしそうなリズムのうねりと鼓膜の限界に挑戦する演奏ぶりに、笑ってなんかいられなかった。

The Emeralds 何度も繰り返すようだけど、ロックンロールは理屈じゃないし、言語の違いも問題じゃない。彼らはアメリカで毎年開催される世界最大級のロック・フェスティヴァル、SXSW(サウスバイ・サウスウエスト)に五年連続で出演を果たし、海の向こうの観客を問答無用で熱狂させ、さらに韓国では三万人の観客が集うと言われるサムジー・サウンド・フェスティヴァルで日本のフジ・ロックで例えるならばホワイト・ステージクラスの会場に登場するバンドなのである。そのステージっぷりをローリング・ストーン誌が取り上げるほどなのだ。

The Emeralds 「ヘイ、新宿マーズ!今週末、みんなで俺とどこ行きたい?」「ハワイー!」この後、ハワイでのライヴ予定が本当にあった彼らだが、ギターのKazuyaとベースの欧介のこういったやりとりや、ドラムのアキオの曲前のMCにはエンターテイメント性が…というか、パフォーマンス全てが過剰である(笑)。最後にはマジックハンドまで客席に向かって飛び出すのだが、でも、キワキワのところで「カッコいい!!」と思わせてしまう。彼らの演奏のテンションは恥ずかしがりながら見るという隙を観客に与えないし、演奏力と見せ方のどちらを取ってもその存在感には圧倒されるばかり。周りの状況に流されず、自分達のパフォーマンスを追求してきた結果なのだろう。

 ステージ上でレザーの上下を着ていたら暑い。でもどんなに暑かろうと、ステージ上ではレザーの上下でキメる。いくら演奏しやすくても、ゴムのゆるんだジャージとかではダメなのだ。ジ・エメラルズには見た目だけではない「ロックンロール魂」への揺るぎない審美眼があり、「気合い」という名の美学がある。そして観客もいつしか、魂にレザーを羽織りたくなってくるのだ。
The Emeralds

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