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メイソン・ジェニングス、マット・コスタ & カウカヒ
@ 横浜赤レンガパーク (12th Apr. '08)

ジャックとその仲間たちフェスティバル


Jack Johnson
 やはりジャックのライヴは屋外で。それも海の潮風が感じられる場所で聴けたら最高じゃないか! ということで、今回は横浜赤レンガ倉庫特設会場での、しかも、合計4組が登場するというフェス形式のイベントが開催されました。この日は前日までくすぶっていた空も晴れ上がってなかなかの小春日和、ビール飲んでる人達が気持ち良さそう!

◆この日登場した4組◆

Mason Jennings メイソン・ジェニングス / カウカヒ / マット・コスタ / ジャック・ジョンソン 4組とも素晴らしいパフォーマンスを披露してくれましたので、短評ながら全員分紹介していきたいと思います。各アーティストのプロフィールや今回のイベントの詳細などはSMASHサイトにてご確認を。(アーティスト名からMyspaceにリンクしています)

メイソン・ジェニングス(Mason Jennings)

 アコギ1本で誠実そうに歌い上げる男のディラン風なパーマヘアーが風で揺れている。服装など見た目若干地味な男ではありますが、耳を澄ませばフックするメロディに引き寄せられる。フィンガー・ピッキングで弾く音はやけに乾いていて、曲よってはハープも織り交ぜつつ、まっすぐに光る瞳には、理想を追い求める男の匂いを感じます。

 5月にリリースされるというニューアルバムでは、ラブとピースとホープをビジョンに持つ仲間と良い仕事をしたそうで、これはちょっと期待していいかもしれない。個人的にはベン・クウェラーが彼の曲をカバー("Sundress Ep"に収録)していたことでこの人の事を知ったのですが、サーフ周辺のみならず、一般的なシンガーソングライターとしてもっと注目されて良いのでは。スタートからあっという間の35分。

Kaukahiカウカヒ(Kaukahi)

 いかにもハワイアン風な南の島からやってきたであろう大柄な男4人がにぎやかに登場。横にも縦にも大きいその体型から、ギターがやけに小さく見えるな…… と思ったらそれはウクレレでした(そりゃ小さいはずだ)。ウクレレ、ウッドベース、そしてアコースティックギターが2人の楽器編成で、4人ともボーカルとコーラスを巧みに取るのが、カウカヒさんスタイルです。

 そんな屈強な男達が奏でる音楽は、いわゆる現地のハワイアン・ミュージックなのかと思ったら、もっとワールドワイドにミックスした豊かなミュージック。時にモダンジャズ・コーラス・グループ、時にラテン・ソウル、またある時はカントリー&ウェスタン風と、さすがに注目されているだけの実力者達なのだなぁと、思わず"ホイワハホイ!"の掛け声で僕ら観客も盛り上がります!これまたあっという間の40分。

Matt Costaマット・コスタ(Matt Costa)

 今年アルバム、『アンファミリア・フェイセズ』をリリースして話題になっている若干25才、ジャック・ジョンソンの秘蔵っ子マット君が、バンド・メンバー4人と共に登場。ドラムス、ベース、キーボード、Eギター(曲によってはラップ・スティール)といった編成だ。1曲目からマットが弾くアコギとラップ・スティール・ギターが渋い。もっとこの人は、カッコつけしいなオシャレ系男子なのかと勝手にイメージしていたらまったくそんなことは無く、音などは実に堅実でカントリー・スタイルを好む、とても20代とは思えない演奏っぷり。歌い方も微妙に独特な"ダサカッコイイ"感じがあって、キンクスのレイ・デイビスを彷彿させるおどけた仕草や、言葉や音に色んなニュアンスを含ませてるかのような、そんな繊細でコミカルなニュアンスを感じ取れる。実にポップで詩的なカントリーなロックです。サーフって言うよりもっと土っぽい感じがします。本人がピアノも弾くめっちゃポップな"Mr. Pitiful"(このPVはなかなかナイスなのでオススメ!)など、バリエーションも豊富に、懐の深さを見せつけてくれるマット君の未来は明るいぞ、と思う。1時間弱の出演でした。大満足。

ジャック・ジョンソン(Jack Johnson)

 今まで脇の方でのんびり芝生に座っていた人達もここぞとばかりに一気に前方に押し寄せる。そろそろ日も沈もうかという頃に3名のバンドメンバーと共に登場した人気者の我らがジャック。ステージ後方に吊るされているビデオが映し出されるオブジェのアートワークが非常に可愛くてハイセンス。目を奪われるなぁ。今回のイベントでは隣接する赤レンガ倉庫で「アート・エキシビション」の開催もあったりと、会場全体的に、ジャックとその仲間たちによるアートでピースフルな雰囲気も心地よい(そういえば、ステージ上で8mmフィ ルムのようなカメラを回す男性も気になりました)。

Jack Johnson 今回僕の一番の発見は、ギタリストとしてのジャック・ジョンソン。だってギター上手いんだ! 嬉しくなる。バンドはドラムス、ベース、ピアノ(キーボード)といった編成だから、ギタリストは彼のみ。アコギとエレキを、ショウ全体を通してほぼ五分五分の割合で弾いていたかとは思うのですが、アコギはもとより、特にエレキの方のプレイっぷりに目が離せなかった。音、タッチ、リズム、グルーヴ、決して派手では無いが弾きすぎる事なくかつ空間がこれほど心地よく埋まるギターは久しぶりに聴いた気もします。これはちょっとギターヒーローとしてのジャックにもっと注目した方が良いのかもしれない。ライヴじゃないとなかなかわからない発見である。

 それからジャックの歌を聴いてると思わず腰が動いて踊りたくなってくることに気付く。彼の音楽はどこかリラックスする、和み系の音楽として認知されているところも多大にありますが、もっと彼はソウルミュージック寄りな男なんじゃないか。やさしく腰を揺らす感じ。スロウ・グルーヴとでもいいましょうか。甘いヴォーカルに歯切れのいいリズム。元々そういう要素があって、単に僕が気づいてなかっただけかもしれませんが、ソウル+アコースティック、さらにエレキギターの味付けがが加わってくるとより顕著だ。どこか僕も今まで少し型にはめて聴いていたような気がして、若干反省しつつも、しかしこの発見をした喜びの方が、それに勝るのだった。生だ。生の音楽が語る情報量って実は物凄く多い。色んな音が色んな事を気づかせてくれます。これだからまた足を運んでしまうのだ。生の音楽には嘘が無いことが今日もまた証明される。

 ステージ終盤には、マット・コスタはじめ本日登場した面々とのセッションも3,4曲ありつつの、ラスト〜アンコールはジャックのギター1本での弾き語り名曲メドレーで終了となりました。約1時間半のステージは若干物足りなさも残るところでしたが、腹八分目がちょうど良いところでしょう。清々しい海風もいつの間にか肌寒くなって来た20時。5時間立ちっ放しの僕は腹ペコだったので、閉店間際の屋台に駆け込んで胃袋の何割かを埋めるのでした。
Jack Johnson

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